衛生管理者
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

衛生管理者 労働衛生(有害業務以外) 問24|食中毒の予防と集団給食管理

問題

衛生管理者 | 労働衛生(有害業務以外)

職場の集団給食施設における食中毒予防に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

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答え合わせ

正解は オ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正しいのはオです。交差汚染(クロスコンタミネーション)は集団食中毒の主要な原因の一つです。生の食肉・魚・卵には食中毒菌が存在することがあり、これらに触れた調理器具を洗浄・消毒せずに調理済み食品や野菜に使用すると、菌が移行して食中毒を起こします。食材ごとに専用の包丁・まな板を用意する(色分け管理)ことが予防の基本です。

ア→冷蔵でも増殖する菌がある(リステリア菌は4℃でも増殖)。イ→検食は50g程度ずつ保存するが、保存期間は「−20℃以下で2週間以上」(72時間ではなく)とされている(大量調理施設衛生管理マニュアル)。エ→食中毒患者等を診断した医師は、発症割合に関わらず直ちに保健所長へ届け出なければならない。ウ→HACCPは工程管理による予防的アプローチであり、「最終検査のみで安全性を保証する事後確認型」とするのは逆で誤り。

各選択肢の正誤と根拠:

  • ア(誤): 冷蔵保存は食中毒細菌の増殖を「抑制」しますが、すべての菌を止めるわけではありません。リステリアは4℃以下の低温や12%食塩濃度下でも増殖できるため、冷蔵庫に長期間保存され加熱せずにそのまま食べる食品は原因となりえます。「冷蔵済み=加熱不要で安全」は誤りです。
  • イ(誤): 大量調理施設衛生管理マニュアルでは、検食は原材料及び調理済み食品を食品ごとに50g程度ずつ密封し、「−20℃以下で2週間以上」保存することとされています。「最低72時間(3日間)」は誤りです。
  • オ(正): 交差汚染(クロスコンタミネーション)の定義と予防策として正確な記述です。同マニュアルも、包丁・まな板などの器具を用途別及び食品別(下処理用は魚介類用・食肉類用・野菜類用、調理用は加熱調理済み食品用・生食野菜用・生食魚介類用)に専用のものを用意し、混同しないよう使用することを求めています。
  • エ(誤): 食品衛生法第63条第1項は「食中毒患者等を診断し、又はその死体を検案した医師は、直ちに最寄りの保健所長にその旨を届け出なければならない」と定めており、発症者の割合による例外はありません。「50%未満なら届出不要」は誤りです。
  • ウ(誤): HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point:危害要因分析・重要管理点)の核心は「製品の最終検査から工程管理への転換」であり、製造の各工程で危害因子を継続的にモニタリング・管理する予防的アプローチです。選択肢ウの「工程管理は行わず最終検査のみで安全性を保証する事後確認型」という記述は、HACCPの本質(工程管理による予防)を従来の最終検査方式と取り違えた誤りです。HACCPはまさに「最終検査だけに依存しない」点に意義があります。

【理論的背景】

職場の集団給食施設では、1回の食事で多数の労働者が同じ食品を摂取するため、食中毒が発生した場合の被害規模が大きくなります。厚生労働省の「大量調理施設衛生管理マニュアル」(同一メニューを1回300食以上又は1日750食以上提供する調理施設に適用)は、HACCPの概念に基づき、次の4点を調理過程の重要管理事項としています。

1. 原材料受入れ及び下処理段階における管理を徹底すること

2. 加熱調理食品は中心部まで十分加熱し、食中毒菌等を死滅させること(中心部75℃で1分間以上、二枚貝等ノロウイルス汚染のおそれのある食品は85〜90℃で90秒間以上)

3. 加熱調理後の食品及び非加熱調理食品の二次汚染防止を徹底すること

4. 原材料及び調理後の食品の温度管理を徹底すること

交差汚染(二次汚染)を防ぐための同マニュアルの主な定め:

  • 生の食肉類、魚介類、卵殻等に触れた後、他の食品や器具等に触れる場合は手洗い(使い捨て手袋は交換)
  • 原材料は食肉類・魚介類・野菜類等の分類ごとに区分して保管し、相互汚染を防ぐ
  • 包丁・まな板などの器具は用途別・食品別に専用のものを用意し、使用後は洗浄後に80℃・5分間以上の加熱又はこれと同等の効果を有する方法で殺菌する
  • シンクは用途別に設置し、加熱調理用食材・非加熱調理用食材・器具の洗浄等に用いるシンクは必ず別にする

HACCPとは、食品等事業者自らが食中毒菌汚染や異物混入等の危害要因を把握したうえで、原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程の中で、危害要因を除去又は低減させるために特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保しようとする衛生管理の手法です(厚生労働省)。

【実務・条文構造】

届出と調査(食品衛生法第63条):

  • 第1項: 食中毒患者等を診断し、又はその死体を検案した医師は、直ちに最寄りの保健所長に届け出なければならない
  • 第2項: 保健所長は、届出を受けたときその他食中毒患者等が発生していると認めるときは、速やかに都道府県知事等に報告するとともに、政令で定めるところにより調査しなければならない
  • 第63条は平成30年法律第46号による改正で旧第58条から繰り下げられた条文です

検食(保存食)の管理(大量調理施設衛生管理マニュアル):

  • 原材料及び調理済み食品を食品ごとに50g程度ずつ清潔な容器に入れて密封
  • −20℃以下で2週間以上保存
  • 原材料は洗浄・殺菌等を行わず購入した状態で、調理済み食品は配膳後の状態で保存
  • 食中毒発生時の原因究明を確実に行うため、調理従事者等は原則として当該施設で調理された食品を喫食しない

冷蔵保存の限界(リステリアの例・厚生労働省):

  • 他の一般的な食中毒菌と同様に加熱により死滅するが、4℃以下の低温や12%食塩濃度下でも増殖できる
  • 冷蔵庫に長期間保存され、加熱せずにそのまま食べられる食品(生ハムなどの食肉加工品、ナチュラルチーズなどの乳製品、スモークサーモンなどの魚介類加工品)が原因となりうる
  • 妊婦、高齢者は注意が必要

【試験での位置づけ】

集団給食・食中毒予防の問題では「交差汚染の定義と予防策」「HACCP概念(予防的アプローチ)」「冷蔵でも増殖する菌の存在(リステリア等)」「食中毒疑いの届出義務(発症割合に関わらず)」「検食の保存期間(2週間以上)」が出題されます。エのような「発症割合50%未満なら届出不要」という誤りは、法的義務の理解を問う典型的な引っかけです。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 一般に冷蔵や塩漬けをしていれば食中毒菌は増えないと思いがちですが、リステリアはこうした条件でも増殖します。冷蔵は「加熱の代わり」にはならず、温度管理と加熱を組み合わせて管理します。
  • イ: カンピロバクター食中毒の潜伏期間は2〜7日と比較的長く、発症時には原因食品が残っていないことが多いとされます。検食を2週間以上保存しておくのは、こうした場合でも原因究明を確実に行うためです。「72時間(3日間)」では足りません。
  • オ: 器具を区別するだけでなく、使用後に全面を流水で洗浄し、80℃・5分間以上の加熱又はこれと同等の効果を有する方法で殺菌し、乾燥させて衛生的に保管することまでがマニュアルの定めです。まな板・ざる・木製の器具は汚染が残存する可能性が高いため、特に十分な殺菌が求められています。
  • エ: 食品衛生法第63条の届出義務者は「食中毒患者等を診断し、又はその死体を検案した医師」で、発症者の数・割合による例外はありません。届出を受けた保健所長は都道府県知事等へ報告し、調査を行います。
  • ウ: HACCPは「最終検査のみで安全性を保証する事後確認型」ではなく、工程管理による予防型である点が本質です。厚生労働省は、従来の抜取検査による衛生管理に比べ、より効果的に問題のある製品の出荷を未然に防ぐことが可能となり、原因の追及も容易になると説明しています。令和3年6月1日から、原則としてすべての食品等事業者がHACCPに沿った衛生管理に取り組むことになりました。その方式には、コーデックス委員会が策定したHACCP7原則に基づく「HACCPに基づく衛生管理」と、食品等事業者団体が作成した手引書を参考に取り組む「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」があります。

【根拠】厚生労働省「大量調理施設衛生管理マニュアル」(平成9年3月24日付け衛食第85号別添、最終改正 平成29年6月16日付け生食発0616第1号)・食品衛生法第63条・厚生労働省「リステリアによる食中毒」「HACCP(ハサップ)」「HACCPに基づく衛生管理」ページ・食品安全委員会「カンピロバクター(ファクトシート)」。

【補足】交差汚染=生の食材から調理済み食品への病原体移行→器具の用途別・食品別の専用化が予防の基本。冷蔵は増殖を「抑制」するが「完全停止」ではない(リステリア菌等は4℃でも増殖)。食中毒疑いは発症割合に関わらず届出義務あり。

この問題の根拠根拠: 厚生労働省「大量調理施設衛生管理マニュアル」(平成9年3月24日付け衛食第85号別添、最終改正 平成29年6月16日付け生食発0616第1号)、食品衛生法第63条、厚生労働省「リステリアによる食中毒」・「HACCP(ハサップ)」ページ。
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「大量調理施設衛生管理マニュアル」(平成9年3月24日付け衛食第85号別添、最終改正 平成29年6月16日付け生食発0616第1号)、食品衛生法第63条、厚生労働省「リステリアによる食中毒」・「HACCP(ハサップ)」ページ。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

この問題の関連トピック

  • 食中毒の予防と集団給食管理
  • 頻出度B

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