民法42保証の付従性・随伴性・連帯保証

行政書士 民法 問42:保証の付従性・随伴性・連帯保証

AはBの債権者Cとの間で、BのCに対する金銭債務(200万円)を保証する保証契約(通常の保証)を締結した。この保証に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか(現行民法に基づいて答えること)。

  • Bが死亡した場合、Bの相続人が債務を承継するかどうかにかかわらず、Aの保証債務は消滅する。
  • Aの保証債務はBの債務に付従するため、Bの債務が時効で消滅した場合、AはBの時効を援用することでAの保証債務の消滅を主張できる。正答
  • CがBの債権(200万円)をDに譲渡した場合、AはDに対して保証債務の履行を拒むことができる(保証はCとの間にのみ存在するため)。
  • Aは、CがBに対して裁判上の請求をした場合でも、保証人として催告の抗弁権を行使し、先にBへの請求を求めることができる。
  • AはCから保証債務の履行を請求された場合、まずBに検索の抗弁権を行使し、Bの財産から執行することをCに求めなければならない。
正答:Aの保証債務はBの債務に付従するため、Bの債務が時効で消滅した場合、AはBの時効を援用することでAの保証債務の消滅を主張できる。

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保証の付従性とは、主たる債務(Bの債務)の存否・内容・消滅に保証債務が従うという性質です。イは457条2項「保証人は、主たる債務者の債務に係る時効の援用をすることができる」として正しい記述です。アは誤りで、Bの死亡で相続人が債務を承継すれば保証債務も存続します(主たる債務が存続する限り保証債務も消滅しない)。ウは誤りで、保証の随伴性により主債権の譲渡に保証も随伴し、DがAに保証を請求できます(債権者がCからDに変わっても保証は維持)。エは誤りで、催告の抗弁権(452条)は「裁判上の請求がなされた場合」でも行使できますが、「Bの財産を先に執行せよ」は検索の抗弁権(453条)の話で、エ・オの記述が混同されています(エの文言は催告の抗弁権の内容として正しい場合もあるが、文脈が混在)。オは検索の抗弁権(453条)の説明ですが「しなければならない」(義務)ではなく「することができる」(権利)なので誤りです。

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イが正しい根拠は457条2項の明文規定です。「保証人は、主たる債務者の債務に係る時効の援用をすることができる」という規定により、Bの主たる債務の消滅時効期間が完成した場合、Aは主たる債務者BではなくAが独自にBの債務の時効を援用することで、AのBに対する保証債務も消滅したことを主張できます(付従性の帰結)。アについて、Bが死亡して相続人(例:C)が債務を承継した場合、主たる債務は存続するため保証債務も存続します。相続人が相続放棄した場合(主たる債務を承継しない)であれば主たる債務が消滅するため保証も消滅しますが、選択肢アは「相続人が債務を承継するかどうかにかかわらず消滅する」として誤り。ウについて、保証の随伴性(448条の趣旨・主債権の移転に保証も随伴)により、CがBへの債権をDに譲渡した場合、保証もDに移転するため、AはDに対して保証履行義務を負います。エについて、催告の抗弁権(452条)は保証人が「裁判外で」請求された場合だけでなく、一般的に行使できます(但し主たる債務者が破産等の場合は不可)。オについて、検索の抗弁権(453条)は権利であり義務ではありません。「しなければならない」は誤り。

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【理論的背景】

保証の基本的性質として(1)付従性、(2)随伴性、(3)補充性の3つが重要です。付従性とは、保証債務が主たる債務の存否・内容・強度に従うという性質で、主たる債務が成立しなければ保証債務も成立せず、主たる債務が消滅すれば保証債務も消滅します(448条1項「保証債務は、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他主たる債務に従たるすべてのものを包含する」等)。随伴性とは、主債権の移転(譲渡等)に保証債務が随伴する性質であり、債権譲渡があれば保証も新債権者に移転します。補充性とは、主たる債務者が履行しない場合にはじめて保証人が責任を負うという性質で、催告の抗弁権(452条)・検索の抗弁権(453条)によって保護されます(連帯保証では消滅・454条)。

【条文構造の精密な理解】

  • 448条: 保証人の債務の範囲(付従性の条文的表れ)。「主たる債務以上の負担をすることができない」。
  • 452条: 催告の抗弁権→「まず主たる債務者に請求せよ」という抗弁。但し(a)主たる債務者が行方不明、(b)主たる債務者が破産した場合は抗弁不可。
  • 453条: 検索の抗弁権→「主たる債務者に弁済の資力があり、かつ執行が容易なことを証明したときは、まず主たる債務者の財産について執行せよ」という抗弁(権利であり義務ではない)。
  • 454条: 連帯保証人は452条・453条の抗弁権を持たない(補充性の消滅)。
  • 457条2項: 保証人は主たる債務に係る時効を援用できる。
  • 459条: 委託を受けた保証人の事前求償権(主たる債務者が支払不能等の場合)。
  • 460条: 委託を受けた保証人の事後求償権。

【試験での位置づけ】

行政書士試験における保証(補充性・付従性・随伴性)の典型的な出題パターンは、(a)催告の抗弁権・検索の抗弁権の内容と連帯保証での消滅、(b)付従性の帰結(主債務の消滅→保証消滅・時効援用・主債務の内容に縛られる)、(c)随伴性の帰結(債権譲渡に保証も随伴する)、(d)「催告の抗弁権は権利であり義務ではない」「検索の抗弁権も同様」という正確な理解の4点です。オのように「しなければならない」(義務)として誤りを問う問題は頻出です。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 誤り。Bの死亡後に相続人が債務を承継した場合(相続放棄がない場合)、主たる債務は相続人に引き継がれ保証債務も存続する。相続人全員が相続放棄→主たる債務が消滅→保証も消滅、という流れはありうるが、「相続するかどうかにかかわらず消滅」は誤り。
  • イ: 正しい(正答)。457条2項の明文規定。Bの主債務の消滅時効が完成した場合、BのみならずAも時効を援用でき、援用によってAの保証債務も消滅(付従性の帰結)。AはBに代わって時効を援用する権利を持つ(Bが援用しなくてもAが独自に援用可)。
  • ウ: 誤り。保証の随伴性により、BへのC債権がDに譲渡された場合、保証もDに随伴する。AはDに対して保証責任を負う(448条の趣旨・随伴性)。「CとAの間にのみ存在する」という属人的理解は誤り。
  • エ: 誤り(催告の抗弁権の行使可能性については正しいが、設問は「裁判上の請求がなされた場合でも」という部分が問題の核心)。催告の抗弁権(452条)は、Cが裁判上・裁判外で請求した場合のいずれでも行使できる。しかしエの記述はそれ自体は正しいとも読めるため、選択肢の誤りはオとの対比によって判断する設計です。
  • オ: 誤り。検索の抗弁権(453条)は「しなければならない」(義務)ではなく「することができる」(権利)。保証人がこの抗弁権を行使するか否かは保証人の選択。行使した場合に債権者は先に主たる債務者の財産に執行する義務を負う(行使の結果が義務を生む)。

【根拠条文】

民法 第448条(保証債務の範囲・付従性)

民法 第452条(催告の抗弁権)

民法 第453条(検索の抗弁権)

民法 第454条(連帯保証人の抗弁権の消滅)

民法 第457条第2項(保証人による主債務の時効援用)

【参照判例】

(保証の随伴性については判例・通説で確立。個別判例は省略)

【補足】

付従性・随伴性・補充性の三性質の帰結を問題形式ごとに整理しておくこと。連帯保証では「補充性(催告の抗弁権・検索の抗弁権)がない」という最重要ポイントを見逃さないこと(454条)。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法 第448条・第457条第2項・第452条・第453条 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

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