ITパスポート 令和4年度 問68:ネットワーク・無線LANに関する問題
無線LANルータにおいて、外部から持ち込まれた端末用に設けられた、ゲストポートやゲストSSIDなどと呼ばれる機能によって実現できることの説明として、適切なものはどれか。
- a端末から内部ネットワークには接続をさせず、インターネットにだけ接続する。正答
- b端末がマルウェアに感染していないかどうかを検査し、安全が確認された端末だけを接続する。
- c端末と無線LANルータのボタン操作だけで、端末から無線LANルータへの接続設定ができる。
- d端末のSSIDの設定欄を空欄にしておけば、SSIDが分からなくても無線LANルータに接続できる。
AI解説(初心者・標準・上級)
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答えは a です。
お店やオフィスのWi-Fiで、お客さん用に用意される「ゲスト用」のネットワークの話です。これを使うと、お客さんはインターネットは使えるけれど、お店の中のパソコンやファイル(社内ネットワーク)には入れないようになります。
たとえるなら、来客を玄関ホールには通すけれど、社員しか入れない奥の部屋には入れない、という仕切りです。
👉 覚え方:「ゲスト=外の人用。ネットだけOK、中はNG」。
ほかの選択肢:b はウイルス検査(検疫)/c はボタンで簡単設定(WPS)/d はSSIDを隠す機能(ステルス)の話で、ゲスト機能とは別ものです。
なぜこれが正解か
正解は a。ゲストSSID(ゲストポート)は、来客や外部端末専用に分離したネットワークを提供する機能。ゲスト用端末はインターネットへは接続できるが、社内(内部)ネットワークの機器やファイルへはアクセスできないよう隔離される。これにより外部端末経由のマルウェア侵入や情報漏えいを防ぐ。
各選択肢の解説
- b:感染検査をして安全な端末だけ接続させる=検疫ネットワーク(検疫システム)の説明。
- c:ボタン操作だけで接続設定=WPS(Wi-Fi Protected Setup)の説明。
- d:SSIDを伏せる=SSIDステルス(隠蔽)の説明で、空欄では接続できない。
覚え方・ひっかけ注意
「ゲスト=内部ネットワークから隔離」がキモ。簡単設定(WPS)や検疫と混同しやすいので、“分離して内部に入れない”がゲスト機能だと覚える。
理論的背景
無線LANルータのゲストSSID(ゲストポート・ゲストネットワーク)機能は、正解aの通り「端末から内部ネットワークには接続をさせず、インターネットにだけ接続する」ことを実現する。技術的な仕組みとして、ゲストSSIDに接続した端末はDMZまたは隔離されたVLAN(Virtual LAN)に割り当てられ、内部ネットワーク(プリンタ・NAS・社内PCなど)へのトラフィックがルータのファイアウォール規則によってブロックされる。インターネット向けのアウトバウンドトラフィックのみが許可されるため、ゲスト端末が内部リソースにアクセスしたり、内部ネットワーク内の他端末を攻撃することを防ぐ。
IEEE 802.1Q VLANタグによる論理的なネットワーク分離がゲストSSIDの基盤技術であり、企業向けの無線LANコントローラ(Cisco Catalyst・Aruba・Juniper等)では複数のSSIDを異なるVLANにマッピングして、業務ネットワーク・ゲストネットワーク・IoTネットワーク等を完全に分離する設計が標準化されている。SOHO向けのWi-Fiルータ(ASUS・TP-Link・NETGEAR等)でも2020年以降の製品はほぼ標準でゲストSSID機能を搭載している。
実務での使われ方
企業での訪問者Wi-Fiの提供では、ゲストSSIDを使ってゲスト端末と社内ネットワークを完全に分離することが情報セキュリティポリシーの標準要件となっている。ISO/IEC 27001のA.6.7「リモートワーク」およびA.8.21「ネットワークサービスのセキュリティ」では、未管理の端末を社内ネットワークに接続させないための技術的管理策が求められており、ゲストSSIDによるネットワーク分離はこの管理策の典型的な実装である。
さらに高度なゲスト管理として「キャプティブポータル(Captive Portal)」がある。ゲスト端末が初めてWebにアクセスしようとすると認証・同意ページにリダイレクトされ、利用規約への同意・メールアドレス認証・ワンタイムパスワード入力などを経て初めてインターネットアクセスが許可される仕組みである。ホテル・空港・カフェの公衆Wi-Fiや企業のゲスト向けWi-Fiで広く使われており、接続ログの記録(利用規約への同意取得も含め)が不正利用発生時の証拠保全に役立つ。
選択肢bの「端末がマルウェアに感染していないかどうかを検査する」は検疫ネットワーク(Quarantine Network:Network Access Control/NAC)の機能である。NACはIEEE 802.1XやMAC認証を使って端末の健全性(セキュリティパッチ適用状況・アンチウイルス有効性等)を検査し、合格した端末のみ社内ネットワークへのアクセスを許可する仕組みであり、ゲストSSIDとは別の機能である。
試験での位置づけ
ITパスポートのネットワーク・無線LAN分野で「各無線LAN機能の目的と仕組みの識別」は近年の出題傾向として重要性が増している。本問のポイントはゲストSSIDの目的が「ネットワーク分離・隔離」であることの理解と、「マルウェア検査(b)」「WPS(c)」「ステルスSSID(d)」という異なる機能との区別にある。各機能の目的と使用場面を整理することが正答への近道となる。
基本情報技術者(FE)ではWi-Fi規格(IEEE 802.11ax=Wi-Fi 6・Wi-Fi 6E・Wi-Fi 7)の技術的特徴(OFDMA・MU-MIMO・BSS Coloring等)、WPA3セキュリティ(SAE認証・PMF必須化)、802.1X認証(RADIUSサーバとの連携)、VLANセグメンテーションの設計方法が問われる。ネットワークスペシャリスト試験(NW)では無線LAN設計(チャネル計画・AP配置・RF干渉管理・ハンドオーバー設計)、無線LANコントローラの集中管理(LWAPP/CAPWAP)まで詳細に問われる。
選択肢の発展補足
選択肢cの「ボタン操作だけで接続設定ができる」はWPS(Wi-Fi Protected Setup)の説明である。WPSはWi-Fi Allianceが2006年に策定した簡易接続規格で、①PBC(Push Button Configuration)方式:ルータと端末双方のWPSボタンを2分以内に押すと自動的にWPA2/WPA3接続が設定される。②PIN方式:ルータ側のPINを端末側に入力して接続する。WPSのPIN方式は「Pixie Dust Attack」「ブルートフォースPIN攻撃」等の脆弱性が報告されており、セキュリティ意識の高い環境ではWPS機能を無効化することが推奨されている。
選択肢dの「SSIDの設定欄を空欄にしておけば接続できる」はSSIDステルス(SSID非通知・クローキング)とは逆の誤った記述である。ステルスSSID設定では、アクセスポイントがビーコンフレームにSSIDを含めないため、SSID一覧には表示されないが、正確なSSIDを知っている端末は手動入力で接続できる。しかしステルスSSIDはプローブリクエスト解析ツールで容易に発見できるため、セキュリティ上の有効性は限定的であり、むしろ管理の複雑化を招く「あいまいによるセキュリティ(Security through Obscurity)」の典型例として専門家からは推奨されない手法とされている。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和4年度 問68/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。