ITパスポート 令和4年度 問48:品質マネジメントに関する問題
システム開発プロジェクトの品質マネジメントにおいて,品質上の問題と原因との関連付けを行って根本原因を追究する方法の説明として,適切なものはどれか。
- a管理限界を設定し,上限と下限を逸脱する事象から根本原因を推定する。
- b原因の候補リストから原因に該当しないものを削除し,残った項目から根本原因を絞り込む。
- c候補となる原因を魚の骨の形で整理し,根本原因を検討する。正答
- d複数の原因を分類し,件数が多かった原因の順に対処すべき根本原因の優先度を決めていく。
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答えは c です。
問題が起きたとき、『何が本当の原因か』を見つけるために、原因の候補を“魚の骨”の形に枝分かれで書き出して整理する方法があります。これを特性要因図(フィッシュボーン図)と呼びます。見た目が魚の骨にそっくりなんです。
👉 覚え方:魚の骨の図=特性要因図(原因を枝分かれで整理)。
ほかの選択肢:a 上限・下限の線を引いてはみ出しを見る=管理図/b 候補を消していって絞る=消去法的なやり方/d 件数の多い順に対処を決める=パレート図の考え方。『魚の骨』というキーワードが出たらcです。
なぜこれが正解か
正解は c。問題(特性)とその原因(要因)を魚の骨の形に整理して根本原因を追究する手法は『特性要因図(フィッシュボーンチャート/石川ダイアグラム)』。問題文の『候補となる原因を魚の骨の形で整理』がそのまま定義に一致する。
各選択肢の解説
- a 管理限界(上限・下限)を設定し逸脱から推定=管理図。工程が安定しているかを時系列で監視する図。
- b 候補から該当しないものを削除して絞る=消去法的アプローチ(特定の図法名ではない)。
- d 件数の多い順に優先度を決める=パレート図(重点指向、80:20の法則)。
覚え方・ひっかけ注意
QC七つ道具の『見た目』で覚える。『魚の骨=特性要因図』『時系列+上限下限線=管理図』『多い順の棒+累積折れ線=パレート図』。本問のキーワードは“魚の骨”なので即c。dのパレート図も『原因の優先度』で紛らわしいので、図の形で識別する。
理論的背景
本問の正解cは「候補となる原因を魚の骨の形で整理し、根本原因を検討する」手法、すなわち「特性要因図(Fishbone Diagram)」または「石川ダイアグラム(Ishikawa Diagram)」である。1943年に東京大学の石川馨が品質管理の文脈で考案した可視化手法で、「問題(結果)」を魚の頭に、それを引き起こす「原因の候補」を骨の枝として4M(Man・Machine・Method・Material)または6M(4M+Measurement・Mother Nature)の大骨に分類して図示する。
根本原因分析(RCA:Root Cause Analysis)の代表的手法は以下のように整理できる。①特性要因図(正解c):ブレインストーミングと組み合わせて仮説的原因を広く洗い出し、魚の骨の形で因果関係を可視化する。②5Why分析:問題に対して「なぜ?」を5回繰り返し、原因の連鎖を辿って根本原因にアクセスする(トヨタ生産方式で有名)。③管理図(選択肢a対応):UCL(上方管理限界)・LCL(下方管理限界)を設定し、データが管理限界を逸脱した際に工程の異常(特殊原因変動)を検出する統計的プロセス管理(SPC)ツール。④パレート図(選択肢d対応):問題を件数順に棒グラフ化して累積比率の折れ線を重ねることで、「重大な少数(Vital Few)」の原因に対処の優先度を絞り込む。
実務での使われ方
特性要因図はソフトウェア開発のQA活動、製造業の品質管理、医療現場のインシデント分析(ハインリッヒの法則・FMEA等との組み合わせ)、ITサービスマネジメントの問題管理(根本原因分析セッション)など幅広い分野で使われる。アジャイル開発ではスプリントレトロスペクティブにおいて「速度が低下した原因は何か」「バグが増えた原因は何か」といった問題を特性要因図で可視化・共有するチームも多い。
6シグマ(Six Sigma)のDMAIC(Define・Measure・Analyze・Improve・Control)プロセスの「Analyze(分析)」フェーズでは、特性要因図・回帰分析・多変量解析を組み合わせて統計的に根本原因を特定することが推奨されている。品質管理の「QC7つ道具」(パレート図・特性要因図・チェックシート・ヒストグラム・管理図・散布図・層別)はITパスポート・基本情報でそれぞれ定義と活用場面が問われる重要な概念群である。
選択肢aの「管理図」はShewhart管理図(ウォルター・シューハートが1920年代に開発)が原型で、X-R管理図(平均値と範囲の管理)・P管理図(不適合品率管理)・C管理図(欠陥件数管理)など変量の性質によって種類が使い分けられる。プロジェクト管理においてはバグ密度・テスト消化率の時系列監視にも応用できる。
試験での位置づけ
ITパスポートの品質マネジメント分野で「品質管理ツールの定義と用途の識別」は定番問題である。本問は「魚の骨の形」というユニークな視覚的特徴から正解を一意に特定できる一方、管理図(選択肢a)・パレート図(選択肢d)の定義も頻繁に単独問題として出題されるため、4種類全ての概念を対比的に習得することが効率的な学習アプローチとなる。
基本情報技術者(FE)では、QC7つ道具の全道具(特性要因図・パレート図・管理図・ヒストグラム・散布図・チェックシート・層別)の定義と適用場面が問われる。PMPやPMBOK第6版では「品質マネジメント知識エリア」の品質計画・品質保証・品質コントロールの各プロセスでこれらツールの活用が規定されており、「どのツールをどのプロセスで使うか」が上位試験では重要な論点となる。
選択肢の発展補足
選択肢bの「原因の候補リストから原因に該当しないものを削除し、残った項目から根本原因を絞り込む」は、消去法的な絞り込み手法であり「デルファイ法」の変形や「KJ法(川喜田二郎法)」によるカード整理に近い考え方である。特性要因図では原因の仮説を広く生成してから検証で絞るが、この選択肢は最初から候補を削除する点で方向性が逆であり、体系的な根本原因分析の手法としては一般的でない。
選択肢dの「パレート図」はビルフレド・パレートが提唱した「全体の80%の結果は20%の原因から生じる(パレートの法則・80-20の法則)」の可視化ツールである。品質問題の種類別件数を棒グラフで降順に並べ、累積比率の折れ線を重ねることで「対処すべき最重要原因TOP3」等を即座に特定できる。特性要因図が「なぜ発生するか(原因の構造)」を探るのに対し、パレート図は「どの原因が最も多いか(優先度決定)」を示すツールであり、両者は根本原因分析のプロセスで相補的に使われる。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和4年度 問48/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。