問題
医薬品副作用被害救済制度に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はオです。
医薬品副作用被害救済制度は、医薬品を適正に使用したにもかかわらず、副作用によって一定程度以上の健康被害が生じた場合に給付を行う制度です。医療費・医療手当の対象は「入院治療を必要とする程度」の場合で、給付の種類は医療費・医療手当・障害年金・障害児養育年金・遺族年金・遺族一時金・葬祭料です。
アは誤りです。製品不良など製薬企業に損害賠償責任がある場合は、本制度の対象から除外されています。イは誤りで、用法・用量を守らない不適正な使用による健康被害は対象になりません。ウは誤りで、給付費には製造販売業者の拠出金が充てられます。エは誤りで、登録販売者にも厚生労働大臣への報告義務があります。
医薬品副作用被害救済制度の概要(最頻出):
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 性格 | 製薬企業の社会的責任に基づく公的制度(1980年5月運営開始) |
| 運営 | 総合機構(PMDA)が救済事業を運営し、相談窓口を設けている |
| 判定 | 医学的薬学的判断を要する事項は、薬事審議会の諮問・答申を経て厚生労働大臣が判定 |
| 費用 | 給付費=製造販売業者から年度ごとに納付される拠出金/事務費の2分の1相当額=国庫補助 |
| 対象 | 適正に使用したにもかかわらず生じた副作用による一定程度以上の健康被害 |
| 対象外 | 不適正な使用/製品不良など製薬企業に損害賠償責任がある場合/無承認無許可医薬品/殺虫剤・殺鼠剤・殺菌消毒剤(人体に直接使用するものを除く)・一般用検査薬・一部の日局収載医薬品(精製水、ワセリン等)/医療機関での治療を要さずに寛解した軽度のもの |
各選択肢の解説:
- ア(誤): 本制度は、医薬品を適正に使用したにもかかわらず生じた副作用の被害者を迅速に救済する制度で、企業の過失を要件としていません。むしろ製品不良など製薬企業に損害賠償責任がある場合は対象から除外され、「医薬品PLセンター」への相談が推奨されます。
- イ(誤): 救済給付の対象となるには、添付文書や外箱等に記載されている用法・用量、使用上の注意に従って使用されていることが基本です。用法・用量を超えた使用など、医薬品の不適正な使用による健康被害は救済給付の対象となりません。
- ウ(誤): 救済事業を運営するのは総合機構(PMDA)です。給付費には製造販売業者から年度ごとに納付される拠出金が充てられ、事務費の2分の1相当額は国庫補助です。「製薬企業は費用を負担しない」は誤りです。
- エ(誤): 薬機法第68条の10第2項により、薬局開設者や医師・薬剤師・登録販売者その他の医薬関係者は、副作用等によるものと疑われる健康被害の発生を知った場合に、保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するため必要があると認めるときは、厚生労働大臣に報告しなければなりません(実務上は報告書を総合機構に提出)。「行政機関への報告は任意」は誤りです。
- オ(正): 対象となる健康被害の程度は、副作用による疾病のため入院を必要とする程度の医療(やむをえず自宅療養を行った場合も含む)を受ける場合や、日常生活に著しい制限を受ける程度以上の重い後遺障害が残った場合です。給付は医療費・医療手当・障害年金・障害児養育年金・遺族年金・遺族一時金・葬祭料の7種類です。
【制度創設の経緯と趣旨】
サリドマイド事件、スモン事件等を踏まえ、1979年に薬事法が改正され、再審査・再評価制度の創設、副作用等報告制度の整備、緊急命令・廃棄・回収命令に関する法整備等がなされました。それらと併せて、医薬品副作用被害救済基金法(現「独立行政法人医薬品医療機器総合機構法」)による救済制度が創設され、製薬企業の社会的責任に基づく公的制度として1980年5月より運営が開始されています。
制度が必要とされる理由:
- 医薬品は、最新の医学・薬学の水準においても予見しえない副作用が発生することがある
- 副作用が起こり得ることが分かっていても、医療上の必要性から使用せざるをえない場合がある
- 副作用による健康被害は民法で賠償責任を追及することが難しく、追及できても多大な労力と時間を要する
【判定と費用の仕組み】
健康被害を受けた本人(又は家族)の給付請求を受けて、副作用によるものかどうか、適正に使用されたかどうかなど医学的薬学的判断を要する事項について、薬事審議会の諮問・答申を経て厚生労働大臣が判定し、その結果に基づいて給付が行われます。給付費には製造販売業者から年度ごとに納付される拠出金(総合機構法第19条)が充てられ、事務費の2分の1相当額は国庫補助で賄われています。
【給付の種類と請求期限】
| 給付 | 内容 | 請求期限 |
|---|---|---|
| 医療費 | 副作用による疾病の治療に要した費用の実費補償(健康保険等による給付の額を差し引いた自己負担分) | 費用の支払いが行われたときから5年以内 |
| 医療手当 | 治療に伴う医療費以外の費用の負担に着目した給付(定額) | 医療が行われた日の属する月の翌月の初日から5年以内 |
| 障害年金 | 一定程度の障害の状態にある18歳以上の人の生活補償等(定額) | 請求期限なし |
| 障害児養育年金 | 一定程度の障害の状態にある18歳未満の人を養育する人への給付(定額) | 請求期限なし |
| 遺族年金 | 生計維持者が死亡した場合の遺族の生活の立て直し等(定額・最高10年間) | 死亡のときから5年以内 |
| 遺族一時金 | 生計維持者以外の人が死亡した場合の遺族への見舞等(定額) | 遺族年金と同じ |
| 葬祭料 | 死亡した人の葬祭を行うことに伴う出費に着目した給付(定額) | 遺族年金と同じ |
医療費・医療手当の対象は、副作用による疾病が「入院治療を必要とする程度」の場合です。
【対象外となるケース】
| ケース | 扱い |
|---|---|
| 医薬品の不適正な使用による健康被害 | 救済給付の対象とならない |
| 医療機関での治療を要さずに寛解した軽度のもの | 給付対象に含まれない |
| 殺虫剤・殺鼠剤・殺菌消毒剤(人体に直接使用するものを除く)、一般用検査薬、一部の日局収載医薬品(精製水、ワセリン等) | 救済制度の対象とならない医薬品 |
| 製品不良など、製薬企業に損害賠償責任がある場合 | 対象外。「医薬品PLセンター」への相談が推奨される |
| 無承認無許可医薬品(いわゆる健康食品として販売されたもの、個人輸入により入手された医薬品を含む) | 対象外 |
なお、2004年4月1日以降に生物由来製品を適正に使用したにもかかわらず、それを介して生じた感染等による健康被害には、別に「生物由来製品感染等被害救済制度」が設けられています。
【請求と登録販売者の役割】
一般用医薬品による副作用被害の救済給付の請求には、医師の診断書、受診証明書などのほか、その医薬品を販売等した薬局開設者・医薬品の販売業者が作成した販売証明書等が必要です。副作用であるかどうか判断がつきかねる場合でも給付請求は可能です。医薬品の販売等に従事する専門家には、健康被害を受けた購入者等に救済制度や総合機構の相談窓口を紹介し、相談を促すことが期待されています。
あわせて、薬機法第68条の10第2項により、登録販売者を含む医薬関係者は、副作用等によるものと疑われる健康被害の発生を知り、保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するため必要があると認めるときは、厚生労働大臣に報告しなければなりません(製造販売業者の報告義務は同条第1項)。2006年6月の薬事法改正による登録販売者制度の導入に伴い、登録販売者もこの報告を行う医薬関係者として位置づけられています。報告期限は特に定められていませんが、必要性を認めた場合は適宜速やかに、郵送・ファクシミリ・電子メールで報告書を総合機構に送付します(令和3年4月からはウェブサイトへの直接入力による報告も可能)。
【根拠】PMDA法、薬機法第68条の10、厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第5章Ⅲ「医薬品の副作用等による健康被害の救済」
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第68条の10e-Govで原文を読む
- 民法e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 独立行政法人医薬品医療機器総合機構法(PMDA法)、厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第5章Ⅲ-1)「医薬品副作用被害救済制度」・Ⅲ-2)「医薬品副作用被害救済制度等への案内、窓口紹介」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。出題範囲・法令・手引きは改正されることがあるため、最新の内容は各都道府県・厚生労働省の公式情報をご確認ください。

