危険物乙四 危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法 問26:動植物油類
動植物油類および乾性油の自然発火に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア動植物油類はヨウ素価が小さいものほど自然発火しやすい。
- イ乾性油は、不飽和脂肪酸が少なく酸化されにくいため、自然発火しない。
- ウ動植物油類は水溶性で、火災には注水が最も有効である。
- エヨウ素価が大きいほど不飽和度が高く酸化されにくいので、ヨウ素価の大きい不乾性油が自然発火しやすい。
- オ乾性油(ヨウ素価130以上)は不飽和脂肪酸を多く含んで酸化されやすく、布などに染み込んで通風の悪い状態で放置すると、酸化熱の蓄積により自然発火することがある。正答
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正しいのはオです。乾性油(ヨウ素価130以上)は酸化されやすく、布などに染み込んで風通しの悪い所に放置すると、酸化熱がたまって自然発火することがあります。
- ア(誤): ヨウ素価が大きいものほど自然発火しやすい(小さいは逆)。
- イ(誤): 乾性油は酸化されやすく、自然発火する。
- ウ(誤): 動植物油類は非水溶性。注水は適さない。
- エ(誤): ヨウ素価が大きい=酸化されやすい。自然発火するのは乾性油(不乾性油ではない)。
- オ(正): 乾性油(ヨウ素価130以上)は酸化熱の蓄積で自然発火。
「乾性油=ヨウ素価130以上・酸化熱蓄積で自然発火」を押さえます。
動植物油類と自然発火:
動植物油類は引火点250℃未満の油脂で、指定数量10,000L、非水溶性です(ウ=誤)。
- ヨウ素価: 油脂100gに付加するヨウ素の量で、不飽和度(二重結合の多さ)を表す。ヨウ素価が大きいほど不飽和脂肪酸が多く、酸化されやすい(エの「酸化されにくい」は誤り)。
- 分類:
- 乾性油: ヨウ素価130以上(アマニ油・キリ油等)。酸化されやすい。
- 半乾性油: ヨウ素価100〜130。
- 不乾性油: ヨウ素価100以下(オリーブ油等)。
- 自然発火(最重要): 乾性油は空気中の酸素で酸化され、その酸化熱が放熱できずに蓄積すると温度が上がり、ついには自然発火する(オ=正)。布・繊維に染み込んで表面積が大きく、通風が悪い(熱がこもる)状態が特に危険(ア・イ=誤)。
引っかけパターン:
- ヨウ素価が小さいほど・不乾性油が自然発火とする逆転(ア・エ)
- 乾性油は自然発火しないとする誤り(イ)
- 水溶性・注水有効とする誤り(ウ)
「乾性油=ヨウ素価130以上・酸化熱蓄積で自然発火(染み込み・通風不良で危険)」を固定します。
【理論的背景】
動植物油類は、動物・植物から得た油脂で、1気圧・引火点250℃未満のものをいいます(指定数量10,000L)。引火点が高いため引火の危険は低いのですが、この区分の最大の特徴は自然発火(酸化熱の蓄積による発火)です。油脂は脂肪酸とグリセリンのエステルで、脂肪酸に二重結合(不飽和結合)が多いほど空気中の酸素と反応(酸化)しやすくなります。この酸化反応は発熱反応で、発生した熱(酸化熱)が逃げずに蓄積すると、温度が上がってさらに酸化が加速し、ついに発火点に達して自然発火します。
【ヨウ素価による分類】
ヨウ素価は、油脂100gが付加するヨウ素のグラム数で、二重結合の多さ(不飽和度)の指標です。ヨウ素価が大きいほど不飽和脂肪酸が多く、酸化されやすい=自然発火しやすい油です。
- 乾性油: ヨウ素価130以上。アマニ油・キリ油・ケシ油等。空気中で酸化して固まる(乾く)性質から「乾性」。最も自然発火しやすい。
- 半乾性油: ヨウ素価100〜130。大豆油・なたね油等。
- 不乾性油: ヨウ素価100以下。オリーブ油・ヤシ油等。酸化されにくく自然発火しにくい。
【自然発火の条件と予防】
乾性油が自然発火しやすいのは、次の条件がそろうときです。
1. 染み込み(表面積大): 油が布・ウエス・繊維・断熱材に染み込むと、空気と触れる表面積が大きくなり酸化が進む。
2. 通風不良(放熱できない): ウエスを丸めて積む・換気の悪い場所に放置すると、酸化熱がこもって蓄積する。
3. 適度な温度: 周囲温度が高いと酸化が加速する。
予防策: 油の染みた布・ウエスは、(1)水を入れた密閉容器に入れる、(2)広げて乾かす・換気する、(3)放置せず適切に処理する。塗装・木工現場での乾性油(アマニ油等)の染みたウエスの自然発火は実際に多い事故です。
【消火】
動植物油類は非水溶性で引火点が高いため、火災時は泡・粉末・二酸化炭素による窒息消火。燃え出すと高温・大量の熱で消火が困難。棒状注水は油の飛散・延焼拡大を招き不適。なお食用油(天ぷら油)火災では、注水が高温油の突沸・火炎噴出を招くため絶対に水をかけてはならない(窒息消火・専用消火剤を使う)。
【試験での位置づけ】
動植物油類は、(1)乾性油=ヨウ素価130以上(半乾性100〜130・不乾性100以下)、(2)ヨウ素価が大きい=酸化されやすい=自然発火しやすい、(3)酸化熱の蓄積で自然発火(染み込み・通風不良で危険)、(4)非水溶性・引火点高い、の各点が問われます。誤答は「ヨウ素価が小さいほど」「不乾性油が自然発火」「乾性油は発火しない」のように、ヨウ素価と自然発火の関係を逆にして作られます。「ヨウ素価が大きい(二重結合が多い)→酸化されやすい→酸化熱がたまって自然発火」という因果の鎖を理解すれば確実です。物理化学の「酸化熱・発熱反応」「反応速度と温度」とつながる論点です。
【各選択肢の発展補足】
- ア(誤): ヨウ素価が大きいものほど自然発火しやすい。小さいほどは逆。
- イ(誤): 乾性油は酸化されやすく自然発火する。しないは誤り。
- ウ(誤): 動植物油類は非水溶性。注水は適さない(飛散・突沸の危険)。
- エ(誤): ヨウ素価が大きい=酸化されやすい。自然発火するのは乾性油で、不乾性油ではない。
- オ(正): 乾性油(ヨウ素価130以上)は酸化熱の蓄積で自然発火する。
【根拠】動植物油類(引火点250℃未満・指定数量10,000L)・乾性油(ヨウ素価130以上)の性状(確定表)。
【補足】乾性油=ヨウ素価130以上・酸化されやすい。酸化熱の蓄積(染み込み・通風不良)で自然発火。非水溶性。酸化熱・発熱反応と連動。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 動植物油類(引火点250℃未満・指定数量10,000L)の性状(確定表)。乾性油=**ヨウ素価130以上**(半乾性油100〜130、不乾性油100以下)。ヨウ素価が大きいほど不飽和度が高く酸化されやすい。乾性油は空気中で酸化され、その酸化熱が蓄積すると自然発火する(アマニ油等)。動植物油類は非水溶性。 現行の消防法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。