民法41保証の現行規律・個人根保証

行政書士 民法 問41:保証の現行規律・個人根保証

保証に関する次のア〜オの記述のうち、現行民法の規定に照らして**誤っているもの**はどれか。

  • 保証契約は、書面でしなければ効力を生じない。
  • 主たる債務者が債務を履行しない場合、保証人はまず主たる債務者に請求するよう催告することを債権者に求めることができる(催告の抗弁権)。
  • 保証人は、主たる債務の消滅時効を援用することができる。
  • 個人根保証契約(保証人が法人でない根保証契約)は、極度額を定めなければ効力を生じない。
  • 事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約を締結する際、保証人が個人である場合は常に公正証書で保証意思を宣明する必要がある。正答
正答:事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約を締結する際、保証人が個人である場合は常に公正証書で保証意思を宣明する必要がある。

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オが誤りです。事業のために負担した貸金等債務の保証(事業性融資の個人保証)について、公正証書による保証意思宣明が必要なのは「常に」ではありません。民法465条の6には例外があり、主たる債務者が法人の場合の取締役・社員等(経営者)や、主たる債務者が個人の場合の共同事業者・主たる借主の事業に関与する配偶者など(465条の9各号)については公正証書なしで保証できます。よってオ「常に公正証書で保証意思を宣明する必要がある」は誤りです。ア(書面要件・446条2項)、イ(催告の抗弁権・452条)、ウ(主債務の時効援用・457条2項)、エ(個人根保証の極度額・465条の2第2項)はいずれも正しい記述です。

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オについて、民法465条の6第1項は「事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約」の保証人が個人である場合、保証契約の締結前1か月以内に公正証書で保証意思を宣明しなければ保証の効力が生じないと規定します。しかし465条の9は、(1)主たる債務者が法人の場合の取締役・執行役・理事・社員等(会社の経営者)、(2)総株主の議決権の過半数を有する者等(主たる債務者を支配できる者)、(3)主たる債務者(個人)と共同して事業を行う者、(4)主たる債務者(個人)の配偶者で当該事業に従事している者などを公正証書不要の例外としています。したがって「常に」という部分が誤りです。アについて446条2項「保証契約は、書面でしなければその効力を生じない」。イは452条の催告の抗弁権(まず主債務者へ請求せよという抗弁)。ウは457条2項「保証人は、主たる債務者の債務に係る時効の援用をすることができる」として正しい。エは465条の2第2項「個人根保証契約は、極度額を定めなければ、その効力を生じない」として正しい。

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【理論的背景】

保証制度は、債務者が弁済できない場合に債権者が保証人から回収できる仕組みです。特に個人保証は、保証人が知らないうちに巨額の債務を負うリスクがあり、2020年改正前から書面要件(446条2項)・連帯保証の特性(付従性・随伴性・補充性)が重要論点でした。2020年改正では特に「個人根保証の極度額要件の全面化(旧法では貸金等根保証に限定)」と「事業性融資の個人保証における公正証書による保証意思宣明義務(465条の6)」が重要な改正点です。公正証書要件の趣旨は、保証人が保証の意思・リスクを十分認識したうえで保証するための確認手続を義務付けることにあります。

【条文構造の精密な理解】

  • 446条2項: 保証契約の書面要件(電磁的記録も可・3項)。口頭では不成立。
  • 452条: 催告の抗弁権(主債務者への請求・執行を先にせよ)。ただし連帯保証・主債務者が破産・行方不明の場合は抗弁権なし(454条)。
  • 453条: 検索の抗弁権(主債務者の財産に執行せよ)。連帯保証では消滅(454条)。
  • 457条1項: 主債務者への請求の効力は保証人にも及ぶ(保証債務の付従性の一側面)。
  • 457条2項: 保証人は主たる債務者の債務に係る時効の援用ができる(主債務の消滅時効援用権)。
  • 465条の2第1項・2項: 個人根保証契約の極度額要件(法人以外の保証人の根保証は極度額なければ無効)。
  • 465条の6第1項: 事業性融資の個人保証における公正証書要件。
  • 465条の9各号: 公正証書要件の例外(主たる債務者が法人の場合の取締役・社員等、主たる債務者を支配できる株主、共同事業者、事業に従事する配偶者等)。

【試験での位置づけ】

行政書士試験における保証の典型的な出題パターンは、(a)書面要件(446条2項)の確認、(b)催告の抗弁権・検索の抗弁権と連帯保証での消滅(452〜454条)、(c)主債務の時効援用権(457条2項)、(d)個人根保証の極度額要件(465条の2・全面化された改正点)、(e)公正証書による保証意思宣明の例外(465条の9・「常に必要」ではない点)の5点です。特に(d)は旧法では「貸金等根保証」にのみ極度額要件があったが、現行法は全ての個人根保証に拡大されたという改正点を押さえる必要があります。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 正しい。446条2項。電磁的記録(同条3項)も書面と同視。口頭の保証約束は無効。保証に関する書面要件は、軽率な保証を防止するために設けられた重要な規定。
  • イ: 正しい。452条の催告の抗弁権(「まず主たる債務者に請求せよ」という保証人の保護)。但し連帯保証人(454条)はこの抗弁権を持たない。行政書士試験では「保証人は催告の抗弁権がある」を正しいとしつつ「連帯保証人はない」という区別を問う問題が多い。
  • ウ: 正しい。457条2項。保証債務の付従性から、主債務が時効で消滅すれば保証債務も消滅するため、保証人は主債務の時効を援用できる(保証債務の独自の時効とは別に)。
  • エ: 正しい。465条の2第2項。改正前は貸金等根保証のみに極度額要件があったが、現行法は「個人が保証人となる根保証契約」全体に極度額要件を拡大。極度額が定められない個人根保証契約は無効。
  • オ: 誤り(正答)。465条の6は公正証書要件を定めるが、465条の9の例外(経営者・支配株主・共同事業者・事業従事配偶者)は公正証書なしで保証可能。「常に」という絶対的表現が誤りの根拠。経営者が自社の借入について保証する場合など実際の経済活動上の必要性から例外が設けられた。

【根拠条文】

民法 第446条第2項・第3項(保証契約の書面要件)

民法 第452条(催告の抗弁権)

民法 第457条第2項(主たる債務の時効援用権)

民法 第465条の2第2項(個人根保証契約の極度額要件)

民法 第465条の6第1項(事業性融資の個人保証における公正証書要件)

民法 第465条の9(公正証書要件の例外)

【参照判例】

(本論点は主に条文問題として整理)

【補足】

連帯保証人には催告の抗弁権・検索の抗弁権がない(454条)点は毎年問われる。個人根保証の極度額要件は「改正で全ての個人根保証に拡大」されたことが重要改正ポイント。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法 第446条・第452条・第457条・第465条の2・第465条の6 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

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