令和4年度32マネジメント系

ITパスポート 令和4年度 問32:開発技術・手法に関する問題

コンカレントエンジニアリングを適用した後の業務の流れを表した図として,最も適したものはどれか。ここで,図の中の矢印は業務の流れを示し,その上に各作業業名を記述する。

  • a仕様→製作図→工程図→製作(全て直列の矢印)
  • b仕様→製作図→工程図→製作(工程図と製作が並行する矢印)正答
  • c仕様→製作図→工程図→製作(製作図から製作まで並行する大きな矢印)
  • d仕様から製作図・工程図・製作が縦に並ぶ図
正答:B仕様→製作図→工程図→製作(工程図と製作が並行する矢印)

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初心者向けまずはここから。やさしく要点を解説

答えは b です。

コンカレントエンジニアリングとは、「いくつかの作業を、順番待ちせずに“同時並行”で進める」やり方。開発を早く終わらせる工夫です。

ふつうは「設計が終わってから次」と一列に進めますが、これだと時間がかかる。そこで重なってもいい作業を同時に進めます。bは工程図づくりと製作が並行している図なので正解です。

👉 覚え方:concurrent=「同時に」。作業を“重ねて”進める。

ほかの選択肢:a 全部一列=昔ながらの順番待ち(改善前)/c・d 流れがバラバラで業務の流れとして不自然。

標準試験対策の基準レベル

なぜこれが正解か

正解は b。コンカレントエンジニアリングは、設計・生産準備・製造などの複数工程を、前工程の完了を待たずに並行して進める手法。開発期間の短縮を狙う。bは「工程図」と「製作」が並行する矢印になっており、適用後の姿として最も適切。

各選択肢の解説

  • a 全工程が直列:✕ 従来の逐次型(ウォーターフォール的)で、適用前の流れ。
  • b 工程図と製作が並行:○ 一部工程を重ねて並行実施=コンカレントの効果。
  • c 製作図から製作まで全並行:✕ 設計が固まる前に全てを並行させるのは現実的でなく、過度。
  • d 縦に並ぶだけ:✕ 業務の流れ(順序関係)を適切に表していない。

覚え方・ひっかけ注意

「コンカレント=同時並行で期間短縮」。直列(a)は改善前、適度な並行(b)が改善後。すべてを並行(c)させるのは情報が確定せず手戻りを招くため不適切、という程度感が判定の決め手。

上級誤答論破・背景理論まで深掘り

理論的背景

コンカレントエンジニアリング(Concurrent Engineering:CE)は「並行設計」とも訳され、製品開発の各工程(設計・試作・生産準備・製造等)を順番に行うのではなく、可能な限り並行して同時進行させることで開発期間を短縮し、手戻りを早期発見・修正する開発手法である。1988年にRobert Winner(IDA:米国防衛分析研究所)が体系化し、日本の自動車・電機メーカーの「重量物主義(ホンダ・トヨタ等の製品開発チーム体制)」を参考に発展した。

本問の選択肢の違いは「どの工程が並行しているか」の図形的表現にある。

  • 選択肢a(全て直列):「仕様→製作図→工程図→製作」が1本の矢印で連続する。これはウォーターフォール型(逐次型)の従来手法で、コンカレントエンジニアリング適用前の状態。
  • 選択肢b(工程図と製作が並行):製作図が完成した段階で工程図の作成と製作を同時進行させる。コンカレントエンジニアリングの部分適用例として最も典型的な図形表現であり、本問の正解。
  • 選択肢c(製作図から製作まで大きな並行矢印):製作図・工程図・製作の全工程が大きく並行するという表現。実際にはこのような全工程完全並行は製作図なしに工程図・製作が始まれないため現実的でない場合が多い。
  • 選択肢d(仕様から製作図・工程図・製作が縦に並ぶ):全工程が同時並行で始まるという表現。仕様確定前に製作図・工程図・製作が始まれないため、技術的に成立しにくい表現。

コンカレントエンジニアリングの本質は「先行工程の完了を待たずに後続工程を開始できる部分で並行化する」ことであり、製作図→工程図(工程設計)の間に、工程図の一部が完成した時点で製作の一部を開始するという形が現実的な並行化となる。

実務での使われ方

自動車業界では「スーパーエンジニアリング(重量物主義)」として1980〜90年代のホンダ・トヨタが世界的競争力の源泉とした開発手法。設計・生産技術・製造・調達・マーケティングのメンバーが一つのチームに集まり、開発初期から全員参加で問題を発見・解決する(フロントローディング)ことで、後工程での高コストな設計変更を減らす。

現代のデジタルエンジニアリング(MBD:Model Based Development)でも、CAD設計データを共有して設計・シミュレーション・製造準備を並行させるデジタルスレッド(Digital Thread)の概念がコンカレントエンジニアリングの発展形として位置づけられる。航空機・自動車・半導体の複雑な製品では、設計変更の連鎖反応(Engineering Change Order:ECO)をデジタルで管理することが不可欠となっている。

試験での位置づけ

ITパスポートのマネジメント系・開発手法分野で出題。「コンカレント(concurrent)=並行・同時」という語義から「工程が並行する図形」を選ぶ問題。選択肢の図形記述(矢印の構造)を読み取る読解力も問われる。「完全直列(a)がコンカレント適用前、一部並行(b)が適用後」という対比が正答の核心。

上位資格では、コンカレントエンジニアリングの効果(開発期間短縮・手戻りコスト削減)とリスク(並行作業間の調整コスト・情報共有負荷)のトレードオフ、アジャイル開発との対比(製品開発のCE vs ソフトウェア開発のスプリント並行)まで踏み込んだ問題が出る。

選択肢の発展補足

選択肢a(全て直列):ウォーターフォール開発手法の基本形。前工程の完了が後工程の開始条件となる逐次処理。手順が明確で管理しやすい半面、後工程で発覚した問題が前工程に大きな手戻りを生じさせる「後戻りコスト」が高い。「設計完了後に試作→問題発見→設計変更→再試作」というサイクルは製品開発のコスト・時間を大きく損なう。

選択肢c(製作図から製作まで全て並行):コンカレントエンジニアリングの「理想形」に近い表現だが、製作図なしに工程図・製作が始まれない論理的制約がある。ただしデジタルツインや早期プロトタイプ活用により、製作図の一部が完成した段階で製作準備・試作を開始する「部分的なc的アプローチ」は実際の先進企業で行われており、bとcの違いは「どこまで並行化するか」の程度の差とも解釈できる。

選択肢d(全工程が縦に同時並行開始):前工程の情報なしに後工程を開始することは「インプットなし」の状態で作業するため、実務的には成立しにくい。ただしアジャイル開発では「スプリントの初日から設計・実装・テストのミニサイクルを全員で行う」という全工程並行に近い発想があり、ソフトウェア開発の文脈ではこのような同時並行アプローチが有効とされる。本問は製造業のモノづくりプロセス(仕様→設計図→工程図→製作)を前提としている。

出典・引用について

出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和4年度32/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。

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