一般知識15労働基準法の基礎

行政書士 一般知識 問15:労働基準法の基礎

労働基準法(労基法)に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 労働基準法は、使用者と労働者の間で個別に合意すれば、同法で定める基準を下回る労働条件を設定することができると定めている。
  • 使用者は、原則として週40時間・1日8時間を超えて労働者を働かせてはならない(法定労働時間)。正答
  • 年次有給休暇は、同一の使用者のもとで6か月以上継続して勤務した労働者に与えられるものであり、出勤率の要件は課されていない。
  • 労働基準法は、正規雇用労働者のみに適用され、パートタイム労働者・派遣労働者には原則として適用されない。
  • 使用者は、一定の有害業務を除き、18歳以上の女性を深夜業(深夜10時から翌朝5時まで)に従事させることを一切禁止しなければならない。
正答:使用者は、原則として週40時間・1日8時間を超えて労働者を働かせてはならない(法定労働時間)。

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正答はイです。労働基準法32条は、使用者は1週間につき40時間・1日8時間を超えて労働させてはならないと定めています。ア(誤):労基法1条2項は「この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならない」と定め、個別合意でも基準を下回る労働条件は無効です(同法13条)。ウ(誤):年次有給休暇(39条)には、6か月以上の継続勤務に加えて、全労働日の8割以上出勤という出勤率要件が課されています。エ(誤):労基法は、正規・非正規・パート・派遣等を問わず、すべての労働者に適用されます(ただし適用除外となる業務・事業はあります)。オ(誤):現行労基法は女性の深夜業を一律に禁止していません(1997年男女雇用機会均等法改正に伴い廃止)。特定の有害業務等に限定して制限があります。

標準試験対策の基準レベル

イが正答です(労基法32条1項・2項)。各肢の詳細:ア(誤):労基法13条により、同法に違反する部分は無効となり、その部分は同法が定める基準に改められます(強行法規)。個別合意によっても基準を下回ることは許されません。ただし労基法の基準を上回る労働条件を設定することは自由です。ウ(誤):39条の年次有給休暇の要件は①継続勤務6か月以上かつ②全労働日の8割以上の出勤です。出勤率要件(8割)を忘れることが典型的な誤りです。エ(誤):労基法は「この法律は、…使用者に雇用されるすべての労働者に適用する」趣旨であり、適用対象は雇用形態に関係しません(ただし業種・事業の適用除外規定あり)。オ(誤):1997年の男女雇用機会均等法改正に伴い、女性の時間外・休日・深夜労働に関する規定は削除されました。現在は妊産婦等を除き、成人女性の深夜業は一律禁止されていません。イ(正):週40時間・1日8時間は「法定労働時間」(32条)。これを超える場合は36協定(36条)の締結・届出が必要です。

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【労働基準法の強行性と適用範囲】

労働基準法は私法上の強行法規であり、当事者の合意があっても法定基準を下回る労働条件を設定することはできません(1条・13条)。これは使用者と労働者の交渉力の格差を是正するための規制であり、日本の労働法制の根幹をなします。適用対象は「職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」(9条)であり、雇用形態(正規・非正規・パート・派遣等)を問いません。ただし一部の業種・事業(農業・漁業・家事使用人・管理監督者等)には適用除外がある点(41条等)に注意が必要です。派遣労働者については、派遣元と派遣先の双方に異なる義務が分担される点が実務上の重要論点です(労働者派遣法との関係)。

【法定労働時間と36協定の仕組み】

法定労働時間は週40時間・1日8時間(32条)であり、これを超えて働かせるためには、①事業場単位で労使協定(36協定:三六協定)を締結し、②所轄の労働基準監督署に届け出る必要があります(36条)。36協定で定める時間外労働の上限は、2018年(働き方改革法)の改正により原則月45時間・年360時間の上限が設けられました(特別条項付きの場合は月100時間未満・年720時間等の特例あり)。この改正以前は上限規制が事実上なかったため、「過労死ライン」(月80時間超の時間外労働)問題が社会問題化していました。法定労働時間と所定労働時間(就業規則で定める会社独自の労働時間)の区別、および36協定の要件は行政書士試験では制度の骨格として押さえることが必要です。

【年次有給休暇の要件と2019年改正】

年次有給休暇(39条)の発生要件は①継続勤務6か月以上、②全労働日の8割以上出勤の両方を満たすことです(ウの誤りの根拠)。付与日数は継続勤務年数に応じて増加し(6か月で10日、最大20日)、比例付与(週の所定労働日数が少ないパートタイマー等)の規定もあります。2019年の働き方改革法改正(労基法39条7項)により、年10日以上の有給休暇が付与されるすべての労働者について、使用者は年5日以上を時季を指定して取得させる義務が課されました(使用者の時季指定義務)。この改正は有給休暇取得率の低い日本の課題への対応策です。

【女性労働の保護規定の変遷】

旧労働基準法は女性の時間外・休日・深夜労働を広く制限していましたが、1997年の男女雇用機会均等法改正に伴い、一般的な女性労働者への深夜業規制は廃止されました。現在は妊産婦(64条の3等)・坑内業務・危険有害業務(64条の3・同法施行規則等)等について保護規定が残存しますが、成人女性一般への深夜業禁止はありません(オの誤りの根拠)。男女同一賃金の原則(4条)は現在も維持されており、同一業務における性別を理由とした賃金差別は禁止されています。

【根拠条文】

労働基準法 第1条(労働条件の原則)、第13条(この法律違反の契約の効力)、第32条(法定労働時間)、第36条(時間外・休日労働協定)、第39条(年次有給休暇)

【補足】

年次有給休暇の「8割以上の出勤率」要件(ウ誤り)と、女性の深夜業禁止廃止(1997年・オ誤り)は典型的な引っかけ。労基法は雇用形態を問わずすべての労働者に適用(エ誤り)。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働基準法 第1条・第4条・第32条・第34条・第36条・第39条・第56条・第64条の3等 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

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