登録販売者
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

登録販売者 第2章 人体の働きと医薬品 問32|血液凝固と線溶系

問題

登録販売者 | 第2章 人体の働きと医薬品 | (手引き令和8年4月版・令和8年5月施行改正反映)

血液凝固および線溶系に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。

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答え合わせ

正解は ア
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答はアです。

アスピリン等のNSAIDsは血小板のトロンボキサンA2(TXA2)産生を「阻害」します。TXA2は血小板凝集を「促進」する物質なので、これを阻害することで血小板凝集が「抑制」されます。その結果、血が止まりにくくなる(出血傾向)という副作用が生じます。アは「血小板凝集を促進する」と逆に書いているため誤りです。

血液凝固の流れは「血管損傷→血小板が集まり一次血栓形成→凝固カスケードでフィブリン形成→二次血栓(最終血栓)」です。一方、血栓が大きくなりすぎないように溶解する仕組みが線溶系(プラスミン)です。

血液凝固の流れ(一次止血・二次止血):

段階内容
血管収縮血管損傷後、即座に収縮して血流減少
一次止血(血小板栓)血小板が損傷部に粘着・凝集→白色血栓形成。VWF(フォン・ウィルブランド因子)が仲介
二次止血(凝固カスケード)凝固因子が連鎖活性化→トロンビン産生→フィブリノゲン→フィブリン→フィブリン血栓(赤色血栓)
線溶(フィブリン溶解)プラスミノゲン→プラスミン(tPAにより活性化)→フィブリンを分解→血栓を溶かして血管開通

アが誤りの理由(詳細):

  • NSAIDs(特にアスピリン)はシクロオキシゲナーゼ(COX)酵素を阻害。
  • COXはアラキドン酸からプロスタグランジン・トロンボキサンA2(TXA2)・プロスタサイクリン(PGI2)を合成する酵素。
  • TXA2は血小板凝集を促進する → NSAIDsで阻害 → TXA2が作られない → 血小板凝集が抑制される。
  • 結果: 出血時間の延長・出血傾向(止血しにくくなる)。
  • アは「血小板凝集を促進する」と書いているが、正しくは「血小板凝集を抑制する」。

アスピリンと一般用医薬品(手引きの記載):

手引きは、アスピリン(アスピリンアルミニウムを含む)には血液を凝固しにくくさせる作用もあるため、胎児や出産時の母体への影響を考慮して、出産予定日12週間以内の使用を避けるとしています。また、医療用医薬品のアスピリンは血栓予防薬の成分としても用いられており、既にアスピリン製剤が処方されている場合は、一般用医薬品の解熱鎮痛薬を自己判断で使用することは避け、処方した医師又は調剤を行った薬剤師に相談するなどの対応が必要です。

各選択肢の解説:

  • エ(正): フィブリノゲン→フィブリンの変換はトロンビンによる(正しい)。
  • イ(正): 血小板が一次血栓(白色血栓)を形成(正しい)。
  • ウ(正): 線溶系=プラスミノゲン→プラスミン→フィブリン分解(正しい)。
  • ア(誤・正答): NSAIDsは血小板凝集を「促進」ではなく「抑制」する。
  • オ(正): 出血傾向のある人への注意は正しい。

【血液凝固カスケードの詳細と薬物による介入点】

血液凝固は複雑な酵素連鎖反応(カスケード)によって制御されており、登録販売者試験で問われる内容を超えた深い理解は上位資格(薬剤師国家試験・医師国家試験)で求められます。ここでは「なぜNSAIDsで出血しやすくなるか」を中心に、試験に役立つ機序の理解を深めます。

凝固カスケードの2経路:

1. 外因系(組織因子経路): 血管損傷→組織因子(TF)放出→第VII因子の活性化→共通経路へ。

2. 内因系(接触活性化経路): コラーゲン等との接触→第XII因子(ハーゲマン因子)活性化→共通経路へ。

3. 共通経路: 第X因子→プロトロンビン→トロンビン→フィブリノゲン→フィブリン→XIIIa(トランスグルタミナーゼ)→フィブリン架橋(安定化血栓)。

アスピリンの特殊性:不可逆的COX阻害:

アスピリンは他のNSAIDsと異なり、COX-1酵素のセリン残基を「アセチル化」することで不可逆的(共有結合的)に阻害します。血小板は核を持たず新しいCOX-1タンパクを合成できないため、アスピリンが結合した血小板は生涯(約7〜10日間)COX-1活性を失います。この特性が低用量アスピリン(100mg/日)の抗血小板療法に利用されており、心筋梗塞・脳梗塞の二次予防に使われています。

一方、イブプロフェン・ロキソプロフェン等の他のNSAIDsは可逆的にCOX-1を阻害するため、服用中は血小板機能が低下しますが、薬物が体内から消失すれば機能が回復します。

プロスタサイクリン(PGI2)との均衡:

TXA2(血小板が産生→血小板凝集促進・血管収縮)と血管内皮が産生するプロスタサイクリン(PGI2、血小板凝集抑制・血管拡張)は拮抗的に作用してバランスを保っています。NSAIDsはTXA2とPGI2の両方の産生を抑制しますが:

  • 低用量アスピリン: 主に血小板のCOX-1を選択的に阻害→TXA2産生が主に低下→抗血小板効果。
  • 高用量アスピリン・他のNSAIDs: TXA2・PGI2ともに低下→抗血小板効果が相殺される場合もある。

線溶系と血栓症の関係:

線溶系が過度に活性化されると出血傾向が生じ(播種性血管内凝固症候群・DICの病態の一部)、活性が不十分だと血栓が溶けず血栓症(深部静脈血栓症・肺塞栓症)のリスクが高まります。線溶系の主な活性化因子はt-PA(組織型プラスミノゲン活性化因子)で、血栓溶解療法(脳梗塞急性期等)に使用されます。これはOTCの範囲外ですが、「血液の凝固と溶解のバランス」が医薬品の安全管理に関係することを理解する上で重要です。

血液を凝固しにくくさせる作用と一般用医薬品(第3章との接続):

手引き第3章の解熱鎮痛薬では、アスピリンについて次のように整理されています:

  • アスピリン(アスピリンアルミニウムを含む)には血液を凝固しにくくさせる作用もあるため、胎児や出産時の母体への影響を考慮して、出産予定日12週間以内の使用を避ける
  • 医療用医薬品のアスピリンは、血栓ができやすい人に対する血栓予防薬の成分としても用いられている
  • 既にアスピリン製剤が処方されている場合は、一般用医薬品の解熱鎮痛薬を自己判断で使用することは避け、処方した医師又は調剤を行った薬剤師に相談するなどの対応が必要である

登録販売者として: 「血液サラサラの薬を飲んでいる」「血が止まりにくい」という申告があった場合は、NSAIDsを含む製品の販売を慎重に行い、かかりつけ医への確認を勧めることが重要です。「解熱鎮痛薬なら大丈夫」という先入観は危険であり、成分の確認が不可欠です。

この問題の根拠根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第2章Ⅰ-1-3)「循環器系」(血液)、第3章Ⅰ-2-2)「代表的な配合成分等、主な副作用」(アスピリン)
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第2章Ⅰ-1-3)「循環器系」(血液)、第3章Ⅰ-2-2)「代表的な配合成分等、主な副作用」(アスピリン) 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。出題範囲・法令・手引きは改正されることがあるため、最新の内容は各都道府県・厚生労働省の公式情報をご確認ください。

この問題の関連トピック

  • 血液凝固と線溶系(フィブリン・血小板・出血傾向を起こす成分の理解
  • 頻出度B

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