ITパスポート 令和3年度 問26:経営戦略に関する問題
企業の人事機能の向上や,働き方改革を実現することなどを目的として,人事評価や人材採用などの人事関連業務に,AIやIoTといったITを活用する手法を表す用語として,最も適切なものはどれか。
- ae-ラーニング
- bFinTech
- cHRTech正答
- dコンピテンシ
AI解説(初心者・標準・上級)
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答えは c「HRTech」 です。
HRは「人事(Human Resources=会社で人を扱う仕事)」、Techは「技術(IT)」。つまり、人の採用や評価といった人事の仕事に、AIなどのITを使う取り組みが「HRTech」です。
👉 覚え方:HR(人事)+Tech(技術)=人事にITを使う、でそのまま。
ほかの選択肢:a e-ラーニング=ネットで学ぶ学習のしくみ/b FinTech=お金(Finance)にITを使う(〇〇ペイなど)/d コンピテンシ=仕事ができる人に共通する行動の特徴。どれも「人事の仕事にITを使う」HRTechとは違います。
なぜこれが正解か
正解は c。HRTech(HR Technology)は、人事評価・人材採用・育成・労務管理などの人事関連業務(Human Resources)にAI・IoT・ビッグデータといったITを活用し、人事機能の向上や働き方改革を実現する手法・サービスを指す。
各選択肢の解説
- a e-ラーニング:インターネットを使った学習形態。人事業務全般のIT化ではない。
- b FinTech:金融(Finance)×IT。決済・送金・資産運用などへのIT活用。
- d コンピテンシ:高業績者に共通する行動特性。評価・育成の概念だがIT活用の手法名ではない。
覚え方・ひっかけ注意
「○○Tech」は『対象分野+テクノロジー』。HR=人事、Fin=金融。本問は人事の話なので HRTech。d のコンピテンシは人事評価で使う考え方だが「ITを活用する手法を表す用語」ではない点がひっかけ。
理論的背景:X-Techとピープルアナリティクス
HRTech(HR Technology)はFinTech・EdTech・AgriTech・HealthTech・LegalTech等と並ぶX-Tech(クロステック)の一種で、「既存の産業・機能にテクノロジーを掛け合わせて変革する」潮流を指す。HRTechの本質的な革新は、従来「勘・経験・上司の印象」に依存していた人事意思決定をデータドリブン(ピープルアナリティクス:People Analytics)に転換する点にある。採用での偏見排除・離職予測・人員配置最適化・エンゲージメント向上施策の効果測定をデータで裏付ける「証拠に基づく人事管理(Evidence-Based HRM)」が目指す姿。IBMの「Smarter Workforce」やGoogleの「People Operations」がその先駆的実践事例として知られる。
HRTechの主要カテゴリと具体例
①採用(Recruiting Tech):AI書類選考(SmartRecruiters・HireVue等)・採用広告ターゲティング・動画面接AI分析、②配置・評価(Performance Tech):目標管理(OKR)ツール(Lattice・15Five)・360度フィードバック・コンピテンシ評価デジタル化、③勤怠・労務管理:クラウド勤怠(freee人事労務・SmartHR)、④エンゲージメント測定:定期的パルスサーベイ・組織診断(Motify・Wevox)、⑤育成(L&D:Learning & Development):LMS(Learning Management System)・マイクロラーニング・オンボーディング自動化。選択肢aのe-ラーニングはHRTechの学習・育成カテゴリのひとつのツールに過ぎず、人事全体のIT化を指すHRTechより狭い概念。
実務課題と倫理的懸念
AIを使った採用スクリーニングは、訓練データに含まれる過去の採用バイアスを学習して差別的な選考を行うリスク(アルゴリズムバイアス)がある。AmazonのAI採用システムが女性候補者を低評価する傾向を示したため2018年に廃止された事例が有名。GDPRや個人情報保護法の観点からは、採用選考でのAI利用に「自動化された意思決定に対する異議申し立て権」の整備が課題になっている。
上位資格への接続
基本情報技術者ではX-Tech全体の用語識別(FinTech・EdTech・AgriTech・HRTech等の対応分野)・DXとHRTechの関係・コンピテンシモデルとHRTechの接続が問われる。応用情報以上ではデータドリブン経営・個人情報保護(従業員データの適法な取扱い)・組織能力(OD:Organization Development)との統合的理解が求められる。
選択肢の発展補足
選択肢dのコンピテンシは、ハーバード大のマクレランドが1970年代に提唱した「高業績者に共通する行動特性(態度・思考・行動パターン)」の概念。コンピテンシモデルをHRTechシステム(評価・育成プラットフォーム)の評価基準として組み込み、デジタル化して測定・分析するのがHRTechの典型的な活用パターン。e-ラーニング(選択肢a)は1990年代からあるオンライン学習形態で、LMSの普及・スマートフォン対応・マイクロラーニング(短時間・単発の学習コンテンツ)・適応学習(AI が学習者のレベルに合わせてコンテンツを自動調整)といったHRTech化が進んでいる。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和3年度 問26/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。