危険物乙四 基礎的な物理学及び基礎的な化学 問25:物質の三態・状態変化
液体の蒸気圧と沸点に関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア液体の蒸気圧は、温度が高くなるほど大きくなる。
- イ沸点とは、液体の蒸気圧が外圧(大気圧)に等しくなる温度である。
- ウ外圧(大気圧)が低い高山の上では、水の沸点は100℃より低くなる。
- エ同じ温度で比べると、蒸気圧が大きい液体ほど沸点が高く、蒸発しにくい。正答
- オ揮発性の高い(蒸発しやすい)液体ほど、同じ温度での蒸気圧は大きい。
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誤っているのはエです。蒸気圧が大きい液体ほど「蒸発しやすく、沸点は低い」のが正しく、エの「沸点が高く蒸発しにくい」は逆です。
- ア(正): 温度が高いほど蒸気圧は大きい。
- イ(正): 沸点=蒸気圧が外圧に等しくなる温度。
- ウ(正): 高山(低気圧)では水の沸点は100℃より低い。
- エ(誤): 蒸気圧が大きい液体ほど沸点は低く、蒸発しやすい。
- オ(正): 揮発性が高いほど蒸気圧は大きい。
「蒸気圧が大きい=蒸発しやすい=沸点が低い」を押さえます。
蒸気圧と沸点:
- 蒸気圧: 液体の表面から蒸発しようとする気体(蒸気)が示す圧力。温度が高いほど大きくなる(ア=正)。
- 沸点: 液体の蒸気圧が外圧(大気圧)に等しくなる温度(イ=正)。この温度で液体内部からも蒸発(沸騰)が起こる。
- 外圧と沸点: 外圧が下がると、より低い温度で蒸気圧=外圧となるため、沸点が下がる。高山では気圧が低く、水は100℃未満で沸騰する(ウ=正)。逆に圧力鍋(高圧)では沸点が上がる。
- 揮発性との関係: 揮発性が高い(蒸発しやすい)液体ほど、同温での蒸気圧が大きく(オ=正)、その分沸点は低い。したがって「蒸気圧が大きい=沸点が高い・蒸発しにくい」とするエは逆で誤り(エ=誤)。
引っかけパターン:
- 蒸気圧と沸点・揮発性の関係を逆にする(エ)
- 外圧と沸点の関係を取り違える
「蒸気圧が大きい=揮発性が高い=蒸発しやすい=沸点が低い」という一直線の関係を固定します。
【理論的背景】
液体の表面では、運動エネルギーの大きい分子が飛び出して気体(蒸気)になります(蒸発)。密閉容器では、飛び出す分子と液に戻る分子が釣り合い、一定の蒸気の圧力=蒸気圧を示します。温度が上がると分子の運動が激しくなり、飛び出す分子が増えるため蒸気圧は大きくなります。蒸気圧は液体の「蒸発したがる強さ」を表す指標であり、揮発性(蒸発しやすさ)と直結します。
【沸点の定義と外圧依存】
液体を加熱して蒸気圧が周囲の外圧(大気圧)に等しくなると、液体内部でも蒸気の泡が安定にでき、内部からの蒸発=沸騰が起こります。このときの温度が沸点です。ここから次の関係が導かれます。
- 外圧が下がると沸点も下がる: 高山(気圧が低い)では、より低い温度で蒸気圧=外圧となり、水は100℃未満で沸騰する。逆に圧力鍋(高圧)では沸点が上がり、高温調理ができる。
- 揮発性と沸点: 同じ温度で蒸気圧が大きい(揮発性が高い)液体ほど、低い温度で蒸気圧が外圧に達するため沸点が低い。蒸気圧と沸点は逆の関係にある。
【危険物との接続】
蒸気圧・沸点・揮発性の関係は、第4類危険物の危険性に直結します。
- 引火点との関係: 引火点は、液面付近に燃焼範囲下限の濃度の蒸気を生じる最低温度です。蒸気圧が大きい(揮発性が高い)液体ほど低い温度で十分な蒸気を出すため、引火点が低く危険です。ガソリン(揮発性大・引火点−40℃以下)と灯油(揮発性小・引火点40℃以上)の差はこれで説明できます。
- 特殊引火物: ジエチルエーテル・二硫化炭素・アセトアルデヒド等は沸点が低く揮発性が極めて高いため、常温でも大量の蒸気を出し、引火点・発火点が低く非常に危険です。アセトアルデヒドは沸点が約20℃と低く、夏場は容易に沸騰・気化します。
- 貯蔵管理: 揮発性の高い危険物は冷暗所で密栓貯蔵し、蒸気の漏出・滞留を防ぎます。温度上昇で蒸気圧が上がりタンク内圧が増すため、通気管・空間容積で対応します(気体の法則・熱膨張と連動)。
【試験での位置づけ】
蒸気圧・沸点は、(1)蒸気圧は温度が高いほど大きい、(2)沸点=蒸気圧が外圧に等しくなる温度、(3)外圧が下がると沸点も下がる、(4)蒸気圧が大きい=揮発性が高い=沸点が低い、の関係が問われます。誤答は本問のエのように、蒸気圧と沸点・揮発性の関係を逆にして作られます。「蒸発したがる(蒸気圧大)液体は、低い温度で沸く(沸点低)」と一直線でつなげば、逆転選択肢を確実に切れます。引火点の低さ(=危険性)と揮発性・蒸気圧の関係を結びつけると、性質科目の物質比較にも応用できます。
【各選択肢の発展補足】
- ア(正): 蒸気圧は温度が高くなるほど大きくなる。
- イ(正): 沸点は蒸気圧が外圧に等しくなる温度。
- ウ(正): 外圧の低い高山では水の沸点は100℃より低い。
- エ(誤): 蒸気圧が大きい液体ほど沸点は低く、蒸発しやすい。「沸点が高く蒸発しにくい」は逆。
- オ(正): 揮発性が高い液体ほど同温での蒸気圧は大きい。
【根拠】蒸気圧・沸点・揮発性の関係(確立した物理学)。
【補足】蒸気圧は温度↑で増大。沸点=蒸気圧が外圧に等しくなる温度(外圧↓で沸点↓)。蒸気圧大=揮発性大=沸点低=引火点低(危険)。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 蒸気圧・沸点の確立した物理学。蒸気圧は温度上昇とともに増大。沸点=蒸気圧が外圧に等しくなる温度(外圧が下がると沸点も下がる)。同温で蒸気圧が大きい(揮発性が高い)液体ほど沸点は低く、蒸発しやすい。 現行の消防法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。