労働衛生(有害業務以外)23食中毒・感染症

衛生管理者 労働衛生(有害業務以外) 問23:食中毒・感染症

感染症の感染経路に関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 飛沫感染は、感染者が咳やくしゃみをした際に飛び出す飛沫(5μm以上の粒子)が口・鼻・眼の粘膜に直接付着することで感染する経路であり、飛沫は通常1〜2m以上は飛ばないとされる。
  • 空気感染(飛沫核感染)は、飛沫から水分が蒸発してできた飛沫核(5μm未満の微小な粒子)が長時間・長距離を空気中に漂い、吸入されることで感染する経路であり、結核・麻疹・水痘が代表的な疾患である。
  • 結核(Mycobacterium tuberculosis)は飛沫感染のみによって伝播し、空気感染(飛沫核感染)による伝播は確認されていない。正答
  • 接触感染は、感染者・汚染物体・汚染食品等に直接または間接的に接触することで病原体が伝播する経路であり、腸管出血性大腸菌・ノロウイルス・MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)などが代表的な病原体である。
  • インフルエンザウイルスは主に飛沫感染で伝播するが、ウイルスが付着した手で口・鼻・眼を触ることによる接触感染も起こりうる。
正答:結核(Mycobacterium tuberculosis)は飛沫感染のみによって伝播し、空気感染(飛沫核感染)による伝播は確認されていない。

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初心者向けまずはここから。やさしく要点を解説

誤りはウです。結核は飛沫感染だけでなく空気感染(飛沫核感染)によっても感染します。むしろ結核の主要な感染経路は「飛沫核感染(空気感染)」です。結核菌を含む飛沫核は空気中に長時間漂い、換気の悪い閉鎖空間で感染リスクが高まります。「飛沫感染のみ・空気感染は確認されていない」は誤りです。

結核はイにも記載されているように、麻疹・水痘とともに空気感染(飛沫核感染)の代表的疾患として分類されます。ア(飛沫感染の定義)・イ(空気感染の定義と代表疾患)・エ(接触感染)・オ(インフルエンザの感染経路)はすべて正しい内容です。

標準試験対策の基準レベル

各選択肢の正誤と根拠:

  • ア(正): 飛沫感染の定義として正確です。飛沫(droplet)は5μm以上の粒子で重力によって通常1〜2m以内に落下します。対策はサージカルマスクの着用と距離の確保(2m以上)です。代表疾患:インフルエンザ・百日咳・風疹・おたふくかぜ等。
  • イ(正): 飛沫核(droplet nuclei)は5μm未満の微小粒子で空気中に長時間(数時間以上)浮遊できます。空調換気で病室全体に拡散するため、個室管理(陰圧室)・N95マスクが必要です。代表疾患:結核・麻疹・水痘(3大空気感染症)。
  • ウ(誤): 結核菌(Mycobacterium tuberculosis)は空気感染(飛沫核感染)が主要な感染経路です。飛沫核は5μm未満と軽量で空気中に数時間以上漂い、換気不十分な閉鎖空間(病室・収容施設・囚人施設等)での集団感染リスクが高い。「飛沫感染のみ・空気感染は確認されていない」は明確な誤りです。
  • エ(正): 接触感染には直接接触(感染者の皮膚や体液への直接接触)と間接接触(ドアノブ・手すり・共用器具など汚染物体を介した感染)があります。MRSA・CDI(クロストリジウム・ディフィシル感染症)・ノロウイルス・腸管出血性大腸菌が代表的です。
  • オ(正): インフルエンザは飛沫感染が主ですが、ウイルスが付着した手指で口・鼻・眼を触る接触感染も起こりうることは感染症学の確立した事実です。手洗い(流水・石けん)がインフルエンザ予防に有効な理由がここにあります。
上級誤答論破・根拠法令まで深掘り

【理論的背景】

感染経路は感染制御において最も重要な概念の一つであり、感染経路に応じた予防措置(標準予防策・感染経路別予防策)が決定されます。

感染経路の3分類と対応策:

1. 空気感染(飛沫核感染): 5μm未満の飛沫核が空気中に長時間浮遊。換気・陰圧室・N95マスクが必要。代表疾患:結核・麻疹・水痘

2. 飛沫感染: 5μm以上の飛沫が1〜2mの範囲に落下。距離の確保・サージカルマスクが対策。代表疾患:インフルエンザ・百日咳・風疹・RSウイルス

3. 接触感染: 直接・間接の体表面接触による伝播。手洗い・手袋・ガウンが対策。代表疾患:MRSA・ノロウイルス・CDI・O157

結核の感染経路の詳細:

  • 結核菌を含む飛沫核は直径1〜5μmで、肺胞に到達できる小さなサイズ
  • 感染者が咳・くしゃみ・会話・歌唱をすることで飛沫核が放出される
  • 空気中を数時間以上漂い、換気不十分な閉鎖空間で感染リスクが高い
  • 少量の菌(数個の菌)でも感染が成立する場合がある(免疫状態による)
  • 感染から発病(活動性結核)は感染者の約10%(多くは潜伏感染)

【実務・条文構造】

感染経路別の代表的疾患と予防措置の整理(医療・職場衛生管理の実務):

| 感染経路 | 粒子サイズ | 到達距離 | 必要な防護具 | 代表疾患 |

|---|---|---|---|---|

| 空気感染 | 5μm未満 | 室内全体(数m以上) | N95マスク・陰圧室・換気 | 結核・麻疹・水痘 |

| 飛沫感染 | 5μm以上 | 1〜2m以内 | サージカルマスク・距離確保 | インフルエンザ・百日咳・風疹 |

| 接触感染 | 体表・物体 | 直接/間接接触 | 手袋・ガウン・手洗い | MRSA・ノロウイルス・O157 |

職場における感染症対策(就業規則・衛生管理上の対応):

  • 活動性結核患者は感染性がある間(抗結核薬治療開始後も一定期間)就業制限が必要
  • 感染症法による就業制限(第一種・第二種感染症に分類される疾患は学校・医療機関での就業制限あり)
  • 職場での結核発生時の接触者調査(ツベルクリン反応・QFTゴールドテスト等による感染確認)

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染経路(参考・最新知識):

  • 主な感染経路: 飛沫感染・エアロゾル感染(空気感染に近い)・接触感染
  • 換気が不十分な密閉空間での集団感染(クラスター)が多発
  • 3密(密閉・密集・密接)の回避が有効な対策として示された

【試験での位置づけ】

感染経路の問題では「空気感染の3大疾患(結核・麻疹・水痘)」「飛沫感染と空気感染の粒子サイズの違い(5μmが境界)」「結核は飛沫感染だけでなく空気感染(飛沫核感染)が主要経路」「接触感染の代表疾患(MRSA・ノロ等)」が最頻出事項です。ウのような「結核は飛沫感染のみ」という誤りは、衛生管理者試験で最も頻繁に出題される感染経路問題の核心的な引っかけです。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 飛沫の到達距離「1〜2m」については、近年の研究でより遠距離(2〜3m以上)に到達する場合があることが示されています(特に強い咳・くしゃみの場合)。しかし試験では従来の「1〜2m」という定義を基準として回答することが適切です。コロナ禍での「2m社会的距離」は飛沫感染対策として設定されました。
  • イ: 麻疹ウイルスは感染力が極めて強く、基本再生産数(R₀)が12〜18と報告されています(比較:インフルエンザR₀=2〜3・天然痘R₀=5〜7)。免疫のない集団に麻疹患者1人が入ると、12〜18人に感染させる可能性があります。これが「麻疹は空気感染するため、換気・個室管理が必須」である理由です。
  • ウ: 結核の職場感染予防として、産業医・保健師が定期健康診断の結果をフォローし、結核発症を疑われる症状(2週間以上続く咳・血痰・発熱・体重減少)を早期に発見することが重要です。また接触者調査では、感染者と同室で8時間以上過ごした者を優先的にスクリーニングします。
  • エ: MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)は医療施設内での接触感染(院内感染)の代表的な病原体ですが、市中感染型MRSA(CA-MRSA)も増加しており、スポーツ施設・一般職場での感染事例も報告されています。手洗い・タオルの共用禁止・皮膚の傷の清潔管理が予防策です。
  • オ: インフルエンザの複合的感染経路(飛沫+接触)は、インフルエンザ対策において「マスクだけでなく手洗いも重要」という根拠です。ウイルスが付着した手でドアノブを触る→次の人が触る→その手で鼻を触る、という接触感染チェーンが発生するため、環境(共用部位)の消毒と手洗いの両方が重要です。

【根拠】医学的事実(確立した感染症学・微生物学)。感染経路の3分類・結核の空気感染の分類はWHO・CDC・日本感染症学会の標準的分類に準拠。

【補足】結核の感染経路は「飛沫感染のみ」ではなく「空気感染(飛沫核感染)が主要経路」。空気感染の3大疾患=結核・麻疹・水痘。飛沫と飛沫核の違い(5μmが境界)を正確に理解する。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 医学的事実(確立した感染症学・微生物学)。結核は飛沫核感染(空気感染)が主な感染経路。厚生労働省「感染症法に基づく感染症発生動向調査」・標準予防策ガイドライン準拠。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

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