基礎的な物理学及び基礎的な化学89酸・塩基・有機/無機

危険物乙四 基礎的な物理学及び基礎的な化学 問89:酸・塩基・有機/無機

アルコール類(一価アルコール・炭素数1〜3)に関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • アルコール類はヒドロキシ基(-OH)を持つ有機化合物であり、可燃性である。
  • メタノール(CH3OH)とエタノール(C2H5OH)はいずれも水と任意の割合で混合する(水溶性)。
  • アルコール類を大量に吸入・飲用すると人体に有害であり、特にメタノールは失明・死亡を引き起こす危険がある。
  • アルコール類は水に溶けにくく、比重が水よりはるかに大きい。正答
  • アルコール類の火災には、一般の泡消火剤より耐アルコール泡(水成膜泡)消火剤が有効である。
正答:アルコール類は水に溶けにくく、比重が水よりはるかに大きい。

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誤っているのはエです。アルコール類(メタノール・エタノール等)は水によく溶ける(水溶性)であり、比重は約0.79で水より軽い(1より小さい)です。「水に溶けにくく、水より重い」は逆の記述です。

  • ア(正): アルコールはOH基を持つ有機化合物で可燃性。正しい。
  • イ(正): メタノール・エタノールはどちらも水溶性(水と任意の割合で混合)。正しい。
  • ウ(正): メタノールは特に毒性が高く、失明・死亡リスクあり。正しい。
  • エ(誤): アルコール類は水溶性・比重約0.79(水より軽い)。「溶けにくく水より重い」は誤り。
  • オ(正): 水溶性のアルコール類には耐アルコール泡が必要(通常泡では溶けて消える)。正しい。

「アルコール類 = 水溶性 + 比重 < 1(水より軽い)」を性質科目とあわせて固定してください。

標準試験対策の基準レベル

アルコール類の性質(§1-2物性表・確立した化学):

| 物質 | 引火点 | 液比重 | 蒸気比重 | 水溶性 |

|---|---|---|---|---|

| メタノール(CH3OH) | 11℃ | 0.79 | 1.1 | 水溶性(任意割合) |

| エタノール(C2H5OH) | 13℃ | 0.79 | 1.59 | 水溶性(任意割合) |

アルコール類(炭素数1〜3の飽和1価アルコール)の共通特徴:

  • ヒドロキシ基(-OH)を持つ有機化合物
  • 可燃性(引火点が低め:メタノール11℃・エタノール13℃)
  • 水溶性(水によく溶ける・無限溶解)
  • 液比重 < 1(水より軽い)
  • 蒸気比重 > 1(蒸気は空気より重い→低所滞留)
  • 毒性(メタノールは特に強毒性)

各選択肢:

  • ア(正): OH基を持つ有機化合物で可燃性。正しい。
  • イ(正): メタノール・エタノールは水と任意割合で混合(完全水溶性)。正しい。
  • ウ(正): メタノール(木精)は代謝で蟻酸になり視神経を障害→失明・死亡。エタノールとの見分けが重要(メタノールはエタノールより毒性が強い)。
  • エ(誤): アルコール類は水溶性・液比重0.79(水より軽い)。「溶けにくく水より重い」は誤り。
  • オ(正): 水溶性液体の火災には耐アルコール泡(水成膜泡・AFFF-ARC等)が必要(通常泡は水溶性液体に溶けて消泡する)。

引っかけ: エ(水に溶けにくい・比重大)はアルコールと重油・第四石油類を混同させる典型的な誤り。

上級誤答論破・根拠法令まで深掘り

【理論的背景:アルコール類の化学的性質】

アルコール類(alcohol)は炭素骨格にヒドロキシ基(-OH)が結合した有機化合物です。乙四でのアルコール類は「炭素数1〜3の飽和1価アルコール(変性アルコール含む)」と定義されます(危政令別表第三備考)。

水溶性の理由:OH基は極性を持ち、水分子(H2O)の水素結合と相互作用します(水和)。炭素数が少ないほど(炭素数1〜3)水との親和性が高く、完全に水に溶けます(炭素数が増えると水溶性が低下:ブタノールC4以上は溶解度が低下)。

【メタノールとエタノールの毒性の違い】

メタノール(CH3OH)とエタノール(C2H5OH)は構造が似ていますが、毒性が大きく異なります:

  • エタノール: 酒の主成分(食品として摂取可)。過剰摂取で急性アルコール中毒。
  • メタノール: 体内でホルムアルデヒド→蟻酸(HCOOH)に代謝。蟻酸が視神経(網膜)を障害→失明。さらに代謝性アシドーシスで死亡する場合がある。致死量は10〜30 mL 程度(個人差大)。無色無臭でエタノールと外観が区別できないため誤飲事故が起きる。

危険物の取扱いでは、メタノールの毒性(皮膚・吸入でも吸収)への注意が必要です。

【アルコール類の消火と耐アルコール泡】

通常の泡消火剤は水溶性液体(アルコール・アセトン・酢酸等)の火災に使うと、液体に泡が溶け込んで消泡し、火面を覆うことができません。耐アルコール泡(AFFF-AR: Aqueous Film-Forming Foam – Alcohol Resistant)は、水溶性液体に溶けないポリマー膜を形成する特殊泡剤です。

【各選択肢の発展補足】

  • ア(正): アルコールはOH基を持ち、有機化合物(炭素骨格あり)で可燃性(引火点が低い)。
  • イ(正): メタノール(炭素数1)・エタノール(炭素数2)は水溶性(任意割合)。炭素数が増えるほど水溶性が低下(炭素数4以上から溶解度が著しく低下)。
  • ウ(正): メタノールの毒性は特に危険。「メタノールはエタノールではない」の識別が実務上の安全管理に重要。
  • エ(誤): アルコール類は水溶性(OH基による水和)・液比重0.79(水より軽い)。「溶けにくい・水より重い」は重油・油脂類の特徴であり、アルコールには当てはまらない。
  • オ(正): 水溶性液体火災への耐アルコール泡使用は乙四試験の頻出知識(S6・消火方法と接続)。

【試験での位置づけ】

乙四試験ではアルコール類の「水溶性・液比重<1(水より軽い)・蒸気比重>1(空気より重い)・毒性(メタノール)・耐アルコール泡」が頻出です。物理化学(有機化合物の性質)と性質科目(アルコール類の特徴・消火)が重なる重要論点であり、両科目で得点できます。

【根拠】確立した化学・§1-2物性表(メタノール/エタノールの比重・水溶性)。

【補足】アルコール類:OH基・水溶性(水によく溶ける)・液比重0.79(水より軽い)・引火点低い(11〜13℃)・耐アルコール泡で消火。

<!-- 監修確定 2026-06-05(legal-reviser): メタノール/エタノール液比重0.79・水溶性(任意割合)・引火点11/13℃すべて§1-2と一致。メタノールの毒性(蟻酸→視神経障害→失明)も正確。耐アルコール泡(AFFF-AR)の説明もadvancedで正確。正答エ(アルコールが水不溶・水より重いは誤り)で一意。設問オの「耐アルコール泡(水成膜泡)」は耐アルコール型水成膜泡=AFFF-ARを指し許容範囲。確定。 -->

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 確立した化学・§1-2物性表。アルコール類(メタノール・エタノール等)は水溶性(水によく溶ける)・液比重は約0.79(水より軽い・< 1)。「水に溶けにくく比重が水よりはるかに大きい」は誤り。 現行の消防法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

関連論点

アルコール類の性質・OHの特性・有機化合物への接続頻出度C

基礎的な物理学及び基礎的な化学の他の問題

1
燃焼(引火点・発火点・燃焼範囲)
2
静電気
3
物質の三態・状態変化
4
密度・比重
5
熱量・比熱・熱膨張・熱移動
6
熱量・比熱・熱膨張・熱移動

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