ITパスポート 令和8年度 問46:service_managementに関する問題
ITサービスマネジメントのプロセスである問題管理の説明として、適切なものはどれか。
- aITサービスを提供するためのハードウェア、ソフトウェア、ドキュメントなどの構成情報を維持管理する。
- b計画外のITサービスの中断に対して、迅速にサービスを復旧する。
- c障害の根本原因を調査し、問題の解決策を提示する。正答
- dプログラム修正を実施するための計画を立て、確実に修正されるように管理する。
AI解説(初心者・標準・上級)
理解度に合わせて3レベルの解説を無料で読めます。
答えは c です。
問題管理は「同じトラブルが何度も起きないように、根っこの原因を突き止めて直す」仕事です。
たとえば、家で何度も同じ場所でつまずくとき、その場でよけるだけでなく『なぜつまずくのか=床の段差が原因だ』と調べて段差をなくす—それが問題管理です。
👉 覚え方:「問題管理=原因を探して根本から解決」。
ほかの選択肢:a 構成情報(ハードや書類)の管理=構成管理/b 止まったサービスを急いで復旧=インシデント管理(とにかく早く元に戻す係)/d プログラム修正を計画的に管理=変更管理。問題管理は『原因究明』が役目です。
なぜこれが正解か
正解は c。問題管理(Problem Management)は、インシデント(障害)の根本原因を調査・分析し、恒久的な解決策や再発防止策を提示するプロセス。『今すぐの復旧』ではなく『二度と起こさない』ことを目的とする。
各選択肢の解説
- a:ハードウェア・ソフトウェア・ドキュメント等の構成情報を維持管理する→構成管理の説明。
- b:計画外のサービス中断に対し迅速に復旧する→インシデント管理の説明。
- d:プログラム修正の計画立案と確実な実施管理→変更管理の説明。
覚え方・ひっかけ注意
紛らわしいインシデント管理(b)との違いがカギ。インシデント管理=『早く戻す(対症療法)』/問題管理=『原因を断つ(根本治療)』。『根本原因』という語が出たら問題管理。a構成管理・d変更管理もセットで役割を区別して覚える。
理論的背景
ITILにおける問題管理(Problem Management)は、インシデント管理(Incident Management)と明確に区別される。インシデント管理がサービス中断を迅速に復旧させること(暫定対処:ワークアラウンド)を目的とするのに対し、問題管理は「インシデントが繰り返し発生する根本原因(根本原因分析:Root Cause Analysis/RCA)を特定し、恒久的な解決策を提示・実施すること」を目的とする。ITILv4では問題管理を「事後的問題管理」(インシデント後の原因調査)と「予防的問題管理」(サービス中断前のリスク検知)の2側面で定義している。
RCAの主要手法としては、フィッシュボーン図(石川ダイアグラム)・5 Whys(なぜなぜ分析)・フォルトツリー分析(FTA)・障害モード影響解析(FMEA)等が用いられる。これらの手法はITサービス以外にも製造業の品質管理(ISO 9001)やヘルスケア領域でも広く活用される。
実務での使われ方
大規模ITサービスの運用現場では、インシデント発生後に「ポストモーテム(事後検証)」を実施する文化が定着している。Googleが公開しているSRE(Site Reliability Engineering)のポストモーテム文化では「責任追及なし(blameless)」を原則とし、個人ではなくシステム・プロセスの問題を特定することを重視する。この姿勢が問題管理の本質を体現している。
選択肢aの「構成情報の維持管理」はITILの構成管理(CMDB:Configuration Management Database)の役割。選択肢bの「迅速なサービス復旧」はインシデント管理の定義そのもの。選択肢dの「プログラム修正計画の管理」は変更管理(Change Management)の役割に近い。これら4つのITSMプロセス(問題管理・構成管理・インシデント管理・変更管理)の機能と相互関係を整理することが実務理解の核となる。
試験での位置づけ
ITパスポートのサービスマネジメント分野ではITILの各プロセスの「目的と機能」の識別問題が頻出する。特にインシデント管理と問題管理の違いは毎年のように出題される重要テーマである。識別キーワードは「根本原因」「再発防止」「問題解決策」→問題管理、「迅速復旧」「暫定対処」「サービス継続」→インシデント管理。近年のITパスポート試験ではDX推進との関連でSRE・DevOps・NoOpsと伝統的ITSMの融合を問う問題も出始めている。基本情報技術者試験ではITIL v4の「4つの次元モデル」(組織と人材・情報と技術・パートナーとサプライヤー・価値ストリームとプロセス)の概念まで問われることがある。
選択肢の発展補足
構成管理(選択肢a)はCMDB(構成管理データベース)を中心に、ITサービスを構成するすべての構成アイテム(CI:Configuration Item)のライフサイクル情報を管理する。CMDBにはサーバ・ネットワーク機器・ソフトウェアライセンス・仮想マシン・クラウドリソースなど現代の複雑なIT環境のすべてのコンポーネントが登録され、変更管理・インシデント管理・問題管理のすべてのプロセスの基盤情報として機能する。インシデント管理(選択肢b)のMTTR(Mean Time to Restore/平均復旧時間)は可用性KPIの核心指標であり、問題管理の成熟度が高いほどMTTRは短縮される。問題管理の成熟度は「既知のエラーDB(KEDB:Known Error Database)の充実度」で測られることが多い。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和8年度 問46/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。