ITパスポート 令和4年度 問31:品質管理に関する問題
コールセンタの顧客サービスレベルを改善するために,顧客から寄せられたコールセンタ対応に関する苦情を分類集計する。苦情の多い順に,件数を棒グラフ,累積百分率を折れ線グラフで表し,対応の優先度を判断するのに適した図はどれか。
- aPERT図
- b管理図
- c特性要因図
- dパレート図正答
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答えは d「パレート図」 です。
パレート図は、「多い順に棒グラフを並べて、その上に“ここまでで全体の何割か”を折れ線で重ねた図」です。
この問題は「苦情を多い順に並べて、どれから手をつけるか決めたい」という話。まさにパレート図の出番。多い苦情から直せば効率よく改善できます。
👉 覚え方:パレート図=「多い順の棒+積み上げ折れ線」。“重要な少数を見つける”図。
ほかの選択肢:a PERT図=作業の段取り・日程の図/b 管理図=品質が安定してるか見張る折れ線/c 特性要因図=原因を魚の骨みたいに枝分かれで描く図。
なぜこれが正解か
正解は d。パレート図は、項目を件数(件数や金額)の多い順に棒グラフで並べ、その累積百分率を折れ線で重ねた図。問題文の「多い順に件数を棒グラフ、累積百分率を折れ線で表し、優先度を判断」という記述がパレート図の定義そのもの。
各選択肢の解説
- a PERT図:✕ 作業の順序・所要時間を結んで日程やクリティカルパスを管理する図。
- b 管理図:✕ 時系列データと管理限界線で工程が安定状態か監視する図。
- c 特性要因図:✕ 結果(特性)に対する原因を魚の骨状に整理する図(フィッシュボーン)。
- d パレート図:○ 多い順の棒+累積百分率の折れ線。
覚え方・ひっかけ注意
問題文に「多い順の棒グラフ+累積百分率の折れ線」とあれば即パレート図。「重要な少数(上位項目)を優先する」ABC分析・80:20の法則と結びつく。特性要因図(原因分析)と混同しないこと。
理論的背景
パレート図(Pareto Chart)はイタリアの経済学者・社会学者Vilfredo Pareto(1848〜1923)の「80対20の法則(パレートの法則)」を品質管理に応用した統計的分析ツールである。QC(Quality Control)七つ道具の一つとして体系化され、問題の原因となる要因を頻度・件数の高い順に並べることで「重要な少数(vital few)」と「些細な多数(trivial many)」を識別し、限られた改善リソースを効果的に配分する根拠を提供する。
パレート図の構成要素は以下の通り。
- 横軸:問題の種類・原因の分類(件数の多い順に左から配置)
- 縦軸(左):各分類の件数(棒グラフの高さ)
- 縦軸(右):累積百分率(0〜100%)
- 棒グラフ:各分類の件数を大きい順に並べた棒
- 折れ線グラフ:累積百分率の推移(左から積み上げたときの合計%)
本問の「苦情の多い順に件数を棒グラフ、累積百分率を折れ線グラフで表し、対応の優先度を判断」という記述はパレート図の定義そのものであり、選択肢dが正解となる。
一般的な活用指針として「最初の2〜3項目が累積80%に達する」という場合、その項目に集中的に対策を打つことで全体の苦情の80%を解消できるという判断が成立する(パレート原理の実践)。
実務での使われ方
コールセンターでの品質改善はパレート図活用の典型例。「つながりにくい・オペレーターの対応が悪い・問題が解決しない・待ち時間が長い・手続きが複雑」などの苦情を件数集計してパレート図を作成すると、例えば「つながりにくい(40%)・対応が悪い(25%)」で累積65%に達し、この2項目を解決することで全苦情の65%に対応できる。
製造業の不良品改善、ソフトウェア開発でのバグトラッキング(バグの種類別件数のパレート分析)、ECサイトでのカスタマーサポート改善、医療現場でのインシデント分析など、「限られた改善リソースで最大効果を得る優先付け」が必要な場面に広く適用される。
Lean(リーン生産方式)・Six Sigma・TOC(制約条件の理論)などの改善手法でも、問題の優先付けツールとしてパレート図は標準的に使われる。
試験での位置づけ
ITパスポートの品質管理・統計分析分野で頻出。QC七つ道具(パレート図・特性要因図・ヒストグラム・散布図・管理図・チェックシート・層別)の名称と特徴の区別が問われる定番形式。本問の「件数の棒グラフ+累積百分率の折れ線グラフ+優先度判断」という3要素の記述がパレート図の直接的な定義と一致することで確実に正答できる。
上位資格では、QC七つ道具全種の詳細な使い方・作成手順・解釈方法、新QC七つ道具(親和図・連関図・系統図・マトリクス図・アローダイアグラム・PDPC・マトリクスデータ解析)との区別まで踏み込んだ問題が出る。
選択肢の発展補足
選択肢a(PERT図):Program Evaluation and Review Techniqueの略で、プロジェクト管理に使うネットワーク図。作業(アクティビティ)の先行・後続関係と所要時間を有向グラフで表し、最長所要時間経路(クリティカルパス)を特定してスケジュール管理に活用する。品質管理ではなくプロジェクトスケジュール管理の手法であり、件数を並べて優先度を判断する機能はない。関連概念としてガントチャート(作業の予実をバー表示)との違いも重要。
選択肢b(管理図):Control Chart(シューハート管理図)とも呼ばれ、製造工程の品質特性値の時系列変化を上方管理限界線(UCL)・下方管理限界線(LCL)とともに折れ線グラフで表示し、工程が統計的管理状態にあるかを監視する。異常(管理限界外の点・連続した上昇・下降等のパターン)を早期発見して工程の安定性を維持する目的に使う。優先度判断(件数の大小比較)ではなく工程安定性の監視が目的。
選択肢c(特性要因図):Cause-and-Effect Diagram、別名フィッシュボーン図(魚の骨のような外観)またはイシカワダイアグラム(石川馨が1950年代に考案)。品質問題・不具合の「結果(特性)」に影響する「原因(要因)」を「4M(材料・設備・作業方法・作業者)」などの大骨・小骨・孫骨の構造で整理する。原因の体系的な洗い出しに有効だが、問題の件数の多い順の並べ替え・累積百分率・優先度判断という機能はない。ブレーンストーミングと組み合わせて原因を網羅的に抽出する用途に適している。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和4年度 問31/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。