問題
長時間労働者への面接指導に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)
解説
誤りはエです。安衛則第52条の7の3は、労働時間の状況を把握する方法を「タイムカードによる記録、パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間の記録等の客観的な方法その他の適切な方法」としています。客観的な方法が基本ですが、「その他の適切な方法」も認められており、厚生労働省のガイドラインも、自己申告制によらざるを得ない場合に使用者が講ずべき措置を定めています。「自己申告のみは認められていない」は誤りです。
ア(面接指導の要件)・イ(申出と産業医の勧奨)・ウ(医師の意見聴取と措置)・オ(高度プロフェッショナル制度の基準)は正しい内容です。
各選択肢の正誤と根拠:
- ア(正): 安衛則第52条の2第1項の要件は「休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が1月当たり80時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる者」で、面接指導はこの要件に該当する労働者の申出により行います(第52条の3第1項)。申出があれば事業者は遅滞なく面接指導を行わなければなりません(同条第3項)。
- イ(正): 安衛則第52条の3第1項(申出により行う)・第4項(産業医は申出を行うよう勧奨することができる)のとおりです。
- ウ(正): 安衛法第66条の8第4項(医師の意見聴取)・第5項(意見を勘案し、必要があると認めるときは、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置)のとおりです。
- エ(誤): 安衛法第66条の8の3は面接指導を実施するために労働時間の状況の把握を義務付け、その方法は安衛則第52条の7の3で「客観的な方法その他の適切な方法」とされています。ガイドラインも「自己申告制によりこれを行わざるを得ない場合」の措置を定めており、自己申告が一切認められないわけではありません。
- オ(正): 安衛法第66条の8の4第1項・安衛則第52条の7の4第1項のとおりです。健康管理時間は労働基準法第41条の2第1項第3号で「事業場内にいた時間…と事業場外において労働した時間との合計の時間」と定義されています。
【理論的背景】
過重労働と健康障害の関係は医学的に確立されており、長時間労働は脳・心臓疾患・精神障害のリスク因子です。労働安全衛生法は、長時間労働者に医師による面接指導(問診その他の方法により心身の状況を把握し、これに応じて面接により必要な指導を行うこと)を行い、その結果に基づいて医師の意見を聴き、必要な措置を講じる仕組みを設けています。
面接指導制度の流れ:
1. 労働時間の状況の把握(安衛法第66条の8の3・安衛則第52条の7の3。記録は3年間保存)
2. 毎月1回以上、一定の期日を定めて時間外・休日労働時間を算定(安衛則第52条の2第2項)
3. 算定した時間が1月当たり80時間を超えた労働者には、速やかにその時間に関する情報を通知(同条第3項)
4. 要件に該当する労働者の申出 → 遅滞なく面接指導(安衛則第52条の3)
5. 面接指導後、遅滞なく医師から意見聴取(安衛則第52条の7)
6. 医師の意見を勘案し、必要があると認めるときは就業上の措置(安衛法第66条の8第5項)
【実務・条文構造】
面接指導の対象者の類型:
| 類型 | 根拠 | 基準時間 | 申出 |
|---|---|---|---|
| 一般の労働者(管理監督者・裁量労働制の対象者を含む) | 安衛法第66条の8・安衛則第52条の2 | 週40時間を超えた時間が月80時間超+疲労の蓄積 | 労働者の申出により実施 |
| 研究開発業務従事者 | 安衛法第66条の8の2・安衛則第52条の7の2 | 週40時間を超えた時間が月100時間超 | 申出不要(算定期日後、遅滞なく実施) |
| 高度プロフェッショナル制度の対象者 | 安衛法第66条の8の4・安衛則第52条の7の4 | 週40時間を超えた健康管理時間が月100時間超 | 申出不要(算定期日後、遅滞なく実施) |
安衛法第66条の8第1項は、対象から研究開発業務従事者(第66条の8の2)と高度プロフェッショナル制度の対象者(第66条の8の4)だけを除いており、管理監督者や裁量労働制の対象者は一般の労働者と同じ扱いです。
労働時間の把握方法:
- 安衛則第52条の7の3: 「タイムカードによる記録、パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間の記録等の客観的な方法その他の適切な方法」
- ガイドライン(始業・終業時刻の確認・記録): 原則は使用者の現認、又はタイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認・記録
- 自己申告制によらざるを得ない場合の措置(ガイドライン): ①対象労働者への十分な説明 ②労働時間を管理する者への十分な説明 ③必要に応じた実態調査と労働時間の補正 ④自己申告した時間を超えて事業場内にいる理由の報告が適正かの確認 ⑤申告できる時間数に上限を設けるなど適正な申告を阻害する措置の禁止
面接指導結果の記録(安衛則第52条の6): 記録を作成して5年間保存。
【試験での位置づけ】
長時間労働・面接指導の問題では「月80時間超+疲労の蓄積+申出」「客観的な方法その他の適切な方法による労働時間の状況の把握(エ)」「医師の意見を勘案した就業上の措置」「研究開発業務従事者・高度プロフェッショナル制度の対象者は月100時間超で申出不要」が出題ポイントです。エのような「自己申告は一切認められない」という絶対的否定は、「その他の適切な方法」という条文の文言で見抜けます。
【各選択肢の発展補足】
- ア: 安衛則第52条の2第1項ただし書により、期日前1月以内に面接指導を受けた労働者などで、面接指導を受ける必要がないと医師が認めたものは除かれます。
- イ: 労働者は事業者が行う面接指導を受けなければなりませんが、事業者の指定した医師以外の医師による面接指導を受けてその結果を証明する書面を提出することもできます(安衛法第66条の8第2項)。
- ウ: 措置を講ずるほか、医師の意見の衛生委員会若しくは安全衛生委員会又は労働時間等設定改善委員会への報告その他の適切な措置も求められています(安衛法第66条の8第5項)。
- エ: ガイドラインは、入退場記録やパソコンの使用時間の記録など事業場内にいた時間の分かるデータがあり、自己申告の労働時間との間に著しい乖離が生じているときは、実態調査を実施し、労働時間を補正するよう求めています。
- オ: 高度プロフェッショナル制度(労働基準法第41条の2)の対象労働者には、1年間を通じ104日以上、かつ、4週間を通じ4日以上の休日を与えることなども求められています(同条第1項第4号)。面接指導では、措置として職務内容の変更、有給休暇の付与、健康管理時間が短縮されるための配慮等が挙げられています(安衛法第66条の8の4第2項による読み替え)。
【根拠法令】労働安全衛生法(安衛法)第66条の8〜第66条の8の4・安衛則第52条の2〜第52条の7の4・労働基準法第41条の2・厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」。
【補足】労働時間の状況の把握は「客観的な方法その他の適切な方法」(「自己申告は一切認められない」は誤り)。面接指導の要件: 月80時間超の時間外・休日労働+疲労の蓄積+労働者の申出。研究開発業務従事者・高プロは月100時間超で申出不要。記録保存は5年。
- 労働安全衛生法第66条の8e-Govで原文を読む
- 労働安全衛生規則第52条の7・第52条の2・第52条の3・第52条の6e-Govで原文を読む
- 労働基準法第41条の2e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働安全衛生法第66条の8・第66条の8の3・第66条の8の4、労働安全衛生規則第52条の2・第52条の3・第52条の7の3・第52条の7の4。厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000149439.pdf)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

