民法89認知・準正

行政書士 民法 問89:認知・準正

認知および準正に関する次のア〜オの記述のうち、現行民法の規定に照らして**正しいもの**はどれか。

  • 父は、胎内にある子を認知することができるが、この場合は母の承諾は不要である。
  • 成年の子を認知するには、その子の承諾を得ることが必要である。
  • 父が認知した後に父母が婚姻すれば準正が生じ、その子は認知時に遡って嫡出子の身分を取得する。
  • 認知は、父が遺言によって行うことはできず、認知届を自ら提出することによってのみ行うことができる。
  • 母が婚姻外の子を出産した場合、出生届の提出によって母子間の法的親子関係が当然に成立し、母からの認知届は不要である。正答
正答:母が婚姻外の子を出産した場合、出生届の提出によって母子間の法的親子関係が当然に成立し、母からの認知届は不要である。

AI解説(初心者・標準・上級)

理解度に合わせて3レベルの解説を無料で読めます。根拠条文・判例も明記。

初心者向けまずはここから。やさしく要点を解説

婚姻外で生まれた子(非嫡出子)と母との間の親子関係は、分娩の事実によって当然に成立します(最大判昭37.4.27参照)。したがって母からの認知届は不要です。これがオの根拠で正答です。アは誤りで、胎内の子の認知には母の承諾が必要です(民法783条1項)。イは正しく(民法782条・成年の子の認知には子の承諾が必要)。ウは誤りで、準正(婚姻による嫡出子化)の効力は認知時ではなく婚姻時または認知時(先後による)に生じます。エは誤りで、民法781条2項は遺言による認知を認めています。

標準試験対策の基準レベル

正答はオです。判例(最大判昭37.4.27)は、非嫡出子と母の間の親子関係は、分娩という客観的事実によって当然に成立するとしており、母からの認知届は不要です。一方、父との間の親子関係は認知(民法779条)によってのみ成立します。

各選択肢を確認します。ア(誤):民法783条1項は「父は、胎内に在る子を認知することができる。この場合においては、母の承諾を得なければならない」と規定し、母の承諾が必要です。イ(正):民法782条は「成年の子は、その承諾がなければ、これを認知することができない」と規定しており、成年の子の認知には子の承諾が必要です。ウ(誤):民法789条は準正について規定しており、「父が認知した子は、その父母の婚姻によって嫡出子の身分を取得する」(同条1項・婚姻準正)と「婚姻中に父が認知した子は、その認知の時から、嫡出子の身分を取得する」(同条2項・認知準正)と規定します。ウの「認知時に遡って」は誤りであり、効力は「婚姻時」(婚姻準正)または「認知時」(認知準正)に生じます(遡及ではない)。エ(誤):民法781条2項は「認知は、遺言によってもすることができる」と規定し、遺言認知が認められています。

上級誤答論破・条文/判例まで深掘り

【理論的背景】

非嫡出子(婚姻外で生まれた子)の法的地位については、嫡出子(婚姻関係にある夫婦間の子)と区別されます。非嫡出子と母の間の親子関係は分娩の事実によって当然に成立しますが(判例・通説)、父との間の親子関係は認知(民法779条)によってのみ成立します。この非対称性は、分娩による母子関係の自明性と、父子関係の認定における困難さ(誰が父であるかの客観的確定の難しさ)に由来します。準正は、認知された子が父母の婚姻によって嫡出子の身分を取得する制度であり、非嫡出子の地位の改善を図ります。なお、2013年の最大決(最大決平25.9.4)が非嫡出子の相続分差別(旧民法900条4号ただし書・嫡出子の2分の1)を違憲としたことで、現在は嫡出子・非嫡出子の法定相続分は同一となっています(民法900条4号ただし書削除)。

【実務・条文構造】

認知・準正に関する主要条文を整理します。民法779条:父または母は嫡出でない子を認知できる(父が認知するのが通常。母は分娩により当然に成立するが、明文上認知できることも確認)。民法781条1項:認知は戸籍法に従い届け出。民法781条2項:遺言による認知も可能。民法782条:成年の子の認知→子の承諾が必要。民法783条1項:胎内の子の認知→母の承諾が必要。民法783条2項:死亡した子の認知→直系卑属が存在する場合のみ可能(直系卑属が成年の場合はその承諾が必要)。民法784条:認知の遡及効(出生時に遡って効力を生じる。ただし第三者が既に取得した権利を害することはできない)。民法789条第1項:婚姻準正(父の認知後、父母が婚姻→婚姻の時から嫡出子の身分)。民法789条第2項:認知準正(父母の婚姻後、父が認知→認知の時から嫡出子の身分)。

【試験での位置づけ】

行政書士試験での認知・準正の論点は、(1)母子間の親子関係は分娩で当然成立・認知不要(オ)、(2)胎内の子の認知に母の承諾が必要(ア・民法783条1項)、(3)成年の子の認知に子の承諾が必要(イ・民法782条)、(4)遺言認知の可否(可・民法781条2項)、(5)準正の種類(婚姻準正 vs 認知準正)と効果発生時期が中心です。ウの「認知時に遡って嫡出子の身分を取得する」は準正の効力発生時期を誤らせる典型的な引っかけです。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 誤り。民法783条1項が「母の承諾を得なければならない」と明記。胎内の子について父が勝手に認知できないように母の承諾を要求することで、胎児の認知権濫用を防ぐとともに母子の利益を保護する。
  • イ: 正しい。民法782条が根拠。成年の子は自ら父との関係について判断できる立場にあり、望まない認知を防ぐために子の承諾を要求する。未成年の子については子の承諾は不要(法定代理人も不要・親権者は認知に関する事項は父のみが決定するため)。
  • ウ: 誤り。民法789条1項(婚姻準正)・2項(認知準正)の効力発生時期は「婚姻時」または「認知時」であり、認知時に「遡って」とする記述は誤り。ウは一見「遡及効がある」ように見えるが、準正の効力はあくまでも婚姻時・認知時から将来に向かって生じる(民法784条の認知の遡及効と混同しないこと)。
  • エ: 誤り。民法781条2項が明確に「認知は、遺言によってもすることができる」と規定する。遺言認知は遺言の効力発生時(遺言者の死亡時)に認知の効力も発生する。遺言執行者が認知届を提出する。
  • オ: 正しい(正答)。最大判昭37.4.27の確立した判例が根拠。母と非嫡出子の間の親子関係は分娩の事実によって当然成立し、認知届は不要。父と非嫡出子の親子関係については認知(民法779条)が必要な点と明確に区別すること。

【根拠条文】

民法 第779条(認知)、第781条第2項(遺言による認知)、第782条(成年の子の認知に必要な承諾)、第783条第1項(胎内の子の認知に必要な母の承諾)、第784条(認知の遡及効)、第789条(準正)

【参照判例】

母子間の親子関係(最大判 昭和37年4月27日・分娩の事実による当然成立)

【補足】

「母子関係は分娩で当然成立・認知不要」は最重要論点。胎内の子の認知に「母の承諾」、成年の子の認知に「子の承諾」が必要な点は数値・要件を正確に押さえること。準正の効力発生時期(婚姻時or認知時)と民法784条の認知の遡及効を混同しないこと。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法 第779条・第781条・第782条・第783条・第784条・第789条 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

関連論点

認知・準正頻出度C

民法の他の問題

1
制限行為能力者・未成年者
2
制限行為能力者・被保佐人・被補助人
3
制限行為能力者・取消権・追認
4
意思表示・錯誤の現行規律
5
意思表示・錯誤の重要性・動機の錯誤
6
意思表示・詐欺・強迫

全365問・科目別に解いて、行政書士に最短合格

行政法・民法・憲法を科目別に攻略。各問に根拠条文・判例とAI解説(3レベル)付き。