令和4年度67テクノロジ系

ITパスポート 令和4年度 問67:AI・機械学習に関する問題

ディープラーニングに関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • aインターネット上に提示された教材を使って、距離や時間の制約を受けることなく、習熟度に応じて学習をする方法である。
  • bコンピュータが大量のデータを分析し、ニューラルネットワークを用いて自ら規則性を見つけ出し、推論や判断を行う。正答
  • c体系的に分類された特定分野の専門的な知識から、適切な回答を提供する。
  • d一人一人の習熟度、理解に応じて、問題の難易度や必要とする知識、スキルを推定する。
正答:Bコンピュータが大量のデータを分析し、ニューラルネットワークを用いて自ら規則性を見つけ出し、推論や判断を行う。

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答えは b です。

ディープラーニングは、コンピュータがたくさんのデータをながめているうちに、「あ、こういうパターンがあるな」と自分でルールを見つけて、判断できるようになる仕組みです。

たとえば、犬の写真を何万枚も見せると、人が「ここが耳だよ」と教えなくても、コンピュータが自分で“犬っぽい特徴”を覚えていきます。脳のしくみ(ニューラルネットワーク)をマネしているのがポイントです。

👉 覚え方:「ディープ=たくさんのデータから、自分でルールを見つける」。

ほかの選択肢:a はネット学習(eラーニング)/c は専門知識から答えるエキスパートシステム/d は習熟度を測るアダプティブ学習、の話です。

標準試験対策の基準レベル

なぜこれが正解か

正解は b。ディープラーニング(深層学習)は機械学習の一手法で、多層のニューラルネットワークを用い、大量のデータから人が特徴を指定しなくてもコンピュータ自身が規則性(特徴量)を抽出し、推論・判断を行う。画像認識・音声認識・生成AIの中核技術。

各選択肢の解説

  • a:時間や場所の制約なく学べる=eラーニングの説明。
  • c:特定分野の専門知識から回答する=エキスパートシステムの説明。
  • d:学習者の理解度に応じて難易度を調整する=アダプティブラーニングの説明。

覚え方・ひっかけ注意

キーワードは「ニューラルネットワーク」「自ら規則性を見つける」。a・c・dはすべて“学習支援システム”の話で紛らわしいので、AI技術そのものを説明しているのはどれかで切り分ける。

上級誤答論破・背景理論まで深掘り

理論的背景

ディープラーニング(Deep Learning:深層学習)の正確な定義は正解bの通り「コンピュータが大量のデータを分析し、ニューラルネットワークを用いて自ら規則性を見つけ出し、推論や判断を行う」技術である。「ディープ(深い)」とは多層のニューラルネットワーク(Deep Neural Network:DNN)を指し、入力層・複数の隠れ層・出力層から構成される多層構造が特徴である。

AIの階層関係として「AI ⊃ 機械学習 ⊃ ディープラーニング」という包含関係を押さえることが重要である。①AI(人工知能):人間の知的活動をコンピュータで模倣する技術全般。②機械学習(Machine Learning):人間がルールを明示的にプログラムするのではなく、データからコンピュータが自動的にルール・パターンを学習する手法の総称。③ディープラーニング:機械学習の一手法で、多層ニューラルネットワークを使って大量データから特徴表現を自動的に学習する。

ディープラーニングの技術的中核は誤差逆伝播法(Backpropagation:誤差を出力層から入力層方向に伝播させながら各層の重みを勾配降下法で更新する学習アルゴリズム)とReLU(Rectified Linear Unit:正規化線形関数)等の活性化関数の組み合わせである。2012年のImageNetコンペティションでAlex KrizhevskyらのAlexNetが従来手法を大幅に上回る画像認識精度を達成したことが現代のディープラーニングブームの起点とされている。

実務での使われ方

ディープラーニングの主要な応用分野と代表的なアーキテクチャを整理すると以下の通りである。①画像認識・物体検出:CNN(Convolutional Neural Network:畳み込みニューラルネットワーク)。ResNet・VGG・EfficientNet等のアーキテクチャ。医療画像診断(がん検出)・自動運転・製造業の外観検査で実用化。②自然言語処理(NLP):Transformer・BERT・GPTシリーズ。文書分類・機械翻訳・感情分析・質問応答・テキスト生成。大規模言語モデル(LLM:ChatGPT・Claude・Gemini等)の基盤技術。③音声認識:RNN(Recurrent Neural Network)・LSTM・Transformer。Siri・Alexa・Google Assistantの音声認識エンジン。④生成AI:Diffusion Model(Stable Diffusion・DALL-E・Midjourney)・GAN(Generative Adversarial Network)による画像・動画・音楽生成。

選択肢cの「体系的に分類された特定分野の専門的な知識から適切な回答を提供する」はエキスパートシステム(Expert System)の説明で、1970〜80年代のAIの代表的手法である。ルールベースの推論エンジンと知識ベースの組み合わせで医療診断(MYCIN)・地質探査(PROSPECTOR)等に適用された古典的AIであり、大量データからの学習を行うディープラーニングとは本質的に異なる。

試験での位置づけ

ITパスポートのAI・機械学習分野でディープラーニングは最頻出テーマの一つであり、近年は「生成AI」「LLM」との組み合わせで出題頻度がさらに増加している。本問の核心的ポイントは「ニューラルネットワークを用いて自ら規則性を見つけ出す」という学習能力の記述がディープラーニングの本質を正確に表している点と、他の選択肢(e-ラーニング・エキスパートシステム・適応学習)との明確な区別である。

基本情報技術者(FE)では、ディープラーニングの各アーキテクチャ(CNN・RNN・LSTM・Transformer)の特徴と適用分野、教師あり学習・教師なし学習・強化学習の違い、過学習・汎化・バイアス・バリアンスのトレードオフ、転移学習(Transfer Learning)の概念が問われる。応用情報(AP)ではRAG(Retrieval-Augmented Generation)・マルチモーダルAI・AIの倫理(バイアス・説明可能性・公平性)・プロンプトエンジニアリングの概念まで試験範囲に含まれることがある。

選択肢の発展補足

選択肢aの「インターネット上に提示された教材を使って習熟度に応じて学習をする方法」はe-ラーニング(e-Learning)の説明である。distance learning・MOOC(Massive Open Online Course:Coursera・edX等)がこれに相当し、AI技術を「使って」学ぶことはあっても、AIが「学習する」ディープラーニングとは主語が逆の関係にある。

選択肢dの「一人一人の習熟度・理解に応じて問題の難易度や必要な知識・スキルを推定する」は適応学習(Adaptive Learning)またはITS(Intelligent Tutoring System:知的学習システム)の説明である。項目応答理論(IRT:Item Response Theory)やベイズ知識トレーシングを使って学習者の知識状態を推定し、最適な次問題を提示するシステムであり、ディープラーニングの技術を組み込んだ最新の適応学習システムも存在するが、「ディープラーニングの定義」ではない点で本問とは区別が必要である。

出典・引用について

出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和4年度67/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。

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