問題
アルコール類(一価アルコール・炭素数1〜3)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
誤っているのはエです。アルコール類(メタノール・エタノール等)は水によく溶ける(水溶性)であり、比重は約0.79で水より軽い(1より小さい)です。「水に溶けにくく、水より重い」は逆の記述です。
- ア(正): アルコールはOH基を持つ有機化合物で可燃性。正しい。
- イ(正): メタノール・エタノールはどちらも水溶性(水と任意の割合で混合)。正しい。
- ウ(正): メタノールは特に毒性が高く、失明・死亡リスクあり。正しい。
- エ(誤): アルコール類は水溶性・比重約0.79(水より軽い)。「溶けにくく水より重い」は誤り。
- オ(正): 水溶性のアルコール類には耐アルコール泡が必要(通常泡では溶けて消える)。正しい。
「アルコール類 = 水溶性 + 比重 < 1(水より軽い)」を性質科目とあわせて固定してください。
アルコール類の性質(§1-2物性表・確立した化学):
| 物質 | 引火点 | 液比重 | 蒸気比重 | 水溶性 |
|---|---|---|---|---|
| メタノール(CH3OH) | 11℃ | 0.79 | 1.1 | 水溶性(任意割合) |
| エタノール(C2H5OH) | 13℃ | 0.79 | 1.59 | 水溶性(任意割合) |
アルコール類(炭素数1〜3の飽和1価アルコール)の共通特徴:
- ヒドロキシ基(-OH)を持つ有機化合物
- 可燃性(引火点が低め:メタノール11℃・エタノール13℃)
- 水溶性(水によく溶ける・無限溶解)
- 液比重 < 1(水より軽い)
- 蒸気比重 > 1(蒸気は空気より重い→低所滞留)
- 毒性(メタノールは特に強毒性)
各選択肢:
- ア(正): OH基を持つ有機化合物で可燃性。正しい。
- イ(正): メタノール・エタノールは水と任意割合で混合(完全水溶性)。正しい。
- ウ(正): メタノールは体内の代謝で生じるギ酸(蟻酸)が蓄積して代謝性アシドーシスを起こし、視覚障害・失明、場合によっては死に至る。エタノールとの見分けが重要(メタノールはエタノールより毒性が強い)。
- エ(誤): アルコール類は水溶性・液比重0.79(水より軽い)。「溶けにくく水より重い」は誤り。
- オ(正): 水溶性液体の火災には耐アルコール泡(対アルコール性泡消火剤)が必要(通常泡は水溶性液体に溶けて消泡する)。水成膜泡はガソリン等の油の表面に広がる泡で、アルコールなどの親水性可燃物には(対策を施した一部の製品を除き)消火能力が落ちるため、耐アルコール泡と同じものではない。
引っかけ: エ(水に溶けにくい・比重大)はアルコールと重油・第四石油類を混同させる典型的な誤り。
【理論的背景:アルコール類の化学的性質】
アルコール類(alcohol)は炭素骨格にヒドロキシ基(-OH)が結合した有機化合物です。乙四でのアルコール類は「炭素数1〜3の飽和1価アルコール(変性アルコール含む)」と定義されます。
水溶性の理由:OH基は極性を持ち、水分子(H2O)の水素結合と相互作用します(水和)。炭素数が少ないほど(炭素数1〜3)水との親和性が高く、完全に水に溶けます(炭素数が増えると水溶性が低下:ブタノールC4以上は溶解度が低下)。
【メタノールとエタノールの毒性の違い】
メタノール(CH3OH)とエタノール(C2H5OH)は構造が似ていますが、毒性が大きく異なります:
- エタノール: 酒の主成分(食品として摂取可)。過剰摂取で急性アルコール中毒。
- メタノール: 体内で蟻酸(ギ酸、HCOOH)に代謝され、血中での蟻酸の蓄積により代謝性アシドーシスに至る。視覚障害・失明・頭痛・めまい・嘔吐・昏睡などを起こし、時に死に至る。無色の液体で特徴臭がある。
危険物の取扱いでは、メタノールの毒性への注意が必要です(安全データシートにも「失明することがあり、場合によっては死に至る」と記載)。
【アルコール類の消火と耐アルコール泡】
通常の泡消火剤は水溶性液体(アルコール・アセトン・酢酸等)の火災に使うと、液体に泡が溶け込んで消泡し、火面を覆うことができません。そのため水溶性液体の火災には、泡が溶けて消えにくいようにした耐アルコール泡(対アルコール性泡消火剤)を使います。メタノール・エタノールの安全データシートでも、消火剤として「水噴霧、対アルコール性泡消火剤、粉末消火剤、炭酸ガス、乾燥砂類」が挙げられ、棒状放水は使ってはならない消火剤とされています。なお水成膜泡はガソリン等の揮発性油の表面に素早く展開する泡で、アルコールなどの親水性可燃物には(対策を施した一部の製品を除き)消火能力が落ちるため、耐アルコール泡とは区別して覚えます。
【各選択肢の発展補足】
- ア(正): アルコールはOH基を持ち、有機化合物(炭素骨格あり)で可燃性(引火点が低い)。
- イ(正): メタノール(炭素数1)・エタノール(炭素数2)は水溶性(任意割合)。炭素数が増えるほど水溶性が低下(炭素数4以上から溶解度が著しく低下)。
- ウ(正): メタノールの毒性は特に危険。「メタノールはエタノールではない」の識別が実務上の安全管理に重要。
- エ(誤): アルコール類は水溶性(OH基による水和)・液比重0.79(水より軽い)。「溶けにくい・水より重い」は重油・油脂類の特徴であり、アルコールには当てはまらない。
- オ(正): 水溶性液体火災への耐アルコール泡使用は乙四試験の頻出知識(S6・消火方法と接続)。
【試験での位置づけ】
乙四試験ではアルコール類の「水溶性・液比重<1(水より軽い)・蒸気比重>1(空気より重い)・毒性(メタノール)・耐アルコール泡」が頻出です。物理化学(有機化合物の性質)と性質科目(アルコール類の特徴・消火)が重なる重要論点であり、両科目で得点できます。
【根拠】確立した化学・§1-2物性表(メタノール/エタノールの比重・水溶性)。
【補足】アルコール類:OH基・水溶性(水によく溶ける)・液比重0.79(水より軽い)・引火点低い(11〜13℃)・耐アルコール泡で消火。
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 確立した化学・§1-2物性表。アルコール類(メタノール・エタノール等)は水溶性(水によく溶ける)・液比重は約0.79(水より軽い・< 1)。「水に溶けにくく比重が水よりはるかに大きい」は誤り。 現行の消防法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。
