問題
連帯債務・求償に関する次のア〜オの記述のうち、現行民法の規定に照らして正しいものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
オが正しいです。民法442条1項は、連帯債務者の一人が弁済をし共同の免責を得たときは、「その免責を得た額が自己の負担部分を超えるかどうかにかかわらず」、支出した財産の額のうち「各自の負担部分に応じた額」の求償権を有すると規定しており、オはこの条文どおりです。アは誤りで、他の連帯債務者の事前同意という要件はありません。イは誤りで、負担部分以内の弁済でも求償できます(442条1項)。ウは誤りで、事前の通知を怠ると求償が制限されることがあるため「常に」とはいえません(443条1項)。エも誤りで、事後の通知を怠ると他の連帯債務者の弁済が有効とみなされることがあります(443条2項)。
442条1項の求償権の要件を確認します。現行442条1項は「連帯債務者の一人が弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得たときは、その連帯債務者は、その免責を得た額が自己の負担部分を超えるかどうかにかかわらず、他の連帯債務者に対し、その免責を得るために支出した財産の額のうち各自の負担部分に応じた額の求償権を有する」と規定します。すなわち負担部分を超えない一部弁済でも、支出した額を基準に各自の負担部分に応じて求償できます。オはこの規律を条文どおりに記述しており正しい記述です。アは誤りで、求償に他の連帯債務者の事前同意を要する規定はありません。イは誤りで、「負担部分以内の弁済では求償権は生じない」とする点が442条1項の「超えるかどうかにかかわらず」と矛盾します。ウとエの事前・事後通知の問題は443条に規定されています。443条1項(事前通知):他の連帯債務者があることを知りながら通知しないで弁済した場合、他の連帯債務者は、債権者に対抗できる事由を有していたときは、その負担部分について、その事由をもって弁済者に対抗できます。443条2項(事後通知):他の連帯債務者があることを知りながら弁済後の通知を怠ったため、他の連帯債務者が善意で弁済等をしたときは、その連帯債務者は自己の弁済等を有効であったものとみなすことができます(先の弁済者は求償を妨げられうる)。よってウは「常に有効な求償権を取得する」が誤り(443条1項の制限あり)、エは「求償を妨げられることはない」が誤りです(443条2項により妨げられる場合あり)。
【理論的背景】
連帯債務における求償制度(442条・443条)は、共同して債務を負担する連帯債務者間の内部的な費用分担を調整するための制度です。外部(債権者)への関係では各自が全額の責任を負いますが、内部では各自の「負担部分」(等しい場合と異なる場合がある)に応じて最終的な費用を分担します。弁済をした連帯債務者が他の連帯債務者に対して求償権を行使することで、実質的な損失を共有する仕組みです。弁済前後の通知義務(443条)は、連帯債務者間の情報の非対称性による不公平(二重弁済・相殺機会の喪失等)を防ぐためのものです。
【条文構造の精密な理解】
- 442条1項: 求償権の成立→「共同の免責」(弁済・代物弁済・相殺等で債権を消滅させた)場合、その免責を得た額が自己の負担部分を超えるかどうかにかかわらず、支出した財産の額(共同の免責を得た額を超える場合はその免責を得た額)のうち各自の負担部分に応じた額を他の連帯債務者に求償可。
- 442条2項: 求償の範囲→弁済その他免責があった日以後の法定利息及び避けることができなかった費用その他の損害の賠償を包含する。
- 443条1項(事前の通知): 他の連帯債務者があることを知りながら通知しないで弁済等をした場合→他の連帯債務者は、債権者に対抗できる事由を有していたときは、その負担部分について、その事由をもって弁済者に対抗できる。相殺をもって対抗されたときは、弁済者は債権者に対し、相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求できる。
- 443条2項(事後の通知): 他の連帯債務者があることを知りながら弁済後の通知を怠ったため、他の連帯債務者が善意で弁済等をした場合→その連帯債務者は、自己の弁済等を有効であったものとみなすことができる。
- 444条: 償還をする資力のない者がいる場合は、償還できない部分を求償者及び他の資力のある者の間で、各自の負担部分に応じて分割して負担する。
- 445条: 連帯債務者の一人に対して債務の免除がされ、又はその一人のために時効が完成した場合でも、他の連帯債務者はその一人に対し442条1項の求償権を行使できる。
【試験での位置づけ】
行政書士試験における求償権の典型的な出題パターンは、(a)求償権の成立要件(共同の免責。負担部分を超えるかどうかは問わない)と求償額の計算、(b)事前通知義務の違反(443条1項)と求償権の制限、(c)事後通知義務の違反(443条2項)と善意の連帯債務者の保護、(d)不能者がいる場合の按分負担(444条)です。特に443条の事前・事後通知は「通知しなかったとき」の効果が問われ、「常に有効」「求償を妨げられない」という断定的な表現が誤りの選択肢になります(ウ・エのような問題)。
【各選択肢の発展補足】
- ア: 誤り。求償権の行使に他の連帯債務者の事前同意を要する規定はない。求償権は弁済等の共同免責により法律上当然に発生する。
- イ: 誤り。現行442条1項は「自己の負担部分を超えるかどうかにかかわらず」求償できると定める。したがって負担部分以内の一部弁済であっても、その支出額について他の連帯債務者にその負担部分に応じて求償できる。「負担部分以内の弁済では求償権が生じない」とする点が誤り。
- ウ: 誤り。443条1項により、事前の通知なしに弁済すると、他の連帯債務者が債権者に対抗できる事由を有していた場合、その負担部分についてその事由を対抗される。「常に有効な求償権」は誤り。
- エ: 誤り。443条2項により、事後の通知を怠ったため他の連帯債務者が善意で弁済等をした場合、その連帯債務者は自己の弁済等を有効であったものとみなすことができ、先の弁済者の求償は妨げられうる。
- オ: 正しい(正答)。442条1項の文言どおり。負担部分が平等(A・B・C各100万円、債務総額300万円)の場合に、Aが60万円だけ弁済したときでも、AはB・Cにそれぞれ60万円の3分の1にあたる20万円ずつ求償できる。自己の負担部分(100万円)を超えたかどうかは問題にならない。
【根拠条文】
民法 第442条第1項・第2項(連帯債務者の求償権)
民法 第443条第1項・第2項(通知義務と求償の制限)
民法 第444条(償還不能者がいる場合の按分)
【参照判例】
(本論点は条文問題として整理)
【補足】
443条の事前・事後通知義務は「通知を怠ったことで求償が制限される」という帰結を正確に理解すること。「常に有効」「妨げられない」という断定は誤りのシグナル。
- 民法第442条・第443条・第444条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法 第442条・第443条 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

