民法12条件・期限

行政書士 民法 問12:条件・期限

法律行為の条件および期限に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 停止条件は、条件が成就するまで法律行為の効力の発生が停止されているものをいい、条件成就によって効力が生じる。
  • 解除条件は、条件が成就したときに法律行為の効力が消滅するものをいう。
  • 不法な条件を付した法律行為は、不法な条件部分のみが無効となり、法律行為自体は有効に成立する。正答
  • 既に成就していることが確実な事実を「条件」として付した場合(既成条件)、その条件が停止条件であれば法律行為は無条件となる。
  • 確定期限は、将来必ず到来するとわかっている時期を期限とするものであり、死亡は確定期限ではなく不確定期限に当たる。
正答:不法な条件を付した法律行為は、不法な条件部分のみが無効となり、法律行為自体は有効に成立する。

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ウが誤りです。民法132条は「不法な条件を付した法律行為は、無効とする」と規定しており、不法条件を付した法律行為は「全体が」無効となります(条件部分のみが無効になるわけではありません)。また、「不法な行為をしないことを条件とするもの」も同様に無効です(民132条後段)。アは正しく(民127条1項・停止条件)、イは正しく(民127条2項・解除条件)、エは正しく(民131条1項・既成条件が停止条件の場合は無条件で効力発生)、オは正しく(死亡はいつ死ぬかわからないが必ず死ぬため「不確定期限」であり確定期限ではない)。

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ウが誤りです。民法132条は「停止条件付法律行為は、その条件が法律行為の時に既に成就していた場合には、その法律行為は、無条件とする」(民131条1項)、また「不法な条件を付した法律行為は、無効とする。不法な行為をしないことを条件とするものも、同様とする」(民132条)と規定しています。つまり不法条件は法律行為全体を無効にします。「条件部分のみ無効」とするのは誤りです。

ア:正しい。民法127条1項は「停止条件付法律行為は、停止条件が成就した時からその効力を生ずる」と規定しています。条件成就まで効力が「停止」されている状態です。

イ:正しい。民法127条2項は「解除条件付法律行為は、解除条件が成就した時からその効力を失う」と規定しています。条件成就によって既存の効力が「消滅」します。

エ:正しい。民法131条1項は「条件が法律行為の時に既に成就していた場合において、その条件が停止条件であるときはその法律行為は無条件とし、その条件が解除条件であるときはその法律行為は無効とする」と規定しています。既成条件(停止条件)の場合は無条件として有効に扱われます。

オ:正しい。「確定期限」は到来することが確実かつ到来時期が確定している期限(例:2027年3月1日)です。「死亡」は必ず発生するが(確実)、いつ発生するかは不明(不確定)であるため、「不確定期限」に分類されます。

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【理論的背景】

条件は法律行為の効力発生または消滅を「将来の不確実な事実」にかからせる付款です(不確実性が条件の本質)。これに対し、期限は効力の発生・消滅または債務の履行を「将来確実に到来する事実または事象」にかからせる付款です(確実性が期限の本質)。条件と期限の区別は「成否の不確実性」があるかで判断します。死亡・日没・〇歳到達は「いつかは確実に来る」という点で期限ですが、「いつ来るかわからない」という点で不確定期限です。

法が不法条件・不能条件を法律行為全体の無効とする趣旨は、不法・不能な条件を付すこと自体が公序良俗に反するか、法律行為を全体として見た場合に意味をなさないためです。「条件のみ切除して本体を有効にする」という一部無効処理は認められません。

【条文構造】

条件・期限に関する主要条文を整理します。

[民法127条:条件の成就の効果]

1項:停止条件→成就時から効力発生

2項:解除条件→成就時から効力消滅

3項:特約がある場合は遡及効も可

[民法128条・129条:条件成就前の権利・義務]

条件成就前でも期待権が存在し、これを侵害した者は損害賠償責任を負う

[民法131条:既成条件]

停止条件→無条件(有効)

解除条件→無効

[民法132条:不法条件]

不法条件→法律行為全体が無効

不法なことをしないことを条件→全体無効

[民法133条:不能条件]

停止条件が不能→法律行為無効

解除条件が不能→無条件(有効)

期限の分類:

  • 確定期限(例:2027年3月31日)
  • 不確定期限(例:父が死んだとき・成年に達したとき)

【試験での位置づけ】

行政書士試験では、条件・期限の組み合わせ問題が出題されます。典型的な引っかけは①「不法条件は条件部分のみ無効」(誤り・全体無効)、②「既成条件(停止)は無効」(誤り・無条件で有効)、③「死亡は確定期限」(誤り・不確定期限)、④「不能条件(解除条件)は無効」(誤り・無条件で有効)です。不法条件・不能条件・既成条件それぞれの「停止条件の場合」と「解除条件の場合」で処理が異なる点を表でまとめて記憶することが効率的です。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 停止条件の典型例:「合格したら100万円を贈与する」→合格(条件成就)までは贈与の効力が停止。条件不成就で消滅。なお条件成就の時期については当事者が特約で遡及させることも可能(民127条3項)。
  • イ: 解除条件の典型例:「Aが死亡したら委任を終了する」→Aの死亡(条件成就)で委任の効力が消滅。解除条件成就前の法律効果が消滅する点が停止条件と逆。
  • ウ: 正答(誤りの選択肢)。不法条件の典型例:「人を殺したら100万円を支払う」(民132条前段)、「人を殺さなかったら100万円を支払う」(民132条後段・不法行為をしないことを条件)。いずれも法律行為全体が無効。「条件のみカットして本体を有効にする」という処理は許されない。
  • エ: 既成条件(停止)の典型例:「既に成立しているAの婚姻を条件として」→既成の事実であるため、無条件で有効。既成条件(解除)は「既に成就している条件が解除条件」→既に効力消滅事由が成就しているので法律行為無効(はじめから意味がない)。
  • オ: 不確定期限の典型例:死亡・雨が降った時等。不確定期限のある債務の履行遅滞は、2020年改正後の民412条2項により「その期限の到来した後に履行の請求を受けた時」または「その期限の到来したことを知った時」のいずれか早い時から生じる。「いつかは来るが時期不明」が不確定期限の特徴。

【根拠条文】

民法 第127条(条件が成就した場合の効果)、第131条(既成条件)、第132条(不法条件)、第133条(不能条件)

【補足】

不法条件(民132条)・既成条件(民131条)・不能条件(民133条)のそれぞれについて「停止条件の場合」と「解除条件の場合」で処理が異なる点を整理して覚えること。法律行為全体の無効 vs. 無条件(有効)の区別が試験の鍵。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法 第131条(既成条件)、第132条(不法条件)、第133条(不能条件)、第127条(条件が成就した場合の効果) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

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