ITパスポート 令和5年度 問55:project_managementに関する問題
ソフトウェア開発の仕事に対し,10名が15日間で完了する計画を立てた。しかし,仕事開始日から5日間は,8名しか要員を確保できないことが分かった。計画どおり15日間で仕事を完了させるためには,6日目以降は何名の要員が必要か。ここで,各要員の生産性は同じものとする。
- a10
- b11正答
- c12
- d14
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答えは b(11名) です。
まず全部の仕事の量を「のべ人数×日数」で考えます。10名×15日=150人日ぶんの仕事です。
最初の5日間は8名なので、8×5=40人日ぶん終わります。残りは150−40=110人日ぶん。
これを残り10日(6日目〜15日目)で終わらせるには、110÷10=11名必要です。
👉 覚え方:「仕事の量=人数×日数。全体から済んだ分を引いて、残り日数で割る」。
だから6日目以降は11名で、答えは b です。
なぜこれが正解か
正解は b(11名)。仕事量を「人日(にんにち)=人数×日数」で捉える典型問題。
1. 総仕事量 = 10名 × 15日 = 150人日
2. 最初の5日の消化 = 8名 × 5日 = 40人日
3. 残りの仕事量 = 150 − 40 = 110人日
4. 残り日数 = 15 − 5 = 10日
5. 必要人数 = 110人日 ÷ 10日 = 11名
覚え方・ひっかけ注意
基本式は 仕事量 = 人数 × 日数(各人の生産性が同じ前提)。手順は「①全体量を出す→②済んだ量を引く→③残り日数で割る」。ひっかけは“最初の5日で減った人数(8名)”や“残り日数(15ではなく10日)”の取り違え。期日(15日)は固定で、6日目以降の残り10日で残量を消化する点に注意。
理論的背景
本問は人月計算(工数計算)の基本問題であり、「全体工数の保存則」を応用する。全体工数は「計画工数=10名×15日=150人日」として確定しており、この総量を変えずにスケジュールを遵守することが課題である。
前半5日間で実施できる実際の工数は「8名×5日=40人日」であるため、後半10日間で残りの工数「150人日−40人日=110人日」を消化する必要がある。後半の1日あたり必要な人数は「110人日÷10日=11名」となり、これが正解となる。
この計算の論理的前提は「各要員の生産性は同じ」という問文の条件である。現実には生産性は均一でなく、ブルックスの法則(人員追加によるコミュニケーションコストの増大・新メンバーの立ち上がりコスト)が働くため、単純な人月計算通りにはいかないことが多い。本問は理想化された条件下での数学的計算であり、試験の文脈では「人月の互換性を仮定して計算する」アプローチが求められる。
実務での使われ方
人月(Person-Month)はソフトウェア開発の工数見積もりで世界中で使われる基本単位であるが、その限界と誤用については1975年のフレデリック・P・ブルックスの著書「人月の神話(The Mythical Man-Month)」で詳細に分析されている。人月の互換性が成り立ちにくい主な理由は、(1)作業の分割不可能性(一人でなければ完成できないタスク)、(2)コミュニケーションパス数がn×(n-1)/2で増大すること、(3)新規参入者のラーニングカーブと既存メンバーの指導コストである。
現実のプロジェクト管理では、リソースの変動に対してクリティカルパス上の作業への集中投入、非クリティカル作業での人員調整、機能の優先順位付けによるスコープ調整(MVP:Minimum Viable Product)、ファストトラッキングによる並行実施などの多様な手段を組み合わせる。「前半に予定より2名少ない状況」は現実のプロジェクトで頻繁に発生するシナリオであり、後半での調整戦略をプロジェクトマネージャが素早く計算・判断できることが求められる。
アジャイル開発では人月管理ではなく「ベロシティ(スプリントごとのストーリーポイント消化量)」でチームの生産性を管理するアプローチが主流となっており、伝統的な人月計算とは異なる予測・管理の枠組みが使われる。
試験での位置づけ
ITパスポートのプロジェクトマネジメント分野では、工数計算・人月計算の問題が毎回のように出題される定番数値問題である。本問のような「総工数を保存して不足分を後半で補う」という計算パターンは、「全体工数=前半工数+後半工数」という単純な等式で解ける最もシンプルな形式である。
計算のミスを防ぐためのチェックポイントとして、(1)総工数の正確な計算(計画どおりなら10×15=150人日)、(2)前半の実績工数(8×5=40人日)、(3)残り工数(150−40=110人日)、(4)後半の日数(15−5=10日)、(5)後半の必要人員(110÷10=11名)という順序で計算を整理することが誤答防止に有効である。数値の取り違えや前半・後半の混同に注意する。
基本情報技術者試験ではより複雑な工数計算(生産性が異なる要員の混在・複数プロジェクトへの要員共有・リソースヒストグラムの平準化)、EVM(出来高管理)によるSPI・CPIの計算・プロジェクト完了時コスト(EAC)の予測まで問われる。
選択肢の発展補足
選択肢a(10名):後半も当初計画の10名という「現状維持」の誤答。前半に2名不足した分の穴を補わずに進めることを意味し、後半10日×10名=100人日しか確保できないため、総工数が140人日(40+100)となり150人日に10人日不足し、期間内に完了できない。「計画通りの人数に戻せばいい」という直感的な誤思考を誘発する設計のダミー。
選択肢c(12名):後半12名の場合の総工数は40+(12×10)=40+120=160人日となり、計画150人日を10人日超える過剰投入。スケジュールは守れるがコストが計画を超える不要な過剰配置となる。「多めに入れれば確実」という思考を誘発するダミー。
選択肢d(14名):さらに過剰な14名で試算すると40+(14×10)=180人日となり、計画比30人日超の大幅過剰。14という数字は「前半の不足2名を後半で何倍にも挽回する」という誤った比例計算(2名不足×7=14名必要?)から誘導されるかもしれない誤答パターン。総工数の保存則を使わずに感覚で計算すると陥りやすいミスである。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和5年度 問55/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。