令和4年度41マネジメント系

ITパスポート 令和4年度 問41:ファシリティマネジメントに関する問題

テレワークを推進しているある会社では,サテライトオフィスを構築している。サテライトオフィスで使用するネットワーク機器やPCを対象に,落雷による過電流を防止するための対策を検討した。有効な対策として,最も適切なものはどれか。

  • aグリーンITに対応した機器の設置
  • bサージ防護に対応した機器の設置正答
  • c無線LANルータの設置
  • d無停電電源装置の設置
正答:Bサージ防護に対応した機器の設置

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初心者向けまずはここから。やさしく要点を解説

答えは b です。

落雷が起きると、電線を通って『ドカン』と強すぎる電気が機器に流れ込み、パソコンやネット機器を壊すことがあります。これを防ぐのが『サージ防護』という機能の付いた機器(雷ガード付きの電源タップなど)。雷の大電流をブロックしてくれる門番のような役割です。

👉 覚え方:サージ=『急に来る大電流(雷)』、防護=『防ぐ』。

ほかの選択肢:a グリーンIT=省エネで地球にやさしくする話/c 無線LANルータ=Wi-Fiを飛ばす機器/d 無停電電源装置(UPS)=停電したときに電気を一時的に供給する装置。雷の過電流を止める役ではありません。

標準試験対策の基準レベル

なぜこれが正解か

正解は b。落雷時に電源線・通信線へ侵入する瞬間的な過電圧・過電流(サージ)から機器を守るのがサージ防護(サージプロテクタ/避雷器)。問われているのは『過電流の防止』なので、サージ防護機器が最も有効。

各選択肢の解説

  • a グリーンIT:省エネ・環境配慮の取組みで、雷対策とは無関係。
  • c 無線LANルータ:通信を行う機器であり、過電流防止の機能はない。
  • d 無停電電源装置(UPS):停電・瞬断時に電力を一時供給して安全にシャットダウンさせる装置。過電流(サージ)対策が主目的ではない。

覚え方・ひっかけ注意

『落雷=過電流=サージ』とセットで記憶。UPS(d)は“停電対策”であって“雷の過電流対策”ではない点が最大のひっかけ。『止まる→UPS』『過電流→サージ防護』と原因別に対応づける。

上級誤答論破・背景理論まで深掘り

理論的背景

落雷による機器損傷の主要メカニズムは「雷サージ(Lightning Surge)」であり、直撃雷と誘導雷の2種類がある。直撃雷は建物や電力線に雷が直接落ちるケースで、数万アンペアの電流が瞬時に流れる。誘導雷はより頻度が高く、近傍の落雷によって電磁誘導や静電誘導が電源線・通信線・LAN ケーブルに高電圧を発生させるメカニズムである。いずれもナノ秒〜マイクロ秒オーダーの急峻な過電圧・過電流(サージ)がPCやネットワーク機器の半導体素子を破壊する。

サージ防護デバイス(SPD:Surge Protective Device)はバリスタ(MOV:Metal Oxide Varistor)やガス放電管(GDT:Gas Discharge Tube)などの素子を使って実装される。通常動作電圧では高インピーダンスを保って電流を通さないが、規定の電圧(クランプ電圧)を超えた瞬間に低インピーダンスに切り替わり、過電流を大地(アース)へ逃がす。この仕組みから「サージプロテクタ」「SPD付き電源タップ」「雷ガードタップ」などとして市販されている。国際規格IEC 61643(低電圧SPD)・JIS A 4201(建築物等の雷保護)により設置基準・試験方法が規定されている。

実務での使われ方

データセンターやオフィスビルでは電源系統の引き込み口から末端まで「多段SPD配置」が標準設計とされる。IEC 62305(雷保護システム規格)に基づきClass I(引き込み主幹)・Class II(分電盤)・Class III(機器直近)の3段階でSPDを配置し、上流で大電流を逃がしつつ下流で残留サージを吸収する構成が基本である。

テレワークが普及したサテライトオフィスや在宅オフィスでは、電源用SPDに加えてLANポート・電話線ポートにも対応したSPD(通信線用:IEC 61643-21)を導入することが推奨される。SurgeX、APC、パンドウイット等のメーカーが法人向けSPD製品を展開している。重要な注意点として、SPDは消耗品であり被雷後は交換が必要な点、また有効なアース(接地)が不可欠な点がある。アース接地が不十分ではサージを逃がす先がなく、SPDが機能しない場合がある。

選択肢dのUPS(Uninterruptible Power Supply:無停電電源装置)は商用電源の停電・瞬時電圧低下(瞬停)時にバッテリから継続給電してシャットダウン猶予時間を確保する装置である。ラインインタラクティブ方式では電圧変動の補正機能も持つが、雷サージの主目的には対応していない。UPSにSPD機能を統合した複合製品もあるが、機能の主目的は可用性(電源継続)にある。

試験での位置づけ

ITパスポートのファシリティマネジメント分野では「原因(落雷の過電流)→対策(サージ防護)」「原因(停電)→対策(UPS)」「原因(熱・湿度)→対策(空調・防湿)」という対応関係の暗記が求められる。本問はUPS(d)との混同が最大のひっかけポイントである。UPSが「停電後の電力継続」、SPDが「雷サージの瞬時吸収」という目的の違いを明確に区別することが核心となる。

基本情報技術者(FE)ではこれに加えて「ファシリティ管理の全体像」として入退室管理・防火設備・耐震対策・温湿度管理・CCTV・電磁波シールドなどが包括的に問われる。情報処理安全確保支援士(SC)ではデータセンターの物理セキュリティ基準(ANSI/TIA-942等)、等電位ボンディング(接地電位を揃えて誘導サージを防ぐ設計)まで深掘りされる。

選択肢の発展補足

選択肢aのグリーンIT(Green IT)は、ITシステムの消費電力・環境負荷を低減する取り組みの総称である。データセンターの電力使用効率指標PUE(Power Usage Effectiveness)の最小化、省電力サーバの採用、冷却効率の向上(フリークーリング・液浸冷却等)、廃熱の再利用がテーマとなる。雷対策とは目的が根本的に異なるが、ファシリティ管理のコスト最適化という観点で関連する分野である。

選択肢cの無線LANルータはネットワーク機器であり、有線配線の削減によって配線経由のサージ伝播を一部低減する副次効果はあるものの、雷サージを能動的に吸収・遮断する機能はない。むしろ電源線経由でサージが侵入するリスクは無線化後も変わらないため、誤った安心感をもたないことが重要である。

出典・引用について

出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和4年度41/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。

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