第2章 人体の働きと医薬品25人体の働きと医薬品(消化酵素・栄養素・吸収部位)

登録販売者 第2章 人体の働きと医薬品 問25:人体の働きと医薬品(消化酵素・栄養素・吸収部位)

消化酵素と栄養素の消化・吸収に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • デンプン(炭水化物)の消化は胃から始まり、胃液中のペプシンによって最初にマルトースに分解される。
  • タンパク質は胃では全く分解されず、小腸に到達して初めてトリプシン・キモトリプシン等の膵臓由来の酵素によって分解が開始され、アミノ酸やジペプチドにまで分解されて吸収される。
  • 脂質(脂肪)は水に溶けないため消化吸収されにくく、胆汁による乳化や膵リパーゼによる分解を受けることなく、そのまま小腸から吸収される。
  • 小腸は消化吸収の主要な場であり、絨毛(じゅうもう)と微絨毛(brush border)によって表面積が大きく拡張されており、栄養素の効率的な吸収を実現している。正答
  • 水溶性ビタミン(B群・C)は脂溶性ビタミン(A・D・E・K)と同様に、胆汁酸の乳化作用が必要であり、胆汁分泌が障害されると吸収が大きく低下する。
正答:小腸は消化吸収の主要な場であり、絨毛(じゅうもう)と微絨毛(brush border)によって表面積が大きく拡張されており、栄養素の効率的な吸収を実現している。

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正答はエです。

小腸は消化吸収の中心的な臓器で、内壁に絨毛(突起状のひだ)と微絨毛(絨毛の表面にある細かい突起)があり、これにより吸収面積が非常に大きく拡張されています。これによって栄養素を効率よく吸収できます。

誤りの選択肢を確認します。デンプンの消化は「口腔」から始まり、唾液アミラーゼがまず分解します(胃のペプシンはタンパク質分解酵素で、アは誤り)。タンパク質の消化はすでに胃でペプシンによって始まっており、「胃では全く分解されず小腸で初めて分解が開始される」というイの記述は誤りです。脂質は胆汁の乳化と膵リパーゼによる分解が必要です(ウ誤)。水溶性ビタミンは胆汁の乳化が不要で、脂溶性ビタミンとは吸収様式が異なります(オ誤)。

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栄養素の消化・吸収の概要:

| 栄養素 | 消化開始部位 | 主な消化酵素 | 最終産物 | 主な吸収部位 |

|---|---|---|---|---|

| 炭水化物(デンプン) | 口腔(唾液アミラーゼ) | 唾液/膵アミラーゼ→腸粘膜二糖類分解酵素 | グルコース等の単糖 | 小腸 |

| タンパク質 | 胃(ペプシン) | 膵トリプシン・キモトリプシン・小腸ペプチダーゼ | アミノ酸・ジペプチド | 小腸 |

| 脂質(脂肪) | 小腸(胆汁乳化後) | 膵リパーゼ | 脂肪酸・グリセロール | 小腸(リンパへ)|

| 脂溶性ビタミン | 小腸(胆汁乳化が必要) | — | そのまま吸収 | 小腸(リンパへ) |

| 水溶性ビタミン | 小腸(乳化不要) | — | そのまま吸収 | 小腸(毛細血管へ) |

各選択肢の解説:

  • ア(誤): デンプンの消化は「口腔」から始まります。唾液中のアミラーゼ(プチアリン)がデンプンをマルトース(二糖)等に分解し始めます。胃のペプシンはタンパク質(プロテアーゼ)の分解酵素であり、デンプンは分解しません。
  • イ(誤): タンパク質の消化は「胃」でペプシン(胃酸でペプシノーゲンから活性化)によって既に開始されており、ポリペプチドへ分解されます。「胃では全く分解されず、小腸で初めて分解が開始される」という記述は誤りです。なお、小腸で膵酵素(トリプシン・キモトリプシン等)によりアミノ酸・ジペプチドまで最終分解され吸収される点自体は正しいですが、消化の開始部位を胃ではなく小腸とした点が明確な誤りです。
  • ウ(誤): 脂質は水に不溶のため、胆汁酸の乳化(ミセル形成)と膵リパーゼによる脂肪酸・モノグリセリドへの分解が必須です。分解後は小腸粘膜に吸収されてカイロミクロン(リポタンパク質)として形成されリンパ管に入ります。
  • エ(正): 小腸の絨毛(長さ約0.5〜1mm)と微絨毛(brush border)により、小腸の吸収面積はテニスコート1面(約250m²)に相当するとも表現されます。この構造が効率的な栄養素吸収の解剖学的基盤です。
  • オ(誤): 水溶性ビタミン(B1・B2・B6・B12・C・葉酸・ビオチン等)は水に溶けるため、胆汁酸による乳化なしに小腸粘膜から直接吸収されます(毛細血管→門脈→肝臓)。脂溶性ビタミン(A・D・E・K)は脂質と同様に胆汁乳化が必要です。
上級誤答論破・根拠(手引き)まで深掘り

【消化吸収の臓器連携と医薬品への応用】

消化の段階とそれに関わる臓器・酵素の詳細:

口腔での消化(化学的・機械的):

  • 唾液腺(耳下腺・顎下腺・舌下腺)から分泌される唾液(約1〜1.5L/日)
  • 唾液アミラーゼ(プチアリン): α-1,4グルコシド結合を加水分解 → デンプン→マルトース・デキストリン
  • 唾液にはムチン(粘滑作用)・リゾチーム(抗菌)・ラクトフェリン等も含まれる

胃での消化:

  • 塩酸(HCl): 胃内をpH1〜2の強酸性に保つ → タンパク質の変性・ペプシノーゲンの活性化
  • ペプシン(ペプシノーゲン→HClで活性化): タンパク質をポリペプチドに分解
  • 胃リパーゼ: 脂肪の一部(短鎖・中鎖脂肪)を分解(全体の10〜30%)
  • 胃酸は炭水化物やデンプンを分解しない(アミラーゼが失活するため)

小腸での消化(主役):

膵臓から分泌される消化酵素(膵液・1日約1〜2L):

| 酵素前駆体 | 活性化 | 基質 | 産物 |

|---|---|---|---|

| トリプシノーゲン | 腸管内エンテロキナーゼ | タンパク質 | ポリペプチド |

| キモトリプシノーゲン | トリプシンで活性化 | タンパク質(芳香族AA隣接) | ポリペプチド |

| 膵アミラーゼ | 活性型として分泌 | デンプン | マルトース |

| 膵リパーゼ | — | トリグリセリド | 脂肪酸+2-モノグリセリド |

| エラスターゼ | トリプシン | エラスチン(結合タンパク) | ペプチド |

小腸粘膜(brush border)の酵素:

  • マルターゼ・スクラーゼ・ラクターゼ: 二糖を単糖に最終分解
  • ジペプチダーゼ・アミノペプチダーゼ: ジ・トリペプチドをアミノ酸に最終分解

脂質吸収の詳細(胆汁の役割):

脂質吸収のプロセス:

1. 胆汁酸(胆嚢から分泌)がトリグリセリドを取り囲みミセルを形成(乳化)

2. 膵リパーゼがミセル内のトリグリセリドを脂肪酸と2-モノグリセリドに分解

3. 小腸粘膜から吸収 → 腸粘膜細胞内で再びトリグリセリドに合成

4. アポタンパク質と結合してカイロミクロンを形成

5. リンパ管(乳び管)→ 胸管 → 鎖骨下静脈 → 体循環

脂溶性医薬品や脂溶性ビタミンもこのカイロミクロン経路で吸収されます(肝初回通過効果を受けない経路)。

医薬品の吸収への応用(消化と剤形の関係):

消化管の働きは医薬品の吸収にも影響します:

| 剤形 | 消化管の影響 | 設計の狙い |

|---|---|---|

| 腸溶錠 | 胃酸に溶けず腸で溶ける | 胃酸に不安定な成分を保護 |

| 徐放性製剤 | 腸管蠕動・pH変化で吸収が持続 | 血中濃度を長時間維持 |

| 舌下錠・バッカル錠 | 口腔粘膜から吸収(消化を経由しない) | 初回通過効果を回避・即効性 |

消化酵素の分泌が低下する状態(慢性膵炎・高齢者・膵切除後等)では、医薬品の吸収パターンも変化します。登録販売者が購入者の消化器系の状態を把握することは、適切な剤形選択の説明にもつながります(例:「飲み込みにくい方には液剤やOD錠を選ぶ」など)。

栄養補助製品・消化薬との関連:

消化薬(健胃消化薬・総合胃腸薬)に含まれる消化酵素補充成分:

  • ジアスターゼ(アミラーゼ): デンプン分解補助
  • リパーゼ: 脂肪分解補助
  • プロテアーゼ: タンパク質分解補助

これらは膵臓や消化管の消化能力が落ちた際に補助的に機能します。「消化が悪い」「胃がもたれる」という訴えには食事内容・消化酵素の分泌状態を考慮した製品選択が有効です。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第2章 第1節「消化器系」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

関連論点

消化酵素と栄養素の消化吸収・部位頻出度A

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