衛生管理者試験の関係法令科目で確実に得点するための頻出論点を解説します。労働安全衛生法の選任義務・衛生委員会・健康診断規定、労働基準法の労働時間・休日・安全配慮義務まで、試験によく出る数値と条文の急所を整理します。
目次
結論:衛生管理者の関係法令は労働安全衛生法が中心で、具体的な数値を問う問題が主です。常時50人以上の事業場の衛生管理者の選任と衛生委員会の設置、選任事由が生じた日から14日以内の選任、委員会の毎月1回以上の開催を最優先で押さえてください。足切りは科目ごとに40%以上です。
関係法令科目の全体像
衛生管理者試験の「関係法令」科目は、職場の安全衛生に関わる法令全般からの出題です。主な出題源は以下のとおりです。
主な出題源:
- 労働安全衛生法(メイン・最重要。全体の構成は労働安全衛生法をわかりやすくで確認できます)
- 労働安全衛生法施行令
- 労働安全衛生規則
- 有機溶剤中毒予防規則(第一種のみ・有害業務範囲)
- 特定化学物質障害予防規則(第一種のみ)
- 電離放射線障害防止規則(第一種のみ)
- 粉じん障害防止規則(第一種のみ)
- 労働基準法(補足的に出題)
第二種は「有害業務に係る範囲」を除いた10問、第一種は有害業務範囲10問を加えた17問が出題されます。
押さえる論点1:衛生管理者の選任義務
数値を正確に覚えておきたいのが、この「選任義務が生じる事業場規模」です。
選任義務の基本ルール
常時50人以上の労働者を使用する事業場では衛生管理者の選任が義務(労働安全衛生法第12条・労働安全衛生規則第7条)。
選任人数は事業場の規模に応じて増加します。
| 常時使用労働者数 | 必要な衛生管理者数 |
|---|---|
| 50人以上〜200人以下 | 1人以上 |
| 201人以上〜500人以下 | 2人以上 |
| 501人以上〜1,000人以下 | 3人以上 |
| 1,001人以上〜2,000人以下 | 4人以上 |
| 2,001人以上〜3,000人以下 | 5人以上 |
| 3,001人以上 | 6人以上 |
衛生管理者の選任数:常時50人以上200人以下は1人、200人を超え500人以下は2人、500人を超え1,000人以下は3人、1,000人を超え2,000人以下は4人、2,000人を超え3,000人以下は5人、3,000人を超える場合は6人(労働安全衛生規則第7条第1項第4号)。最終確認日:2026-10-02。出典:e-Gov 法令検索 労働安全衛生規則。
専任義務が生じるケース
衛生管理者のうち少なくとも1人を専任とするのは、次の事業場です(労働安全衛生規則第7条第1項第5号)。
- 常時1,000人を超える労働者を使用する事業場
- 常時500人を超える労働者を使用し、坑内労働または労働基準法施行規則第18条各号に掲げる業務に常時30人以上の労働者を従事させる事業場
選任の期限と報告
選任すべき事由が発生した日から14日以内に選任します(第7条第1項第1号)。選任したときは、遅滞なく所轄の労働基準監督署長に報告します(同条第3項)。
選任・選任届に関する問題演習で数値を繰り返し確認しましょう。個別には衛生管理者の選任に関する問題や衛生管理者の職務および資格要件に関する問題を解いてみてください。規模別の置き方は安全衛生管理体制の図にまとめています。
押さえる論点2:衛生委員会
設置義務
常時50人以上の労働者を使用する事業場では衛生委員会の設置が義務です(労働安全衛生法第18条・同法施行令第9条)。安全委員会と衛生委員会の両方を設けなければならない事業場は、それぞれの設置に代えて「安全衛生委員会」を設置できます(労働安全衛生法第19条第1項)。
構成メンバー(労働安全衛生法第18条第2項)
| 委員 | 内容 |
|---|---|
| 議長になる委員(1人) | 総括安全衛生管理者、またはその事業の実施を統括管理する者もしくはこれに準ずる者のうちから事業者が指名した者 |
| 衛生管理者 | 衛生管理者のうちから事業者が指名した者 |
| 産業医 | 産業医のうちから事業者が指名した者 |
| 労働者 | 当該事業場の労働者で、衛生に関し経験を有するもののうちから事業者が指名した者 |
議長になる委員以外の委員の半数については、過半数労働組合(ない場合は労働者の過半数代表者)の推薦に基づいて指名しなければなりません(同法第18条第4項・第17条第4項。過半数労働組合との労働協約に別段の定めがあるときは、その限度で適用されません=第17条第5項)。
開催頻度
毎月1回以上の開催が義務です(労働安全衛生規則第23条第1項)。委員会の意見と、それを踏まえて講じた措置の内容などは、記録して3年間保存します(同条第4項)。衛生委員会の運営に関する問題で確認できます。
押さえる論点3:健康診断
一般定期健康診断
- 実施義務:常時使用する労働者に対して
- 頻度:1年以内ごとに1回(定期)
- 有所見者に対しては事後措置(就業上の措置等)の実施義務
特殊健康診断
特定の有害業務に従事する労働者には、通常の健康診断に加えて「特殊健康診断」が義務付けられています。
| 種類 | 主な対象業務 | 頻度(定期) | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 有機溶剤健康診断 | 有機溶剤業務 | 6月以内ごとに1回 | 有機溶剤中毒予防規則第29条 |
| 特定化学物質健康診断 | 特定化学物質を製造・取り扱う業務 | 6月以内ごとに1回(物質の区分により期間が異なるものがある) | 特定化学物質障害予防規則第39条 |
| 鉛健康診断 | 鉛業務 | 6月以内ごとに1回(一部の鉛業務は1年以内ごと) | 鉛中毒予防規則第53条 |
| 電離放射線健康診断 | 放射線業務(管理区域に立ち入る者) | 6月以内ごとに1回 | 電離放射線障害防止規則第56条 |
| 特定業務従事者の健康診断 | 強烈な騒音を発する場所における業務など | 配置替えの際と6月以内ごとに1回 | 労働安全衛生規則第45条・第13条第1項第3号 |
各規則の条文の出典は e-Gov 法令検索の現行条文です(2026-10-02 時点)。騒音の業務は、特殊健康診断ではなく、安衛則第45条の特定業務従事者の健康診断の対象です。
健康診断に関する問題演習で種類と頻度を整理しましょう。
押さえる論点4:作業環境測定
有害物質を取り扱う事業場では、作業環境測定の実施が義務付けられています(第一種受験者の必須テーマ)。対象の作業場や測定頻度は作業環境測定をわかりやすくで整理しています。
| 測定対象 | 頻度 | 根拠規則 |
|---|---|---|
| 有機溶剤を扱う屋内作業場 | 6月以内ごとに1回 | 有機溶剤中毒予防規則第28条第2項 |
| 特定化学物質(第一類・第二類物質)を扱う作業場 | 6月以内ごとに1回 | 特定化学物質障害予防規則第36条第1項 |
| 鉛を扱う屋内作業場 | 1年以内ごとに1回 | 鉛中毒予防規則第52条第1項 |
| 粉じん作業の屋内作業場 | 6月以内ごとに1回 | 粉じん障害防止規則第26条第1項 |
| 放射線の管理区域 | 1月以内ごとに1回(固定使用などの場合は6月以内) | 電離放射線障害防止規則第54条第1項 |
2021年4月1日施行の改正により、眼の水晶体の等価線量限度が変更されました。古いテキストには旧基準値が記載されている場合があります。
眼の水晶体の等価線量限度:5年間につき100ミリシーベルトかつ1年間につき50ミリシーベルト(電離放射線障害防止規則第5条第1項)。最終確認日:2026-10-02。出典:e-Gov 法令検索 電離放射線障害防止規則。
押さえる論点5:産業医の選任と権限
選任義務
常時50人以上の労働者を使用する事業場で産業医を選任します(労働安全衛生法施行令第5条)。次の事業場では、その事業場に専属の産業医を選任します(労働安全衛生規則第13条第1項第3号)。
- 常時1,000人以上の労働者を使用する事業場
- 規則で定める有害業務に常時500人以上の労働者を従事させる事業場
常時3,000人を超える労働者を使用する事業場では、2人以上の産業医を選任します(同項第4号)。産業医の選任人数・専属要件に関する問題で確かめられます。
産業医の権限(労働安全衛生法第13条)
- 産業医は、労働者の健康を確保するため必要があると認めるときは、事業者に対し勧告することができ、事業者はこれを尊重しなければなりません(第5項)。
- 事業者は、勧告を受けたときは、勧告の内容などを衛生委員会または安全衛生委員会に報告しなければなりません(第6項)。
- 産業医を選任した事業者は、産業医に労働時間に関する情報など必要な情報を提供しなければなりません(第4項)。
労働基準法の押さえるポイント(補足)
関係法令科目では労働安全衛生法が中心ですが、労働基準法の基本も問われます。
関係法令の学習で押さえたい労働基準法の規定:
- 法定労働時間:1日8時間・1週40時間以内(第32条)
- 休憩:労働時間が6時間超なら45分以上・8時間超なら1時間以上(第34条)
- 休日:毎週少なくとも1回(または4週で4日以上)の休日(第35条)
- 時間外・休日労働:36協定(労働基準法第36条に基づく労使協定)の締結・届出が必要
条文の出典は e-Gov 法令検索の現行条文です(2026-10-02 時点)。
出典・参照元:
- e-Gov 法令検索「労働安全衛生法」(https://laws.e-gov.go.jp/law/347AC0000000057)
- e-Gov 法令検索「労働安全衛生法施行令」(https://laws.e-gov.go.jp/law/347CO0000000318)
- e-Gov 法令検索「労働安全衛生規則」(https://laws.e-gov.go.jp/law/347M50002000032)
- e-Gov 法令検索「労働基準法」(https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049)
- 公益財団法人安全衛生技術試験協会 第二種衛生管理者の公表試験問題(https://www.exam.or.jp/wp-content/uploads/2026/10/LC20262115.pdf)
試験対策のまとめ
関係法令科目の攻略は「数値を表で整理→問題演習で繰り返す→根拠まで理解する」の3ステップです。足切りライン(40%以上)を確実にクリアするために、選任義務人数・健康診断頻度・委員会の設置義務という3テーマを最優先で固めましょう。
無料演習モードで科目別の正答率を確認しながら、弱点テーマに集中した学習を進めてください。
よくある質問
Q衛生管理者試験の関係法令科目はどんな問題が出ますか?
選任義務人数・健康診断の実施頻度・衛生委員会の設置義務・作業環境測定の頻度など、具体的な数値を問う問題が中心です。条文の趣旨を理解しながら数値を覚えることが最も効率的な対策です。
Q労働基準法は衛生管理者試験に出ますか?
出題されます。安全衛生技術試験協会が公表している第二種衛生管理者の試験問題にも、労働基準法に定める妊産婦等に関する問題が含まれています。労働時間・休憩・休日の基本規定とあわせて、労働安全衛生法を固めたうえで労働基準法を確認する順序が効率的です。
Q関係法令の数値はどうやって覚えればよいですか?
「一覧表で比較しながら覚える」方法が最も効果的です。例えば選任義務の人数ライン(50人・1,000人・2,000人等)や定期健康診断の頻度を表にまとめて、関連する数値を一緒に確認することで記憶が定着しやすくなります。
Q法令改正は試験に反映されますか?
法令は改正されるため、数値や条文が古いままのテキストで覚えると失点につながります。電離放射線の線量限度(2021年4月施行)や事務所の照度基準(2022年12月施行)のように数値が改められた規定があります。使用するテキスト・過去問集の発行年を確認し、現行条文(e-Gov 法令検索)で確かめてください。
Q足切りを回避するために関係法令で何点取ればよいですか?
足切りは科目ごと(第一種は範囲ごと)に得点40%以上です。第二種の関係法令は10問・100点なので4問以上、第一種の関係法令(有害業務に係るもの)は10問・80点なので32点以上(4問以上)、有害業務に係るもの以外は7問・70点なので28点以上(3問以上)が必要です。得意不得意があるため、余裕を持って55〜60%を目標にする方法もあります。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月2日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

