登録販売者 第1章 医薬品に共通する特性と基本的な知識 問4:医薬品に共通する特性と基本的な知識
医薬品の相互作用に関する次のア〜オの記述について、**正しいものの組合せ**はどれか。 - ア. 2種類の医薬品を同時に服用した場合、互いの作用が強め合う「相加・相乗作用」が生じることがあるが、弱め合う「拮抗作用」は医薬品間では生じない。 - イ. 複数の医薬品を同時に服用する場合、それぞれ別々の成分が含まれていても、同じ種類の有効成分を重複して摂取するリスクに注意する必要がある。 - ウ. アルコールは中枢神経系を抑制する作用があり、睡眠改善薬や鎮静成分を含む医薬品と同時に摂取すると作用が増強されることがある。 - エ. 食品との相互作用は医薬品の効果に影響しないため、添付文書で食事との関係について注意事項が記載されることはない。 - オ. 医薬品同士の相互作用は、同じ代謝経路(CYP酵素系等)を用いる薬物間で起こりやすい。
- 1ア・ウ
- 2イ・エ
- 3ア・オ
- 4イ・ウ・オ正答
- 5ウ・エ・オ
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正答は4(イ・ウ・オが正しい)です。
イは正しい。かぜ薬と解熱鎮痛薬など、複数の製品に同じ成分(アセトアミノフェン等)が入っていることがあり、意図せず過剰摂取になるリスクがあります。
ウは正しい。アルコールは中枢神経を抑制するため、睡眠薬や眠気を起こす成分との組み合わせで作用が強まります。
オは正しい。同じ代謝酵素(CYP3A4等)を使う薬物同士では代謝競合が起こり、血中濃度が予想外に上がることがあります。
アは誤りです。拮抗作用(互いの効果を打ち消し合う)は医薬品間でも起こります。エは誤りで、食品との相互作用は実際に起こり、添付文書にも記載されます。
各記述の解説:
- ア(誤): 2種類の医薬品の相互作用には「相加作用」(1+1=2の効果)「相乗作用」(1+1>2)「拮抗作用」(1+1<2、または一方が他方の作用を打ち消す)の3種類があります。「拮抗作用は起こらない」という記述は誤りです。例として、作動薬とその受容体の拮抗薬を同時に使用した場合に作用が減弱します。
- イ(正): かぜ薬・解熱鎮痛薬・鎮痛薬などには、アセトアミノフェンやカフェインが重複して含まれることがあります。同時服用により過剰摂取(アセトアミノフェン肝障害等)のリスクが生じます。顧客への複数製品購入時の注意喚起は登録販売者の重要な業務です。
- ウ(正): アルコールは中枢神経系(CNS)を抑制する作用を持ち、睡眠改善薬・抗ヒスタミン薬(第1世代)・鎮咳薬(コデイン含有)などと同時摂取すると過度の鎮静・呼吸抑制のリスクが高まります。OTC薬の多くは「服用中は飲酒しないこと」と添付文書に記載されています。
- エ(誤): 食品との相互作用は医薬品の効果に大きく影響します。代表例として、高脂肪食後の服用で一部薬物の吸収が変化する、タンニン(お茶)が鉄剤の吸収を妨げる、などがあり、これらは添付文書の「用法・用量に関連する使用上の注意」に記載されます。
- オ(正): 肝臓のシトクロムP450(CYP)酵素系(特にCYP3A4・CYP2D6等)は多くの薬物の代謝に関与します。同じCYPアイソザイムで代謝される薬物を同時服用すると、代謝競合により一方または双方の血中濃度が変化し、作用の増強または減弱が起こります。
【相互作用の分類と機序:薬力学的・薬物動態学的相互作用】
医薬品の相互作用は以下の2大カテゴリーに分類されます。
A. 薬力学的相互作用(Pharmacodynamic interaction)
作用部位(受容体・酵素・イオンチャネル等)での直接的な相互作用で、血中濃度の変化を伴わずに効果が変化します。
- 相加作用(additive): 同じ受容体系に作用する薬物の組み合わせ。例:2種の抗ヒスタミン薬併用で眠気が増強。
- 相乗作用(synergistic): 効果が単純加算以上に増強される。例:アルコール+ベンゾジアゼピン系→呼吸抑制が想定以上に増強。
- 拮抗作用(antagonistic): 受容体作動薬と拮抗薬の同時服用で効果が減弱。例:気管支拡張薬(β2作動薬)とβ遮断薬の同時使用。
B. 薬物動態学的相互作用(Pharmacokinetic interaction)
吸収・分布・代謝・排泄(ADME)のいずれかの過程で起こる相互作用です。
- 吸収段階: タンニン(お茶・コーヒー)+鉄剤→キレート形成→吸収低下。制酸薬(アルミニウム・マグネシウム)+テトラサイクリン→吸収低下。
- 代謝段階(最多): CYP酵素の阻害・誘導による血中濃度変動。
- CYP阻害: ある薬物がCYPを阻害→基質薬の代謝が遅延→血中濃度上昇→副作用増強リスク
- CYP誘導: ある薬物がCYP産生を促進→基質薬の代謝が加速→血中濃度低下→効果減弱
- 排泄段階: 腎臓での尿細管分泌競合。プロベネシドがペニシリンの尿細管分泌を阻害→ペニシリンの血中濃度上昇(治療目的に利用する場合もある)。
【食品・飲料との相互作用の具体例】
- タンニン(お茶・コーヒー・ワイン): 鉄剤の吸収を低下させる。鉄剤は水か果汁で服用が推奨される(ビタミンCは吸収促進)。
- 牛乳・制酸薬: テトラサイクリン系抗生物質・キノロン系との相互作用(キレート形成)。
- 高脂肪食: 一部の脂溶性薬物では吸収が増加するが、逆に食後服用で胃粘膜刺激が軽減される薬物もある。
- カフェイン(コーヒー等): 一部の薬物(テオフィリン等・同じキサンチン系)との相互作用や、中枢刺激作用の相加。
【同一成分の重複摂取問題(選択肢イの実務的発展)】
日本では、複数の一般用医薬品を並行購入・服用するケースが多いです。登録販売者が特に注意すべき重複成分:
- アセトアミノフェン: かぜ薬・解熱鎮痛薬・眠気防止薬補助成分として多数製品に含まれる。1日上限量(成人1500〜4000mg・製品により異なる)を超えると肝障害リスク。アルコール常用者では特に危険。
- カフェイン: かぜ薬・解熱鎮痛薬・眠気防止薬・頭痛薬に含まれる。コーヒーやエナジードリンクとの重複で過剰摂取。不眠・動悸・血圧上昇。
- アルコール(エタノール): OTC液剤の溶媒として含まれる場合がある。他のアルコール含有製品や飲酒との重複に注意。
購入時に「現在お使いの薬はありますか」「他に飲んでいるサプリや健康食品はありますか」と聞くことで、相互作用・重複成分リスクを事前に防げます。これが登録販売者の情報提供の核心です。
【試験での位置づけ】
相互作用問題は「正しいものの組合せ」形式で出題されることが多く、正誤の混在した選択肢を4〜5つ処理する必要があります。「拮抗作用は起こらない」「食品との相互作用は無視できる」という誤記述は典型的なダミーパターンです。正確なキーワード(相加・相乗・拮抗、CYP酵素系、タンニン・鉄剤)を押さえておくことが高得点につながります。
【根拠】厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第1章第3節
<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 相互作用を手引き・標準薬理と突合。①拮抗作用は医薬品間でも起こる(設問ア「拮抗作用は生じない」は誤り)、同一成分の重複摂取に注意(イ=正)、アルコールは中枢抑制で鎮静成分の作用を増強(ウ=正)、同一CYP代謝経路の薬物間で相互作用が起こりやすい(オ=正)、食品との相互作用も起こり添付文書に記載される(エ「影響しない」は誤り)。よって正しい組合せ=イ・ウ・オで正答4は一意に確定。②CYP3A4/2D6・タンニン+鉄剤・グレープフルーツの具体例は教育的補足で正答判定に影響なし。設問・正答の事実誤りなし。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第1章 第3節「適切な医薬品選択と受診勧奨」(相互作用・飲み合わせ) 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。