ITパスポート 令和6年度 問39:service_managementに関する問題
サービスデスクを評価するためには適切な KPI を定めて評価する必要がある。顧客満足度を高めるために値が小さい方が良い KPI として、適切なものだけを全て挙げたものはどれか。 a: SLA で合意された目標時間内に対応が完了したインシデント件数の割合 b: 1回の問合せで解決ができたインシデント件数の割合 c: 二次担当へエスカレーションされたインシデント件数の割合 d: 利用者がサービスデスクの担当者につながるまでに費やした時間
- aa, b
- ba, d
- cb, c
- dc, d正答
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答えは d「c, d」 です。
この問題は「小さいほど良い数字(KPI)はどれ?」を選びます。お客さんが喜ぶのは“たらい回しが少ない・待たされない”こと。
- c 別の担当者に回された(エスカレーション)件数 → 少ない方が良い◎
- d つながるまで待った時間 → 短い方が良い◎
👉 覚え方:「回された数」「待ち時間」は少ないほど嬉しい。
ぎゃくに a「時間内に解決できた割合」と b「一回で解決できた割合」は、多いほど良い数字なので今回の答えには入りません。
なぜこれが正解か
正解は d(c, d)。「値が小さいほど良いKPI」を選ぶ問題。
- c 二次担当へエスカレーションされた件数の割合:一次対応(サービスデスク)で解決できず上位に回した割合。小さいほど一次解決力が高く望ましい。
- d 担当者につながるまでに費やした時間:短いほど待たせず満足度が高いので小さいほど良い。
各選択肢の解説(aとbはなぜ違うか)
- a SLA目標時間内に対応完了したインシデント件数の割合:時間内達成は多いほど良い(大きいほど良いKPI)。
- b 1回の問合せで解決できた件数の割合(一次解決率/FCR):多いほど良い(大きいほど良いKPI)。
覚え方・ひっかけ注意
KPIは「割合が高いと良い(達成率・一次解決率)」か「数値が低いと良い(待ち時間・エスカレーション率)」かを分けて考える。aとbは“割合”だが増えてほしい指標、cとdは減らしたい指標。日本語の「○○の割合」に惑わされず、増減のどちらが顧客満足につながるかで判断する。
理論的背景
KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)の設計において「値が小さい方が良い指標」は「逆指標(Lower-is-Better Metric)」と呼ばれ、サービスデスクの「効率性・品質問題の最小化」を測定する。正解dの「c(二次担当エスカレーション率)とd(担当者接続待ち時間)」がいずれも小さいほどよい理由を精緻に分析する。
cのエスカレーション率:一次担当(サービスデスク)で解決できずに二次担当(専門チーム)に引き継がれるインシデントの割合。この値が大きいほど①一次担当の解決能力が低い、②ナレッジベースが不充分、③問題の複雑さ(難易度分布の偏り)が示唆される。エスカレーション増加は利用者への解決遅延・コスト増大・担当者負荷増加を招くため、顧客満足度と直接的に逆相関する。
dの接続待ち時間(ASA:Average Speed of Answer):利用者がサービスデスクに電話・チャットして担当者につながるまでの待ち時間。コールセンター業界では「20秒以内に80%のコールに応答する(80/20ルール)」が業界標準目標とされる。待ち時間が長いと利用者満足度が急落することは多数の顧客サービス研究で実証されており、FCR(First Contact Resolution:初回解決率)と並んでサービスデスク品質の最重要KPIの一つ。
aのSLA目標時間内対応完了率・bのFCR(初回解決率):いずれも大きいほど好ましい「上位指標(Higher-is-Better)」であり、100%に近いほど優秀なサービスデスクを意味する。
実務での使われ方
ITIL v4フレームワークでは「サービスデスクのパフォーマンス指標」として以下のダッシュボードメトリクスが標準的に管理される。Higher-is-Better指標:FCR(初回解決率:目標70%以上)・SLA遵守率・CSAT(顧客満足度スコア)・NSAT(ネットサティスファクションスコア)。Lower-is-Better指標:ASA(平均応答速度:目標20秒以内)・エスカレーション率・放棄率(待ちきれずに切断する率)・再オープン率(解決済みと判定したが再問い合わせが来たインシデントの割合)・MTTR(平均修復時間)。
近年はAI-Powered Service Desk(AIチャットボット+機械学習による自動分類・優先度付け)の導入により、FCR向上とASA短縮を同時に達成する事例が増加している。ServiceNow・Freshservice・Zendeskが主要SaaSプラットフォームとして競合している。生成AIとの統合によって「インシデント記述の自動要約」「過去類似解決策の自動提案」「顧客への自動回答生成」が実用化段階に入っており、サービスデスクKPIの構造的改善が期待されている。
試験での位置づけ
「KPIの上位/下位指標の識別」問題はITパスポートのサービスマネジメント分野での重要出題パターン。「大きいほど良い指標 vs 小さいほど良い指標」の判断は「その指標の増加は顧客にとって好ましいか」という1つの問いに答えるだけで解決できる。サービスデスク文脈では「解決できる・早い・転送しない」がすべてポジティブという直感的理解が有効。
基本情報技術者ではITIL v4の「バリューストリームとプロセス」「サービス継続性管理」「インシデント・問題・変更管理の区別」が出題される。応用情報・サービスマネジメント系資格(ITSMS:ISO/IEC 20000審査員)ではSLAとOLA(Operational Level Agreement:内部向け合意)の関係、サービスパフォーマンス改善のCSI(Continual Service Improvement)サイクルが重点テーマとなる。
選択肢の発展補足
aのSLA目標時間内完了率の詳細(大きいほど良い):例えば「P2(中優先インシデント)は4時間以内解決」というSLA合意に対し、実際に4時間以内に解決されたインシデントが全体の何%かを測定する。この値が高いほどSLA遵守状況が良好であることを示す。SLA違反は契約上のペナルティ(サービスクレジット支払い)に直結するため、CLM(Contract Lifecycle Management)の観点でも重要な指標。
bのFCR(初回解決率)の詳細(大きいほど良い):1回の問い合わせ(電話・チャット・メール)だけで完全に解決できたインシデントの割合。FCRが高いと①利用者の時間節約、②コールセンターの再対応コスト削減、③顧客満足度向上の3つを同時達成できる。HDI(Help Desk Institute)の調査では「FCRが1%改善すると顧客満足度が約3%向上する」という関係が報告されており、サービスデスク改善の最優先KPIとされることが多い。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和6年度 問39/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。