危険物乙四 基礎的な物理学及び基礎的な化学 問91:酸化還元・酸化熱自然発火
酸化剤に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア酸化剤は、自身が酸化されることで相手の物質を還元する物質である。
- イ酸化剤は、相手の物質を酸化させる(電子を奪う・酸素を与える)物質で、自身は還元される。正答
- ウ第4類危険物(可燃性有機液体)は酸化剤に分類される。
- エ空気中の酸素(O2)は可燃物を燃焼させる際に還元剤として働く。
- オ酸化剤と可燃物が接触しても、点火源がなければ絶対に反応は起こらない。
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正しいのはイです。酸化剤は相手を酸化(酸素を与える・電子を奪う)する物質で、自身は還元されます。
- ア(誤): 「自身が酸化されることで相手を還元する」のは「還元剤」の説明。逆。
- イ(正): 酸化剤=相手を酸化・自身は還元。正しい。
- ウ(誤): 第4類危険物(ガソリン・アルコール等)は可燃物であり還元剤的な役割。酸化剤ではない。
- エ(誤): 空気中のO2は可燃物を酸化する酸化剤。還元剤ではない。
- オ(誤): 酸化剤(強酸化剤)と可燃物が直接接触すると、点火源なしでも急激な反応(自然発火)が起こることがある。「絶対に反応しない」は誤り。
「酸化剤 = 相手を酸化・自身は還元・O2は典型的酸化剤」が核心です。
酸化剤の定義と危険物(確立した化学):
酸化剤(oxidizing agent / oxidant)は「相手の物質を酸化する物質」です。相手を酸化する(電子を奪う・酸素を与える)とき、自身は電子を受け取る(還元される)。
典型的な酸化剤:
- 酸素(O2): 燃焼の酸化剤として最も重要
- 過酸化水素(H2O2): 強酸化剤
- 過マンガン酸カリウム(KMnO4): 第6類危険物(酸化性液体の一種)
- 硝酸塩・塩素酸塩等(第1類危険物・酸化性固体)
典型的な還元剤:
- 炭素(C)・水素(H2)・金属(Fe, Al等)・有機化合物(可燃物)
各選択肢:
- ア(誤): 「自身が酸化されることで相手を還元」は還元剤の説明。酸化剤は自身が還元される。
- イ(正): 酸化剤の定義として正しい。
- ウ(誤): 第4類危険物は可燃物(有機化合物)であり、燃焼(酸化)される側=還元剤的な役割。酸化剤ではない。
- エ(誤): O2は可燃物を酸化する典型的な酸化剤。燃焼の三要素の「酸素供給源」はまさに酸化剤。
- オ(誤): 強酸化剤(第1類・第6類危険物)と可燃物が直接接触すると点火源なしに発火・爆発する事例がある。「絶対に反応しない」は危険な誤解。
引っかけ: ア(酸化剤と還元剤の入れ替え)とウ(第4類が酸化剤)が典型的な誤り。
【理論的背景:酸化剤と危険物の分類】
消防法の危険物分類では、酸化性物質が明確に区別されています:
- 第1類(酸化性固体): 塩素酸塩・過塩素酸塩・硝酸塩・過マンガン酸塩等。加熱・衝撃で酸素を放出し、可燃物と混合すると爆発的に燃焼する。
- 第6類(酸化性液体): 過塩素酸・硝酸・過酸化水素等。液体の強酸化剤。
これらの酸化性物質と第4類(可燃性液体)が接触すると、点火源なしに急激な反応・発火が起こる危険があります。このため、危険物の「混載禁止」規定では第1類・第6類と第4類の混載が禁止されています(危政令第26条)。
【酸素(O2)の役割と燃焼の三要素】
燃焼の三要素: 可燃物・酸素供給源・点火源。
酸素供給源としての空気中のO2は「燃焼における酸化剤」として機能します。可燃物(有機化合物)が O2 と急速に反応(酸化)して CO2・H2O + 熱を放出する(燃焼)。
この関係:
- 可燃物(第4類有機液体)= 還元剤的役割(酸化される側)
- O2 = 酸化剤(可燃物を酸化する側・自身は O²⁻ に還元される)
窒息消火は「酸化剤(O2)を遮断する」ことで燃焼の三要素の一つを取り除く。
【自然発火と酸化剤なしの酸化】
自然発火(spontaneous ignition)の一形態として、乾性油(ヨウ素価130以上)の酸化熱蓄積があります。この場合は外部の酸化剤(O2)が緩慢に有機分子と反応します(空気中のO2が酸化剤として機能)。点火源なしに蓄積熱が発火点に達すると自然発火となります。
一方、第1類・第6類危険物(強酸化剤)が可燃物に接触した場合は、空気中のO2より反応性が高い酸化剤が直接作用するため、より低温・短時間で発火反応が起こりえます。
【各選択肢の発展補足】
- ア(誤): 「自身が酸化され相手を還元する」は還元剤の記述。酸化剤は自身が還元される(電子を受け取る)。
- イ(正): 酸化剤の正確な定義。相手を酸化(電子を奪う・酸素を与える)・自身は還元(電子を受け取る・酸素を失う)。
- ウ(誤): 第4類危険物は可燃物(炭化水素・アルコール等)で、燃焼時に酸化(電子を失う・酸素を受け取る)される「還元剤」的存在。酸化剤ではない。
- エ(誤): O2は典型的な酸化剤。「還元剤」とするのは定義の逆。
- オ(誤): 強酸化剤(第1類・第6類)と可燃物(第4類等)の混触は点火源なしでも発火・爆発の危険がある事例が知られている。「絶対に反応しない」は誤り。
【試験での位置づけ】
乙四試験では「O2は酸化剤(燃焼の酸素供給源)」「第4類は可燃物(還元剤的)」「強酸化剤と可燃物の混触は危険」が重要論点です。また危険物の分類(第1類・第6類が酸化性)との接続を押さえてください。
【根拠】確立した化学(酸化剤の定義・危険物の分類)。
【補足】酸化剤:相手を酸化・自身は還元。O2は典型的酸化剤。第4類は可燃物(還元剤的)。強酸化剤+可燃物の混触は発火の危険。
<!-- 監修確定 2026-06-05(legal-reviser): 酸化剤=相手を酸化・自身は還元、O2は典型的酸化剤、第4類は可燃物(還元剤的)、強酸化剤+可燃物の混触は点火源なしでも発火しうる、すべて正確。第1類(酸化性固体)/第6類(酸化性液体)の分類も正しい。混載は危政令別表(運搬の混載基準)で第1・6類と第4類は組合せ制限あり。正答イで一意(ア=還元剤の説明・ウ第4類が酸化剤・エ O2が還元剤・オ絶対反応しない はすべて誤り)。確定。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 確立した化学(酸化剤の定義・酸素は酸化剤)。酸化剤は相手を酸化(自身は還元)される。空気中のO2は典型的な酸化剤。 現行の消防法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。