危険物乙四 危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法 問69:動植物油類
動植物油類の定義および分類に関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア動植物油類とは、動物の脂肉等または植物の種子・果肉等から得られる油脂で、1気圧において引火点が250℃未満のものをいう。
- イ動植物油類の指定数量は10,000Lである。
- ウ動植物油類の中でヨウ素価が130以上の油は「乾性油」と呼ばれ、自然発火の危険がある。
- エ動植物油類の引火点は250℃未満であるため、引火点が0℃以下のものも含まれ、常温で容易に引火する危険がある。正答
- オ動植物油類の火災に際しては、耐アルコール泡が必要な場合と通常の泡が有効な場合があるが、いずれも棒状注水は原則不適である。
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誤りはエです。動植物油類の引火点は250℃未満という「上限」の定義で、一般に高い値を持つものがほとんどです。引火点0℃以下のものは通常含まれません。
- ア(正): 動植物油類の定義(危政令別表第三備考)。引火点250℃未満の動植物油脂。
- イ(正): 指定数量は10,000L(第4類で最大)。
- ウ(正): ヨウ素価130以上が乾性油(自然発火危険)。確定値。
- エ(誤): 「引火点0℃以下のものも含まれる」は誤り。実際の動植物油は引火点が高い。
- オ(正): 棒状注水は原則不適。泡(水溶性・非水溶性で種類が違う場合あり)が基本。
「動植物油類は引火点250℃未満が上限・実際は高い・乾性油=ヨウ素価130以上」を押さえます。
動植物油類の定義・分類:
- ア(正): 動植物油類の定義(危政令別表第三備考): 動物の脂肉等または植物の種子・果肉等から得られる油脂で、1気圧において引火点が250℃未満のもの。正しい(引火点250℃以上は危険物指定なし)。
- イ(正): 指定数量は10,000L(第4類の中で最大)。指定数量が大きい=少量での規制はかかりにくい(危険性が相対的に低い)ことを示す。正しい。
- ウ(正): ヨウ素価130以上=乾性油(自然発火危険)、100〜130=半乾性油、100以下=不乾性油。確定値。正しい。
- エ(誤): 引火点「250℃未満」は上限の定義で、実際の代表的な動植物油類(アマニ油・ヤシ油・なたね油・大豆油・オリーブ油等)の引火点は200〜250℃程度と高く、常温(20℃)では引火しないものがほとんどです。引火点0℃以下のものは特殊引火物の範疇であり、一般的な動植物油脂には含まれません。「引火点0℃以下のものも含まれる」は誤りです。
- オ(正): 動植物油類の多くは非水溶性(油脂は炭化水素系・長鎖脂肪酸)なので通常の泡が有効。一部水溶性成分を多く含む場合や混合物では耐アルコール泡が必要な場合もある。棒状注水は原則不適(液面拡大)。正しい。
引っかけパターン: 引火点250℃未満を「引火点が低い(0℃以下のものも含む)」と解釈する(エ)。「250℃未満は上限の定義で、実際は高い」という方向で理解する。
【理論的背景】
動植物油類の引火点「250℃未満」という定義は、第4類に含まれるための「上限値」です。「引火点が250℃未満」とは「最高でも250℃に達しない(それより低い引火点)」という意味で、具体的な下限値は規定されていません。しかし実際の動植物油脂(食用・工業用)は長鎖脂肪酸グリセリドを主成分とする高分子油脂で、引火点は一般に200〜250℃程度の高い値を持ちます。引火点が0℃以下のものは特殊引火物(引火点−20℃以下かつ沸点40℃以下等)の定義に入るものであり、動植物油脂の性状とは無縁です。
【代表的な動植物油類の引火点(参考値)】
- アマニ油(乾性油): 引火点約222℃(一部データによる)
- ヤシ油(不乾性油): 引火点約230〜260℃
- なたね油(半乾性油): 引火点約220〜260℃
- 大豆油(半乾性油): 引火点約220〜260℃
- てんぷら油(調理油): 引火点240〜370℃(組成による)
いずれも引火点が高く(200℃以上程度)、常温で引火する危険はない。ただし高温に熱したてんぷら油(160〜180℃で調理→さらに加熱で発煙・引火点到達)による火災(天ぷら火災)は現実に多発しており、引火点到達への注意が必要です。
【動植物油類の自然発火(乾性油)の特異性】
動植物油類の特有危険は「引火」より「自然発火」です。
- 乾性油(ヨウ素価130以上): アマニ油・桐油等は不飽和脂肪酸が多く、常温・空気中で自動酸化→酸化熱蓄積→自然発火。引火点は高いが自然発火の危険がある逆説的な特性を持つ。
- 引火危険より自然発火危険: 動植物油類は引火点が高く常温での引火危険は低いが、乾性油は外部火源なしで自然発火する特異な危険がある。
【ヨウ素価分類の再整理】
| 区分 | ヨウ素価 | 代表例 | 自然発火リスク |
|---|---|---|---|
| 乾性油 | 130以上 | アマニ油・桐油・ひまわり油 | 高(注意) |
| 半乾性油 | 100〜130 | 大豆油・なたね油・綿実油・サフラワー油 | 中程度 |
| 不乾性油 | 100以下 | ヤシ油・パーム油・オリーブ油・ひまし油 | 低 |
【試験での位置づけ】
動植物油類の定義と分類は性質科目で頻出(頻出度B)です。核心は、(1)動植物油類=引火点250℃未満の動植物油脂(上限の定義)、(2)指定数量10,000L(第4類最大)、(3)乾性油=ヨウ素価130以上(自然発火危険)、(4)実際の引火点は高く(200℃以上程度)、常温では引火しない、(5)棒状注水は原則不適です。引っかけは「引火点250℃未満=引火点が低い物質が含まれる」と解釈する(本問のエ)、ヨウ素価の境界を誤る誤りです。「250℃未満は上限・実際は高い・乾性油130以上」を固定します。
【各選択肢の発展補足】
- ア(正): 定義(危政令別表第三備考)通り。引火点250℃未満の動植物油脂。
- イ(正): 指定数量10,000L(第4類最大)。危険性が相対的に低い(大量でも規制がかかりにくい)。
- ウ(正): ヨウ素価130以上=乾性油=自然発火危険。確定値。
- エ(誤): 引火点250℃未満は上限の定義。実際の代表的な動植物油類は引火点が高く(200℃以上程度)、常温で引火しない。引火点0℃以下は含まれない。
- オ(正): 棒状注水は原則不適(液面拡大)。
【根拠】危険物の規制に関する政令 別表第三・設計書§2-3(S8)末尾確定ブロック。
【補足】動植物油類:引火点250℃未満(上限の定義・実際は高め)・指定数量10,000L・乾性油ヨウ素価130以上(自然発火危険)。常温では通常引火しない。棒状注水は原則不適。【監修確定 2026-06-03】
<!-- 監修確定 2026-06-05(legal-reviser): 動植物油類=引火点250℃未満(上限の定義・実際は200℃以上で常温引火せず)・指定数量10,000L・乾性油ヨウ素価130以上(§2-3 S8確定値)一致。エ(引火点0℃以下も含む)は明確な誤り。正答エ一意。OK -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 危険物の規制に関する政令 別表第三・設計書§2-3(S8)末尾確定ブロック。動植物油類の引火点は250℃未満という「上限」の定義であり、下限は規定されていない(実際の代表的な動植物油類は引火点が200〜250℃程度のものが多い)。常温(20℃)で引火する引火点のものは含まれないのが一般的(アマニ油・ヤシ油等はいずれも引火点が高い)。エの「引火点が0℃以下のものも含まれる」は誤り。【監修確定 2026-06-03】 現行の消防法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。