ITパスポート 令和6年度 問50:development_managementに関する問題
ソフトウェア製品の品質特性を、移植性、機能適合性、互換性、使用性、信頼性、性能効率性、セキュリティ、保守性に分類したとき、RPA ソフトウェアの使用性に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- aRPA が稼働する PC の OS が変わっても動作する。
- bRPA で指定した時間及び条件に基づき、適切に自動処理が実行される。
- cRPA で操作対象となるアプリケーションソフトウェアがバージョンアップされても、簡単な設定変更で対応できる。
- dRPA を利用したことがない人でも、簡単な教育だけで利用可能になる。正答
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答えは d です。
ソフトの品質には色々な“良さ”の種類があります。今回問われた「使用性」は、ひとことで言うと使いやすさ・分かりやすさのこと。
dの「使ったことがない人でも、ちょっと教わればすぐ使える」は、まさに“使いやすさ”の話なので正解です。
👉 覚え方:使用性=「ユーザーにとって使いやすいか」。
ほかの選択肢:a「OSが変わっても動く」=引っ越しのしやすさ(移植性)/b「決めた時間に正しく自動実行」=ちゃんと働くか(機能性・信頼性)/c「相手ソフトが新しくなっても設定変更で対応」=直しやすさ(保守性)。
なぜこれが正解か
正解は d。使用性(ユーザビリティ)とは、利用者がそのソフトを「理解しやすく・習得しやすく・使いやすい」かを表す品質特性。dの「利用経験がない人でも簡単な教育だけで利用可能になる」は習得しやすさそのものなので使用性に該当する。
各選択肢が示す品質特性
- a「PCのOSが変わっても動作する」=移植性(別環境への移しやすさ)。
- b「指定した時間・条件で適切に自動処理が実行される」=機能適合性/信頼性(要求どおり正しく動く)。
- c「対象アプリがバージョンアップされても簡単な設定変更で対応できる」=保守性(変更・修正のしやすさ)。
覚え方・ひっかけ注意
品質特性は「誰/何の視点か」で切り分ける。使用性=使う人にとって楽か、移植性=環境を変えても動くか、保守性=直すのが楽か、機能適合性=決めた仕事を正しくこなすか。dだけが“人の使いやすさ”を語っている点に注目すれば即答できる。
理論的背景
ISO/IEC 25010(旧:9126)は「ソフトウェア製品品質特性モデル」を規定する国際規格であり、8つの品質特性(機能適合性・性能効率性・互換性・使用性・信頼性・セキュリティ・保守性・移植性)とそのサブ特性を定義している。本問の正解dを導くには「使用性(Usability)」の正確な定義理解が必要である。
使用性とは「指定された利用状況において、利用者が指定された目標を達成するために、製品を効果的・効率的・満足をもって利用できる度合い」と定義される。ITパスポートシラバスでは「利用者が学習・操作する際の容易さ」として説明されることが多い。
正解dの「RPAを利用したことがない人でも、簡単な教育だけで利用可能になる」は「学習効率性(Learnability)」というUsabilityのサブ特性を指しており、使用性の定義「利用者が目標を達成するための易しさ・学習容易性」に直接対応する。
各選択肢の正確な品質特性分類:
- a(OS変更でも動作)=移植性(Portability):異なる環境での動作継続能力。「稼働するPC のOSが変わっても動作する」は環境適応性というPortabilityの核心。
- b(指定時間と条件で適切に処理実行)=機能適合性(Functional Suitability):規定された条件下での正確な機能実行能力。「指定した時間・条件で適切に実行される」は機能の正確性(Functional Correctness)。
- c(バージョンアップ後の簡単設定変更対応)=保守性(Maintainability):修正・変更・適応の容易さ。「対象アプリのバージョンアップに設定変更で対応」は適応性(Adaptability)または柔軟性(Flexibility)というMaintainabilityのサブ特性。
- d(未経験者が簡単な教育で利用可能)=使用性(Usability)。
実務での使われ方
ソフトウェア品質特性の評価は「品質要件の定義(非機能要件定義書)」「品質評価(QA:Quality Assurance)」「品質保証(テスト計画)」の各フェーズで実務的意義を持つ。使用性評価の具体的手法として①ユーザビリティテスト(実際のユーザーに操作させてタスク達成率・エラー率・満足度を計測)、②ヒューリスティック評価(専門家がNielsen's 10 Usability Heuristicsに基づいて評価)、③ユーザーインタビュー・ウォークスルーが使われる。
RPA固有の使用性課題として「ロボット定義の作成容易性(市民開発者でも扱える直感的インターフェース)」が近年注目されている。「ハイパーオートメーション・市民開発(Citizen Development)」トレンドの下、IT専門家でなくても業務担当者が自らRPAシナリオを作成できる「ローコード/ノーコードRPA(UiPath StudioX・Power Automate等)」のユーザビリティ向上が競争優位の源泉となっている。
試験での位置づけ
ISO/IEC 25010の8品質特性の識別問題はITパスポートの「開発管理・ソフトウェア品質」分野で頻出である。本問のように「RPAを題材にした品質特性分類」は近年のRPA関連問題の応用パターンとして増加傾向にある。
8特性の記憶には「機性互使信セ保移(きせいごしなしほい)」という語呂合わせや、「機能面(機能適合性・性能効率性・互換性)」「使いやすさ・信頼面(使用性・信頼性)」「安全・保守・移植(セキュリティ・保守性・移植性)」という3グループ分類が有効。
基本情報技術者ではISO/IEC 25010の各サブ特性(例:信頼性の「成熟性・可用性・障害許容性・回復性」、使用性の「適切度認識性・学習効率性・運用操作性・エラー防止性・アクセシビリティ」)まで詳細に出題される。アプリケーションエンジニア・ソフトウェアアーキテクト系の試験ではQAアーキテクチャ設計として品質特性のトレードオフ分析(高セキュリティが使用性を下げる等)が問われる。
選択肢の発展補足
aの移植性(Portability)の詳細:移植性は「インストーラビリティ(インストール容易性)」「適応性(異環境への適合能力)」「置換性(類似製品からの置き換え容易性)」のサブ特性で構成される。「OS変更でも動作する」は適応性に対応。クロスプラットフォーム対応(Windows/Mac/Linux)の要件を品質特性として表現する際に使われる用語として、クラウドネイティブ開発文脈でも重要。
bの機能適合性(Functional Suitability)の詳細:機能適合性は「機能の網羅性(指定された機能がすべて実装されているか)」「機能の正確性(正しい結果を生成するか)」「機能の適切性(目的達成に適切な機能か)」のサブ特性を含む。「指定した時間・条件で適切に実行される」は機能正確性に対応。定期バッチ処理のスケジュール実行はRPAの機能仕様(何をするか)の問題であり、使いやすさ(使用性)とは異なる。
cの保守性(Maintainability)の詳細:保守性は「モジュール性(変更影響の局所化)」「再利用性」「解析性(問題診断の容易さ)」「修正性(バグ修正の容易さ)」「試験性(テストの容易さ)」のサブ特性を含む。「対象アプリのバージョンアップに設定変更で対応できる」は修正性・適応性に対応。ソフトウェア資産の長期的な保守コスト最小化に直結する重要品質特性であり、技術的負債(Technical Debt)の観点でも保守性の向上が重要課題となっている。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和6年度 問50/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。