危険物乙四 危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法 問61:特殊引火物(ジエチルエーテル)
ジエチルエーテルの取扱い上の注意に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- アジエチルエーテルは安定した物質で、長期間保存しても性質は変わらない。
- イジエチルエーテルは光(特に紫外線)と空気(酸素)に長期間触れると、爆発性の過酸化物を生成することがある。正答
- ウジエチルエーテルの発火点は約90℃で、二硫化炭素と並んで第4類の中で最も低い。
- エジエチルエーテルは水によく溶けるため(水溶性)、二硫化炭素と同様に水中で保存する。
- オジエチルエーテルの液比重は約1.3で水より重く、流出時には水の底に沈む。
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正しいのはイです。ジエチルエーテルは光・空気で爆発性の過酸化物を生成することがあります。
- ア(誤): 安定ではない。長期保存で過酸化物が生成する危険がある。
- イ(正): 光・空気で爆発性の過酸化物を生成することがある。
- ウ(誤): ジエチルエーテルの発火点は約160℃で、二硫化炭素(約90℃)より高い。発火点が約90℃で第4類最低なのは二硫化炭素(ジエチルエーテルではない)。
- エ(誤): ジエチルエーテルは水にわずかに溶ける程度で、水中保存はしない(密閉・冷暗所保存)。
- オ(誤): ジエチルエーテルの液比重は0.71で水より軽い。液比重>1で水中保存するのは二硫化炭素。
「ジエチルエーテル=引火点−45℃・発火点160℃・液比重0.71・過酸化物生成・密閉冷暗所保存」を押さえます。発火点が約90℃(第4類最低)・液比重>1で水中保存なのは二硫化炭素です。
ジエチルエーテルの性状と取扱い注意:
- ア(誤): ジエチルエーテルは化学的に不安定な物質で、光(紫外線)・空気(酸素)・加熱の影響で爆発性の過酸化物(エーテルパーオキサイド)を生成することがあります。長期保存や蒸発濃縮すると生成量が増加し、容器開封時・蒸留時の刺激で爆発する危険があります。
- イ(正): 光・空気で過酸化物を生成する特性を持ちます。保存には光を遮断(遮光保存)・空気との接触を避け(密封)・冷暗所での管理が必要です。正しい。
- ウ(誤): ジエチルエーテルの発火点は約160℃(設計書§1-2確定値)で、二硫化炭素の発火点約90℃より高い。発火点が約90℃で「第4類の中で最も低い」のは二硫化炭素であり、ジエチルエーテルではない。発火点の数値・最低物質ともに誤り。なお、ジエチルエーテルの引火点−45℃は第4類で最も低い部類(二硫化炭素−30℃より低い)だが、本選択肢は引火点ではなく発火点を問題にしている点に注意。
- エ(誤): ジエチルエーテルは水にわずかに溶ける程度(100gの水に約6g程度)で、完全な水溶性ではありません。水中保存はせず、密閉・遮光・冷暗所保存が正解。水中保存は二硫化炭素の方法です。
- オ(誤): ジエチルエーテルの液比重は0.71で水より軽い(流出時は水面に浮く)。液比重1.26〜1.3で水より重く水底に沈むのは二硫化炭素であり、ジエチルエーテルとは正反対。液比重の値・水への浮沈ともに誤り。
引っかけパターン: 安定な物質とする(ア)、発火点を約90℃(第4類最低)とする(ウ、実際は約160℃で最低は二硫化炭素)、水中保存とする(エ)、液比重>1で水中保存とする(オ、実際は液比重0.71で水より軽く水中保存しない)。「過酸化物生成・密閉遮光冷暗所・発火点160℃・液比重0.71(二硫化炭素の90℃/1.3と区別)」を核心に。
【理論的背景】
ジエチルエーテル((C₂H₅)₂O・分子量74)は特殊引火物の代表で、第4類の中で最も引火点が低い(−45℃)物質です。しかし、化学的安定性という観点では問題を抱えています。エーテル結合(C-O-C)を持つ化合物は、光(紫外線)や酸素の存在下で自動酸化(自動酸化反応)により過酸化物(ヒドロペルオキシド・パーオキサイド)を生成します。この過酸化物は熱・衝撃・摩擦に対して爆発性を示す危険な二次生成物です。
【過酸化物生成のリスク管理】
- 生成条件: 長期保存・光(特に紫外線)・空気(酸素)との接触、加熱・蒸発による濃縮。
- 危険な状況: 蒸留による濃縮(蒸留残液)、長期未使用後の開封(過酸化物が底に濃縮している場合がある)。
- 防止策:
- 遮光保存(褐色ビン等を使用)
- 密閉保存(空気・酸素との接触を最小化)
- 冷暗所保存(低温で反応を抑制)
- 安定剤の添加(フェノール系安定剤等が使用されることがある)
- 定期的な過酸化物検査(過酸化物試験紙等)と廃棄管理
- 試験では「ジエチルエーテルの取扱い上の注意」として、過酸化物生成に対する管理が問われます。
【ジエチルエーテルと二硫化炭素の比較】
| 項目 | ジエチルエーテル | 二硫化炭素 |
|---|---|---|
| 引火点 | −45℃(最低レベル) | −30℃ |
| 発火点 | 約160℃ | 約90℃(第4類最低) |
| 液比重 | 0.71(水より軽い) | 1.26〜1.3(水より重い) |
| 水溶性 | 水にわずかに溶ける | 非水溶性 |
| 保存方法 | 密閉・遮光・冷暗所 | 水中保存 |
| 特殊危険 | 過酸化物生成 | 発火点90℃(低温熱源で自然発火) |
引火点はジエチルエーテルの方が低い(より危険)、発火点は二硫化炭素の方が低い(自然発火しやすい)という非対称な関係を押さえます。
【試験での位置づけ】
ジエチルエーテルの特殊危険(過酸化物生成)は頻出(頻出度B)です。核心は、(1)引火点−45℃(第4類最低レベル)、(2)発火点約160℃(二硫化炭素の90℃と区別)、(3)光・空気で爆発性の過酸化物を生成(長期保存・蒸留濃縮で危険)、(4)密閉・遮光・冷暗所保存(水中保存は二硫化炭素)、(5)水にわずかに溶ける(完全な非水溶性ではないが、通常は非水溶性扱い)です。二硫化炭素との比較は引火点・発火点・水溶性・保存方法の全てで対照的な性質があります。
【各選択肢の発展補足】
- ア(誤): 安定ではない。光・空気で過酸化物が生成する。
- イ(正): 光・空気で爆発性の過酸化物を生成することがある。対策は遮光・密封・冷暗所保存。
- ウ(誤): ジエチルエーテルの発火点は約160℃で二硫化炭素(約90℃)より高い。発火点が約90℃で第4類最低なのは二硫化炭素であり、ジエチルエーテルではない。
- エ(誤): 水にわずかに溶けるが水中保存はしない(二硫化炭素の保存方法と混同)。
- オ(誤): ジエチルエーテルの液比重は0.71(水より軽い)で水中保存はしない。液比重1.26〜1.3で水より重く水中保存するのは二硫化炭素。
【根拠】確立した教科書値・設計書§1-2。
【補足】ジエチルエーテル:引火点−45℃・発火点約160℃・光・空気で過酸化物生成(爆発性)・密閉遮光冷暗所保存・水にわずかに溶ける(水中保存はしない)。二硫化炭素との対比:引火点(エーテル<CS₂)・発火点(CS₂<エーテル)。
<!-- 監修確定 2026-06-05(legal-reviser): 【正答一意性の重大欠陥を修正】旧選択肢ウ「引火点−45℃で二硫化炭素より引火点が低い」は事実として正しく、正答イとの二重正答だった→ウを「発火点約90℃で第4類最低(誤り・実際は約160℃で最低は二硫化炭素)」に変更。旧オ(発火点約90℃)とウの誤り軸重複を避けるためオを「液比重約1.3で水より重く水中保存(誤り・実際は液比重0.71で水より軽く水中保存しない)」に変更。発火点エーテル約160℃/二硫化炭素約90℃、液比重エーテル0.71/二硫化炭素1.26〜1.3はいずれも§1-2確定値と一致。過酸化物生成は確立事実。正答イ一意化。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 確立した教科書値・設計書§1-2。ジエチルエーテルは光・空気で爆発性の過酸化物(エーテルパーオキサイド)を生成することがある(イ=正)。ジエチルエーテルの発火点は約160℃で、二硫化炭素の約90℃より高い(第4類で発火点最低は二硫化炭素)。よって「ジエチルエーテルの発火点が約90℃で第4類最低」とするウは誤り。ジエチルエーテルは水にわずかに溶ける(半水溶性・準水溶性)で水中保存はしない(密閉・冷暗所保存・エ=誤)。引火点は−45℃(第4類で最低レベル・二硫化炭素−30℃より低い)。ジエチルエーテルの液比重は0.71で水より軽く流出時は水面に浮くため、オの「液比重約1.3で水より重く水底に沈む」は誤り(液比重>1で水底に沈むのは二硫化炭素)。 現行の消防法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。