ITパスポート 令和5年度 問33:system_strategyに関する問題
製品Aを1個生産するのに部品aが2個,部品bが1個必要である。部品aは1回の発注数量150個,調達期間1週間,部品bは1回の発注数量100個,調達期間2週間の購買部品である。製品Aの6週間の生産計画と,部品a,部品bの1週目の手持在庫が表のとおりであるとき,遅くとも何週目に部品を発注する必要があるか。ここで,部品の発注,納品はそれぞれ週の初めに行われるものとし,納品された部品はすぐに生産に利用できるものとする。[表] 週1-6/製品A生産個数: 0,40,40,40,40,40 / 部品a所要数量: 0,80,80,80,80,80 / 部品a手持在庫: 250 / 部品b所要数量: 0,40,40,40,40,40 / 部品b手持在庫: 150 ※注記 網掛けの部分は,表示していない。
- a2
- b3正答
- c4
- d5
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答えは b「3週目」 です。
部品bを見ると、最初に150個の手持ちがあり、2週目から毎週40個ずつ使います(2〜6週で計200個必要)。150個では足りないので、いつか買い足しが必要です。
部品bは買ってから届くまで2週間かかり、1回100個まとめて届きます。在庫が切れて生産が止まらないように逆算すると、遅くとも3週目の初めに発注しておく必要があります。
👉 覚え方:『届くまで時間がかかる→切れる前に早めに注文』。在庫と使う量・届く日数で逆算!
(部品aは在庫250個と多く、当面足りるので問題になりません。)
なぜこれが正解か
正解は b(3週目)。部品bの所要量は2〜6週で毎週40個。手持在庫150個から消費していくと、各週末の在庫は『2週末110→3週末70→4週末30→5週末は40必要だが10個不足』となり、5週目の生産で在庫切れになる。部品bは調達期間2週間(納品は週初)なので、5週目初めに使うには遅くとも3週目初めに発注しないと間に合わない。よって3週目。
計算のポイント
部品a:在庫250個に対し所要は2〜6週で各80個。3週末で残90、4週末で10、5週目に不足するが、本問の答えはより早く不足する部品bで決まる。発注は『不足が起きる週 − 調達期間』で逆算する。
覚え方・ひっかけ注意
発注週=(在庫が尽きて不足が生じる週)−(調達期間)。『納品は週初で即利用可』の条件を見落とすと1週ずれる。在庫の多い部品aではなく、先に切れる部品bが律速になる点が引っかけ。
理論的背景
本問はMRP(Material Requirements Planning=資材所要量計画)の基本演算を問うている。MRPは1960年代にジョセフ・オルリッキーが体系化した生産管理手法であり、「製品の生産計画(MPS:Master Production Schedule)」から部品の所要量を展開し、在庫・調達中数量を差し引いた「正味所要量」を計算し、リードタイムを逆算して発注タイミングを決定する。この逆算処理を「タイムフェーズ展開」と呼び、本問の計算はその核心部分である。
MRPとかんばん方式(JIT)の根本的な違いは情報の方向性にある。MRPは「計画から逆算するプッシュ型」で、生産計画を立てた時点で将来の必要量を予測・計算して先行発注する。かんばん方式は「実消費に追随するプル型」で、実際に在庫が減った事実に反応して発注する。本問のようなロット発注・リードタイムを考慮した計算はMRP的思考の典型例である。
詳細計算と論理的根拠
部品bの在庫推移を週ごとに追跡する(手持在庫150個から開始)。
- 1週目: 生産ゼロ → 消費ゼロ → 週末在庫150
- 2週目: 生産40個 → 消費40個 → 週末在庫110
- 3週目: 生産40個 → 消費40個 → 週末在庫70
- 4週目: 生産40個 → 消費40個 → 週末在庫30
- 5週目: 生産40個必要 → 在庫30個で10個不足
5週目初めに100個届けば足りるが、部品bの調達期間は2週間(週の初めに発注・週の初めに納品)。5週目初めに間に合わせるには「5−2=3週目初め」に発注する必要がある。
部品aも確認する(手持在庫250個)。
- 2〜5週末: 250−80−80−80−80=250−320=△70(5週目に不足)
- 調達期間1週間なので「5−1=4週目初め」に発注で間に合う
両部品のうち発注が最も早く必要な部品bの3週目が全体の答えとなる。
実務での使われ方
本問のロット発注(固定量発注方式)は、定量発注方式(発注点方式)の一形態であり、「在庫が発注点を下回ったら一定量を発注する」運用が製造業では広く行われている。実際のMRPシステム(SAP PP・Oracle Manufacturing Cloudなど)では、本問のような計算を品番ごと・工場ごとに毎日自動実行し、発注推奨(Purchase Requisition)を購買担当者に提示する。担当者はそれを確認・承認することで実発注につながる仕組みが標準的である。
近年はAI需要予測との統合が進んでおり、過去の生産実績・販売データ・季節変動・外部データ(天候・イベント)を加味した動的な発注点計算がMRP2.0・S&OP(Sales and Operations Planning)として実装されている。また、コロナ禍以降のサプライチェーン寸断リスクの高まりを受けて、リードタイムの不確実性を考慮した「安全在庫の動的設定」が重要課題となっている。
試験での位置づけ
生産管理の計算問題はITパスポートで一定頻度で出題され、正確な数値計算力と「条件の読み取り(週の初めに発注・納品、すぐ利用可能など)」の両方が問われる。在庫管理の関連用語として、定量発注方式(発注点方式)・定期発注方式・安全在庫・EOQ(経済的発注量)の概念も整理しておくと応用問題に対応できる。
上位資格の基本情報技術者試験ではMRPの展開計算(親品目→子部品への所要量の多段展開)、MRP IIへの拡張(製造資源計画:設備・人員まで含む計画)、ERPとMRPの関係まで問われる。製造・流通業界への就職・転職を見据えた受験者には特に重要な実務直結の知識領域である。
選択肢の発展補足
各週目の選択肢が示す意味を整理すると、2週目(a)はリードタイムを考慮しない誤答(発注から2週間かかるため2週目発注では4週目にしか届かず5週目に間に合わない)、4週目(c)は部品aの正しい発注週だが部品bには遅すぎる、5週目(d)は発注自体が不足発生と同週であり手遅れ。「遅くとも」という問文のニュアンスは「この週を過ぎると生産に支障が出る最後のリミット」を意味しており、余裕をもって早めに発注する場合はさらに前の週でも構わない。計算問題では問文のニュアンスと条件設定を丁寧に読み解く習慣が重要である。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和5年度 問33/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。