ITパスポート 令和5年度 問32:system_strategyに関する問題
新システムの導入を予定している企業や官公庁などが作成するRFPの説明として,最も適切なものはどれか。
- aベンダー企業から情報収集を行い,システムの技術的な課題や実現性を把握するもの
- bベンダー企業と発注者で新システムに求められる性能要件などを定義するもの
- cベンダー企業と発注者との間でサービス品質のレベルに関する合意事項を列挙したもの
- dベンダー企業にシステムの導入目的や機能概要などを示し,提案書の提出を求めるもの正答
AI解説(初心者・標準・上級)
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答えは d です。
RFPとは「こういうシステムが欲しいんです、作ってくれる会社さん、提案書を出してください」とお願いする書類のこと。
つまり、システムを買う側(企業や役所)が、作る会社(ベンダー)に向けて『目的や必要な機能を伝えて、提案をください』と募集するための文書です。
👉 覚え方:RFP=Request For Proposal=『提案(Proposal)をください(Request)』!
ほかの選択肢:a は情報を集める段階のお願い(RFIの話)/b は性能の細かい取り決め(要件定義)/c はサービスの品質約束(SLAの話)。dだけが『提案を募る』内容です。
なぜこれが正解か
正解は d。RFP(Request For Proposal=提案依頼書)は、発注者がベンダーに対しシステムの導入目的・機能概要・予算・スケジュールなどを示し、具体的な提案書の提出を求める文書。選択肢dの説明がそのまま定義に一致する。
各選択肢の解説
- a:ベンダーから技術情報を収集し実現性を把握する文書 → これはRFI(Request For Information=情報提供依頼書)の説明。
- b:発注者とベンダーで性能要件などを定義 → これは要件定義の説明。
- c:サービス品質レベルの合意事項を列挙 → これはSLA(Service Level Agreement)の説明。
覚え方・ひっかけ注意
調達の流れは『RFI(情報収集)→ RFP(提案依頼)→ 提案・選定 → 契約』。Pは Proposal(提案)と覚える。RFIと混同しやすいので、I=Information(情報)、P=Proposal(提案)で区別する。
理論的背景
RFP(Request For Proposal=提案依頼書)は、情報システムの調達プロセスにおける核心的な文書であり、発注者(ユーザー企業・官公庁)がシステム化の目的・背景・現行課題・要求機能・非機能要件・制約条件(予算・スケジュール・技術制約)・提案書の様式や評価基準を体系的に記述し、複数のベンダーから同一条件での提案を引き出すためのものである。
RFPの品質は後工程の成否を大きく左右する。要件の曖昧な低品質のRFPは、ベンダーの提案がばらつき客観的な比較が困難になるだけでなく、契約後の仕様変更・追加費用・認識齟齬によるプロジェクト失敗の温床となる。システム開発プロジェクトの失敗事例の多くが「上流工程(要件定義・RFP作成)の不備」に起因するという調査結果(IPA「情報システムの信頼性向上に関するガイドライン」等)は繰り返し報告されており、発注者側のIT調達能力が重要な経営課題とされている。
標準的な調達フローは「RFI(情報提供依頼)→ RFP(提案依頼)→ 提案書受領・評価→ ベンダー選定 → 契約締結 → 要件定義 → 開発」という順序をたどる。RFIで市場の技術動向・ベンダーの実績・実現可能性の情報を収集した後、RFPでより具体的な要求を示して提案を競わせる二段階アプローチが、特に大規模調達では標準的手順となっている。
実務での使われ方
政府・官公庁の調達では、RFPを公示して入札を実施する「競争入札」が原則であり、RFPの内容は行政文書として公開される場合も多い。内閣府デジタル庁・経済産業省はITシステム調達のためのRFPテンプレートを公表しており、機能要件・非機能要件(信頼性・性能・セキュリティ・運用・拡張性)の記述粒度に関するガイドラインも整備されている。
民間では、評価基準として「機能適合度・技術力・実績・提案価格・サポート体制・セキュリティ対応」などを重み付けしたスコアリング表(RFP評価マトリクス)でベンダーを比較する手法が一般的である。特に近年はクラウドサービス・SaaSの調達でも、要件整理とRFP作成の重要性が認識されており、ベンダー評価にセキュリティ認証(ISO 27001・SOC2)・SLA・データ主権(サーバ所在地)の確認が必須項目となっている。
試験での位置づけ
ITパスポートのシステム戦略・システム企画分野では、IT調達プロセスの文書名と役割の対応が頻出テーマである。RFI・RFP・SLA・SLM・提案書・要件定義書・契約書という調達から開発・運用にわたる一連の文書の位置づけを、プロセスの時系列順に整理しておくことが重要である。特に「RFI vs RFP」(情報収集か提案要請か)、「RFP vs SLA」(調達前の要求か契約後の品質合意か)という対比は毎回のように出題される。
上位資格の基本情報技術者試験では、共通フレーム(SLCP)における「システム化計画→要件定義→システム要件定義」のフェーズ関係や、システム監査における調達プロセスの監査視点まで問われる。また経産省「DX推進ガイドライン」においてもユーザー企業のIT調達能力向上が課題とされており、RFPを適切に作成できる人材の重要性が増している。
選択肢の発展補足
RFI(Request For Information・選択肢aの説明):RFPの前段階として、特定のシステム・技術について「どのようなソリューションが市場に存在するか」「自社要件に対して技術的実現可能性はどうか」を幅広く収集するための文書。特定の提案を求めるのではなく、情報収集・市場調査が目的。回答したベンダーが必ずRFPを受け取れるとは限らず、情報提供義務もない。
要件定義(選択肢bの説明):ベンダー選定・契約後に、発注者とベンダーが協働で「何を作るか」を詳細に確定する工程。RFP段階の「何を実現したいか(要求)」をより詳細化した「何をどのように作るか(要件)」に落とし込む。RFPは調達前・要件定義は契約後という時系列の違いが重要。
SLA(Service Level Agreement・選択肢cの説明):システム導入・契約後の運用フェーズで、サービス提供者と利用者の間でサービス品質水準(稼働率・応答時間・インシデント対応時間など)を数値で合意する文書。RFPが「何を求めるか」の調達前文書であるのに対し、SLAは「どの品質を保証するか」の契約後文書であり、フェーズが根本的に異なる。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和5年度 問32/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。