危険物乙四 基礎的な物理学及び基礎的な化学 問29:熱量・比熱・熱膨張・熱移動
液体の温度変化に伴う体積・密度の変化に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア液体は温度が上がると体積が収縮し、密度は大きくなる。
- イ液体の体積は温度が変化しても一定で、密度も変わらない。
- ウ液体は温度が上がると体積が膨張し、密度は小さくなる。正答
- エ液体の質量は、温度が上がると体積とともに増加する。
- オ液体の体膨張は固体や気体に比べて常に大きく、気体より体膨張率が大きい。
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正しいのはウです。液体は温まると体積が膨らみ、その分密度は小さくなります(質量は変わらないので、体積が増えれば1Lあたりの重さは軽くなる)。
- ア(誤): 温度が上がると膨張する(収縮は逆)。密度は小さくなる。
- イ(誤): 温度が変われば体積・密度は変わる。
- ウ(正): 温度上昇で膨張・密度減少。
- エ(誤): 質量は温度で変わらない(増加しない)。
- オ(誤): 体膨張は固体<液体<気体で、気体が最大。
「温めると膨張・密度減少/質量は不変/膨張は気体が最大」を押さえます。
温度による体積・密度の変化:
- 熱膨張: 多くの液体は温度が上がると分子の運動が激しくなり、体積が膨張する(ア・イ=誤、ウ=正)。
- 質量は不変: 温度が変わっても物質の質量は変わらない(エ=誤:質量は増えない)。
- 密度の変化: 密度=質量/体積。質量一定で体積が増えるので、温度上昇で密度は小さくなる(ウ=正)。温まった液が上に、冷たい液が下に移動する対流の原因にもなる。
- 体膨張率の大小: 一般に固体<液体<気体。同じ温度変化に対する体積変化は気体が最も大きい(オ=誤:液体が気体より大きいは誤り)。
引っかけパターン:
- 温度上昇で収縮・密度増加とする逆転(ア)
- 温度で体積・密度が変わらないとする誤り(イ)
- 質量が温度で増えるとする誤り(エ)
- 液体の体膨張を気体より大きいとする誤り(オ)
「温めると膨張・密度減少/質量不変/体膨張は固体<液体<気体」を固定します。
【理論的背景】
物質を加熱すると、構成する分子・原子の熱運動が激しくなり、平均的な間隔が広がって体積が増えます(熱膨張)。質量は温度によって変わらないので、密度(=質量÷体積)は体積が増えた分だけ小さくなります。これは固体・液体・気体すべてに共通しますが、膨張の大きさ(体膨張率)は構造の違いから固体<液体<気体の順になります。分子がほぼ自由に動ける気体が最も大きく膨張し、強く結びついた固体は最も膨張しにくい、というイメージです。
【密度と浮沈・対流】
温度が上がって密度が小さくなった液体は軽くなり、冷たく密度の大きい液体は重くなります。この密度差により、温かい液が上昇し冷たい液が下降する対流が生じ、液全体に熱が伝わります(熱の三移動の一つ)。また、密度の大小は浮き沈みを決めます。水(密度約1)より密度の小さい液体(ガソリン・灯油等)は水に浮き、大きい液体(二硫化炭素・酢酸等)は水に沈みます(性質科目の液比重に接続)。
【危険物との接続】
液体の熱膨張は、危険物の貯蔵・取扱いの安全に直結します。
- タンクの空間容積: 引火性液体をタンクに満杯まで入れると、気温上昇や加熱で液が膨張したとき逃げ場がなく、あふれ(オーバーフロー)や通気管からの噴出を招きます。これを防ぐため、タンク容量は内容積から空間容積(おおむね5〜10%)を差し引いて定め、満タン貯蔵をしません(法令の「タンクの容量と空間容積」と連動)。
- 容器の密栓と膨張: 容器いっぱいに液を詰めて密栓すると、温度上昇で膨張した液が容器を破損させる恐れがあります。ある程度の空間を残します。
- 体膨張率: 引火性液体の体膨張率は水より大きいものが多く、温度変化に対する膨張が無視できません。屋外タンクや配管では、温度変化による膨張・収縮を見込んだ設計(伸縮継手等)が行われます。
- 見かけの量の変化: 同じ質量でも温度が高いと体積が増えるため、計量・取引では温度補正が問題になります(密度が温度で変わるため)。
【試験での位置づけ】
液体の熱膨張・密度は、(1)温度上昇で膨張し密度が小さくなる、(2)質量は不変、(3)体膨張率は固体<液体<気体、の3点が問われます。誤答は「温度上昇で収縮・密度増加」「質量が増える」「液体の膨張が気体より大きい」のように逆にして作られます。「温めると膨らんで軽く(密度小)なる/質量は変わらない/膨らみやすさは気体が一番」と覚えれば確実です。タンクの空間容積(あふれ防止)という法令の安全設計が、この熱膨張の物理に根ざしている点を理解すると、科目横断的に得点力が上がります。
【各選択肢の発展補足】
- ア(誤): 温度上昇で液体は膨張し密度は小さくなる。収縮・密度増加は逆。
- イ(誤): 温度が変われば体積・密度は変化する。
- ウ(正): 温度上昇で体積膨張・密度減少。
- エ(誤): 質量は温度によらず一定。増加しない。
- オ(誤): 体膨張率は固体<液体<気体。気体が最大で、液体が気体より大きいは誤り。
【根拠】熱膨張・密度(質量/体積)の確立した物理学。
【補足】温度上昇→液体は膨張・密度減少(質量は不変)。体膨張率は固体<液体<気体。タンクの空間容積(あふれ防止)の物理的根拠。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 熱膨張・密度の確立した物理学。多くの液体は温度上昇で体積が膨張する。質量は温度によらず一定なので、体積が増えれば密度(=質量/体積)は小さくなる。体膨張率は一般に固体<液体<気体(気体が最も大きい)。 現行の消防法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。