問題
職場における感染症対策に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
誤りはオです。先天性風疹症候群は「院内感染」で起こるものではありません。JIHS の風疹Q&A は、妊婦、とくに妊娠20週頃までの女性が風疹にかかると「胎児が風疹ウイルスに感染し、難聴、心疾患、白内障、そして精神や身体の発達の遅れ等の障がいをもった赤ちゃんがうまれる可能性があります」と説明しています。妊娠中の感染で胎児に感染することが原因です。
ア(不活化ワクチンで発症はしない)・イ(麻疹は空気感染)・ウ(B型肝炎は血液・体液)・エ(腸チフス・パラチフスはほとんどが輸入例)はすべて正しい内容です。
各選択肢の正誤と根拠:
- ア(正): 厚生労働省のインフルエンザQ&A(Q36)は、不活化ワクチンは「免疫をつくるのに必要な成分だけを取り出して作ったもの」で「ワクチン接種によってインフルエンザを発症することはありません」としています。全身性の反応(発熱、頭痛、悪寒、倦怠感など)は接種者の5〜10%にみられ、通常2〜3日で消えます(Q34)。なお、経鼻の弱毒生ワクチンは別の種類で、まれに発熱などを起こすことがあります(Q36)。
- イ(正): JIHS は麻しんを「主な感染経路は空気感染」「重症化すると肺炎や脳炎を引き起こす」と説明し、感染力が非常に強いとしています。
- ウ(正): JIHS は B型肝炎の主な感染経路を「注射器の共用・輸血、性的接触などの感染者の血液や体液との接触、及び、母子感染」としています。
- エ(正): JIHS は主な感染経路を汚染された飲食物の摂取とし、国内では「年間数十例が報告されており、そのほとんどが輸入例」としています。
- オ(誤): 先天性風疹症候群は、妊娠中に母親が風疹にかかり、胎児が風疹ウイルスに感染することで起こります。妊娠初めの12週までに起こる可能性が高く、その割合は「調査によって25-90%と幅があります」(JIHS 風疹Q&A)。
【理論的背景】
先天性風疹症候群(CRS)は、妊娠中の母親の風疹感染によって胎児が風疹ウイルスに感染し、難聴、心疾患、白内障、精神や身体の発達の遅れ等の障がいが生じるものです。これらすべてをもつとは限らず、一つか二つだけの場合もあり、気づかれるまでに時間がかかることもあります(JIHS 風疹Q&A)。
感染時期とリスク(JIHS 風疹Q&A):
- 妊娠20週頃まで(とくに妊娠初期)の感染で起こりうる
- 特に妊娠初めの12週までに起こる可能性が高く、調査によって25〜90%と幅がある
風疹の流行と職場:
- 風疹の患者は近年、多くが成人男性となっています。2012〜2013年の全国流行では約90%が成人で、男性が女性の約3倍多くかかり、45人の赤ちゃんが先天性風疹症候群と診断されました。事業所での成人男性の集団発生も報告されています(JIHS 風疹Q&A)。
- 妊婦は風疹の予防接種を受けることができません。そのため、周囲の人(家族・職場の同僚など)の免疫が妊婦を守ることにつながります。
【実務・条文構造】
職場での感染症対策のポイント:
風疹:
- 免疫の確認と予防接種: 平成28年度の調査では、30代後半から50代の男性の5人に1人、20代から30代前半の男性の10人に1人が風疹の免疫を持っていませんでした(JIHS 風疹Q&A)。予防接種歴のない成人は、男女とも早めの接種が勧められています。
- 妊娠出産年齢の女性が接種する場合は、妊娠していない時期に接種し、その後2ヶ月間の避妊が必要です(JIHS 風疹Q&A)。
- 接種を受けた人から妊婦にワクチンウイルスがうつる心配について、JIHS は「ワクチンウイルスが周囲の人に感染したとの確かな報告はこれまでにありません」としています。
インフルエンザ:
- 不活化ワクチンは接種で発症することはなく、局所の発赤・腫脹・疼痛(10〜20%)や全身性の反応(5〜10%)は通常2〜3日で消えます(厚生労働省Q&A)。
B型肝炎:
- 血液や体液との接触が主な感染経路のため、血液・体液に触れるおそれのある作業では、その接触を防ぐ対策が中心になります。
腸チフス・パラチフス:
- 予防は食品の十分な加熱、調理器具や手指などを介した二次汚染防止等の衛生管理と手洗いが基本です。国内で承認されているワクチンは腸チフス用のみです(JIHS)。
【試験での位置づけ】
感染症の問題では「先天性風疹症候群は妊娠中の感染による胎児への感染(院内感染ではない)」「症状は難聴・心疾患・白内障など」「麻疹は空気感染」「B型肝炎は血液・体液」「腸チフス・パラチフスは飲食物から・輸入例が中心」が出題ポイントです。オは、胎児への感染という仕組みを「出生後の院内感染」にすり替えた引っかけです。
【各選択肢の発展補足】
- ア: インフルエンザワクチンには、不活化ワクチンのほか、2023年に薬事承認された経鼻弱毒生ワクチンがあります(厚生労働省)。「インフルエンザワクチンはすべて不活化」とは言えない点に注意が必要です。
- イ: 麻しんの感染経路は空気感染のほか飛沫感染・接触感染もあり、症状出現前から感染力があります。回復後、数年から数十年後に亜急性硬化性全脳炎(SSPE)を発症することがあります(JIHS)。
- ウ: B型肝炎の潜伏期間は30〜180日程度(通常90日程度)で、重症化すると劇症肝炎や肝硬変を起こします(JIHS)。
- エ: 腸チフス・パラチフスは世界では衛生水準の低い開発途上国で蔓延しており、特に南アジアなどからの報告が多いとされています(JIHS)。
- オ: 妊娠前に2回(子どもの頃も含めて)の予防接種を受けることで、妊娠中の感染や、妊婦以外の人が妊婦に風疹をうつすことを予防できます(JIHS 風疹Q&A)。
【根拠】JIHS「風疹Q&A(2018年1月30日改訂)」・「麻しん」・「B型肝炎」・「腸チフス・パラチフス」、厚生労働省「令和6年度 インフルエンザQ&A」(Q34・Q36)・「インフルエンザワクチン(季節性)」。
【補足】先天性風疹症候群(CRS)は妊娠中の母親の感染→胎児への感染(院内感染ではない)。症状は難聴・心疾患・白内障など。妊娠初めの12週までの感染で起こる可能性が高く、調査により25〜90%。
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 国立健康危機管理研究機構(JIHS)「風疹Q&A(2018年1月30日改訂)」(https://id-info.jihs.go.jp/relevant-information/rubella/faq/20180130/index.html)「麻しん」「B型肝炎」「腸チフス・パラチフス」各疾患ページ、厚生労働省「令和6年度 インフルエンザQ&A」(Q34・Q36)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

