問題
認知および準正に関する次のア〜オの記述のうち、現行民法の規定に照らして正しいものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
民法784条は「認知は、出生の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者が既に取得した権利を害することはできない」と規定しており、オはこの条文どおりで正答です。アは誤りで、胎内の子の認知には母の承諾が必要です(民法783条1項)。イは誤りで、成年の子は、その承諾がなければ認知できません(民法782条)。ウは誤りで、認知後に父母が婚姻した場合、子は「その父母の婚姻によって」嫡出子の身分を取得します(民法789条1項)。エは誤りで、民法781条2項は遺言による認知を認めています。
正答はオです。民法784条は「認知は、出生の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者が既に取得した権利を害することはできない」と規定しています。認知によって、子は出生の時から父の子であったものと扱われますが、その間に第三者が既に取得した権利は害されません。
各選択肢を確認します。ア(誤):民法783条1項は「父は、胎内に在る子でも、認知することができる。この場合においては、母の承諾を得なければならない」と規定し、母の承諾が必要です。イ(誤):民法782条は「成年の子は、その承諾がなければ、これを認知することができない」と規定しており、成年の子を承諾なしに認知することはできません。ウ(誤):民法789条1項は「父が認知した子は、その父母の婚姻によって嫡出子の身分を取得する」(婚姻準正)、同条2項は「婚姻中父母が認知した子は、その認知の時から、嫡出子の身分を取得する」(認知準正)と規定します。認知の後に父母が婚姻した場合(ウの場面)は1項により「父母の婚姻によって」嫡出子の身分を取得するのであり、「認知時に遡って」取得するのではありません。エ(誤):民法781条1項は認知を戸籍法の定めるところによる届出によってするとしつつ、同条2項は「認知は、遺言によっても、することができる」と規定し、遺言による認知が認められています。
【理論的背景】
嫡出でない子(婚姻外で生まれた子)については、民法779条が「その父又は母がこれを認知することができる」と定め、認知によって法律上の親子関係を明らかにする仕組みを置いています。認知は届出(781条1項)のほか、遺言によってもすることができます(同条2項)。
認知には、関係者の利益を守るための承諾要件があります。成年の子を認知するには子の承諾が必要であり(782条)、胎内の子を認知するには母の承諾が必要です(783条1項)。認知の効力は出生の時にさかのぼりますが(784条本文)、その間に第三者が既に取得した権利を害することはできません(同条ただし書)。準正は、認知された子が父母の婚姻によって嫡出子の身分を取得する制度です(789条)。
【実務・条文構造】
認知・準正に関する主要条文を整理します。
- 民法779条:嫡出でない子は、その父又は母がこれを認知することができる。
- 民法781条1項:認知は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによってする。同条2項:遺言によっても認知できる。
- 民法782条:成年の子は、その承諾がなければ認知できない。
- 民法783条1項:父は胎内に在る子でも認知できるが、母の承諾が必要。同条2項:その子が出生した場合に772条により子の父が定められるときは、胎児認知は効力を生じない。同条3項:父又は母は、死亡した子でも、その直系卑属があるときに限り認知でき、直系卑属が成年者であるときはその承諾が必要。
- 民法784条:認知は出生の時にさかのぼって効力を生ずる。ただし第三者が既に取得した権利を害することはできない。
- 民法789条1項:父が認知した子は、その父母の婚姻によって嫡出子の身分を取得する(婚姻準正)。同条2項:婚姻中父母が認知した子は、その認知の時から嫡出子の身分を取得する(認知準正)。同条3項:子が既に死亡していた場合にも準用。
【試験での位置づけ】
行政書士試験での認知・準正の論点は、(1)胎内の子の認知に母の承諾が必要(ア・783条1項)、(2)成年の子の認知に子の承諾が必要(イ・782条)、(3)遺言認知の可否(可・781条2項)、(4)認知の遡及効とその限界(オ・784条)、(5)準正の種類(婚姻準正と認知準正)と身分取得の時期(ウ・789条)が中心です。「誰の承諾が必要か」「いつから効力が生じるか」は、条文の文言をそのまま覚えておけば確実に判断できます。
【各選択肢の発展補足】
- ア: 誤り。民法783条1項が「母の承諾を得なければならない」と明記。胎内の子について父が一方的に認知できないよう、母の承諾を要求している。
- イ: 誤り。民法782条は「成年の子は、その承諾がなければ、これを認知することができない」と定める。成年の子は自ら判断できる立場にあり、望まない認知を防ぐために子の承諾を要求する。
- ウ: 誤り。認知の後に父母が婚姻した場合は、789条1項により「その父母の婚姻によって」嫡出子の身分を取得する。「認知時に遡って」とする点が条文と合わない。婚姻中に認知された場合(789条2項)は「その認知の時から」嫡出子の身分を取得する。784条の認知の遡及効と混同しないこと。
- エ: 誤り。民法781条2項が「認知は、遺言によっても、することができる」と規定する。届出によるほか遺言でも認知できる。
- オ: 正しい(正答)。民法784条の文言どおり。本文で出生時への遡及効を定め、ただし書で第三者が既に取得した権利を保護している。
【根拠条文】
民法 第779条(認知)、第781条(認知の方式)、第782条(成年の子の認知)、第783条(胎児又は死亡した子の認知)、第784条(認知の効力)、第789条(準正)
【補足】
胎内の子の認知に「母の承諾」(783条1項)、成年の子の認知に「子の承諾」(782条)、死亡した子の認知は直系卑属があるときに限る(783条3項)。認知の効力は出生時にさかのぼる(784条)が、準正による嫡出子の身分取得は「婚姻によって」(789条1項)または「認知の時から」(789条2項)である点を区別すること。
- 民法第784条・第783条・第782条・第789条・第781条・第779条e-Govで原文を読む
- 戸籍法e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法 第779条・第781条・第782条・第783条・第784条・第789条 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

