ITパスポート 令和3年度 問5:コンピュータシステムに関する問題
クラウドコンピューティングの説明として,最も適切なものはどれか。
- aシステム全体を管理する大型汎用機などのコンピュータに,データを一極集中させて処理すること
- b情報システム部門以外の人が自らコンピュータを操作し,自分や自部門の業務に役立てること
- cソフトウェアやハードウェアなどの各種リソースを,インターネットなどのネットワークを経由して,オンデマンドでスケーラブルに利用すること正答
- dネットワークを介して,複数台のコンピュータに処理を分散させ,処理結果を共有すること
AI解説(初心者・標準・上級)
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答えは c です。
クラウドコンピューティングは、コンピュータの機能(ソフトやデータ置き場)を自分のパソコンに持たず、インターネットの向こう側から借りて使うやり方です。
イメージは「電気」。家に発電機を置かなくても、コンセントにつなげば必要なだけ電気が使えますよね。クラウドも同じで、使いたいときに使いたいだけ借りられます。
👉 覚え方:クラウド=雲(ネットの向こう)。「自分で持たずに借りる」!
ほかの選択肢:a =大型コンピュータに集中させる昔ながらのやり方/b =現場の人が自分でPCを使う(EUC)/d =複数のPCで手分けして処理する(分散処理)。
なぜこれが正解か
正解は c。クラウドコンピューティングは、ソフトウェア・ハードウェア・ストレージなどの各種リソースを、インターネット等のネットワーク経由で、オンデマンド(必要なときに)かつスケーラブル(必要量に応じて伸縮)に利用する形態。自社で資産を保有しない点が特徴。
各選択肢の解説
- a:大型汎用機にデータを一極集中させて処理するのは集中処理(メインフレーム)方式。
- b:情報システム部門以外の人が自ら操作し業務に役立てるのはEUC(エンドユーザコンピューティング)。
- d:複数台に処理を分散させ結果を共有するのは分散処理(グリッド/分散コンピューティング)。
覚え方・ひっかけ注意
キーワードは「オンデマンド+スケーラブル+ネットワーク経由」。dの「分散処理」と混同しやすいが、クラウドの本質は"所有から利用へ(従量課金で借りる)"という点。
技術的背景とNIST定義
クラウドコンピューティングはNIST SP 800-145(2011年)で正式定義され、5つの基本特性(①オンデマンド・セルフサービス、②幅広いネットワークアクセス、③リソースの共用、④迅速な伸縮性、⑤計測可能なサービス)を持つ。これらを技術的に支えるのがサーバ仮想化(VMware ESXi・Hyper-V)とコンテナ技術(Docker・Kubernetes)によるリソースプール化で、テナント間の物理リソースを論理的に隔離しながら共用する。従量課金(メータリング)はCPU・メモリ・ストレージ・ネットワーク転送量を単位時間で計測して実現する。
サービスモデルと責任共有モデル
クラウドは提供範囲でIaaS(インフラ:AWS EC2・Azure VMなど)・PaaS(プラットフォーム:AWS RDS・Azure App Serviceなど)・SaaS(アプリ:Gmail・Salesforceなど)に分類される。セキュリティの「責任共有モデル」では、IaaSはOSから上のレイヤをユーザーが管理し、SaaSはほぼベンダー責任となる。この管理境界の理解はクラウドセキュリティ設計の基本であり、誤認が情報漏洩インシデントの原因になる。配置形態ではパブリック・プライベート・ハイブリッド・コミュニティの4形態があり、金融機関・医療機関は規制対応のためプライベートクラウドやハイブリッド構成を選ぶ傾向がある。
実務での使われ方
日本企業のクラウド活用はIaaS中心から、マイクロサービスアーキテクチャ・サーバレス(AWS Lambda・Azure Functions)・コンテナオーケストレーション(Kubernetes)へ進化している。コスト最適化にはリザーブドインスタンス(1〜3年予約で最大75%割引)やスポットインスタンスの活用、不要リソースの自動停止などのFinOpsプラクティスが重要。
上位資格への接続
基本情報技術者では責任共有モデルの詳細・仮想化技術の仕組み・クラウドネイティブアーキテクチャが問われる。応用情報・高度情報ではマルチクラウド戦略・ベンダーロックイン回避・SLA(サービスレベル合意)設計・災害対策(DR:Disaster Recovery)設計まで踏み込む。クラウドセキュリティ専門の資格(CCSP・AWS認定Solutions Architect等)は実務資格として需要が高い。
選択肢の発展補足
選択肢bのEUCはシャドーITや「神Excel」問題の温床にもなる。選択肢dの分散処理はHadoop・Sparkのような大規模データ処理フレームワークで実装され、クラウド上のマネージドサービス(AWS EMR・Google Dataproc)として提供される——クラウドは分散処理をサービスとして包含する上位概念とも言える。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和3年度 問5/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。