ITパスポート 令和3年度 問27:経営戦略に関する問題
BYODの事例として,適切なものはどれか。
- a大手通信事業者から回線の卸売を受け,自社ブランドの通信サービスを開始した。
- bゴーグルを通してあたかも現実のような映像を見せることで,ゲーム世界の臨場感を高めた。
- c私物のスマートフォンから会社のサーバにアクセスして,電子メールやスケジューラを利用することができるようにした。正答
- d図書館の本にICタグを付け,簡単に蔵書の管理ができるようにした。
AI解説(初心者・標準・上級)
理解度に合わせて3レベルの解説を無料で読めます。
答えは c です。
BYODは「自分のスマホやパソコンを、会社の許可のもとで仕事にも使うこと」です。BYOD=Bring Your Own Device(自分の機器を持ち込む)の頭文字。
私物のスマホから会社のメールや予定表を見られるようにした(c)が、まさにBYODです。
👉 覚え方:BYOD=「自分の(Your Own)機器(Device)を持ち込む(Bring)」。
ほかの選択肢:a は他社の回線を借りて自社ブランドで通信を売る話(MVNO)/b はゴーグルで仮想世界を体験する話(VR)/d は本にICタグを付けて管理する話(RFID)。どれも「私物の機器を仕事に使う」BYODではありません。
なぜこれが正解か
正解は c。BYOD(Bring Your Own Device)は、従業員が私物のPCやスマートフォンなどを、会社の許可のもとで業務に利用すること。私物スマホから会社サーバにアクセスしてメールやスケジューラを使う c がその事例。
各選択肢の解説
- a:通信事業者から回線の卸売を受け自社ブランドで通信サービス → MVNO(仮想移動体通信事業者)。
- b:ゴーグルで現実のような映像を見せ臨場感を高める → VR(仮想現実)。
- d:本にICタグを付け蔵書を簡単に管理 → RFID/ICタグの活用。
覚え方・ひっかけ注意
BYOD=「私物の端末を業務利用」。利便性が上がる反面、情報漏えいリスクが高いため会社の許可・ルール(MDM等)が前提。a のMVNO、d のRFIDも頻出用語なので3文字略語・略称で混同しないこと。
理論的背景と導入動向
BYOD(Bring Your Own Device)は2000年代後半にスマートフォンの急速な普及とともに登場した概念で、Intel社が2009年に公式ポリシーとして導入したことで業界に広まった。企業としての導入メリットは①端末調達・維持コストの削減(端末購入費・補助費・IT管理コストの一部を従業員負担に転換)、②使い慣れた端末での生産性向上(操作習熟コストゼロ)、③テレワーク・モバイルワークの推進(個人端末が業務の延長となる)、④採用競争力(働き方の柔軟性をアピール)。リスクは①情報漏洩(紛失・盗難時のデータ露出・クラウドへの無制限同期)、②シャドーIT(許可されていないアプリの業務利用)、③マルウェア感染の拡散(私的利用でウイルス感染した端末が社内ネットワークに接続)、④労務管理の困難(業務・私的の境界が曖昧になり時間外労働の把握が難しくなる)。
統制技術の詳細
MDM(Mobile Device Management):端末全体を一元管理しリモートワイプ・ポリシー強制(パスワード複雑性・暗号化要件)・アプリインベントリを実施。BYODでは個人データと業務データが混在するため「企業データのみを選択的に消去(Selective Wipe)」できるMDMが不可欠。MAM(Mobile Application Management):端末全体でなくアプリ単位で管理し、業務アプリへのデータ暗号化・コピー禁止・DLP(Data Loss Prevention)ポリシーを適用する。コンテナ化(ワークプロファイル):AndroidのWork ProfileやiOSのManaged Appsで業務領域と個人領域を論理的に分離し、業務データの企業管理下への封じ込めを実現。
ゼロトラストとの接続
従来の境界型セキュリティ(社内ネットワーク内は安全)ではBYODによる私物端末からのアクセスを適切に制御できないため、ゼロトラストアーキテクチャ(すべてのアクセスを都度認証・認可)との組み合わせが現代の標準。エンドポイントの健全性(OSバージョン・パッチ状態・マルウェア対策)を継続的に評価し、リスク状態に応じてアクセス権を動的に変化させるAWS/Azure AD Conditional Accessのような仕組みが実務では使われる。
上位資格への接続
基本情報技術者ではBYODのメリット・リスク・対策(MDM・リモートワイプ・コンテナ化)・テレワークとの組み合わせ・ゼロトラストの接続が問われる。応用情報以上ではデータ分類・DLP・CASB(Cloud Access Security Broker:クラウドサービスへのアクセスを可視化・制御する仲介ブローカー)との統合的なエンドポイントセキュリティアーキテクチャが出題される。
選択肢の発展補足
選択肢aのMVNO(Mobile Virtual Network Operator)は大手キャリア(ドコモ・au・SoftBank)から回線卸売を受けて格安SIMサービスを提供する事業者で、MVNE(仮想移動体サービス提供者:MVNOを支援する中間業者)と区別される。選択肢bのVRはVR(Virtual Reality:完全仮想空間)・AR(Augmented Reality:現実に情報を重畳)・MR(Mixed Reality:現実と仮想を融合)・XR(Extended Reality:VR/AR/MRの総称)と合わせて出題が増えている。選択肢dのRFID(Radio Frequency Identification)はUHF帯(EPC Gen2)が物流・小売でほぼ標準化されており、1スキャンで数百枚のタグを一括読取できる点がバーコード・QRコードとの決定的な差異。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和3年度 問27/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。