問題
職場や施設における食中毒の集団発生への備えと対応、及び食中毒の原因物質に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)
解説
正しいのはアです。大量調理施設衛生管理マニュアルは、検食として原材料及び調理済み食品を食品ごとに50g程度ずつ清潔な容器に入れて密封し、−20℃以下で2週間以上保存することを求めています。
ウは誤りで、原因究明を確実に行うため、調理従事者等は原則として当該施設で調理された食品を喫食しないこととされています。イは誤りで、届出義務があるのは食中毒患者等を診断した医師です(食品衛生法第63条第1項)。エは誤りで、エンテロトキシンは耐熱性が高く通常の加熱調理では活性を失いません。オは誤りで、ボツリヌス毒素は易熱性です。
各選択肢の正誤と根拠:
- ウ(誤): 大量調理施設衛生管理マニュアルは、「食中毒が発生した時の原因究明を確実に行うため、原則として、調理従事者等は当該施設で調理された食品を喫食しないこと」としています。試食担当者を限定するなど原因究明に支障を来さない措置を講じた場合は例外です。
- イ(誤): 食品衛生法第63条第1項は「食中毒患者等を診断し、又はその死体を検案した医師は、直ちに最寄りの保健所長にその旨を届け出なければならない」と定めています。届出義務者は医師です。
- ア(正): 検食は、原材料及び調理済み食品を食品ごとに50g程度ずつ清潔な容器(ビニール袋等)に入れ、密封し、−20℃以下で2週間以上保存します。原材料は洗浄・殺菌等を行わず購入した状態で、調理済み食品は配膳後の状態で保存します。
- エ(誤): 黄色ブドウ球菌自体の耐熱性は高くないものの、産生されるエンテロトキシンは耐熱性が高く、通常の加熱調理では活性を失いません。
- オ(誤): ボツリヌス菌が産生する毒素は易熱性で、80℃で20分又は100℃で1〜2分間の加熱で不活化されます。
【理論的背景】
食中毒の原因物質を考えるうえでは、菌そのものだけでなく、菌が産生する毒素の性質を区別することが重要です。ブドウ球菌食中毒は、黄色ブドウ球菌が食品中で産生したエンテロトキシンによって引き起こされるため、潜伏期間が短く(0.5〜6時間(平均3時間))、悪心・嘔吐が必発症状です。毒素は耐熱性が高いため、菌が加熱で死滅しても毒素が食品中に残ります。一方、ボツリヌス毒素は易熱性ですが、芽胞には耐熱性の高いものがあり、低酸素状態で芽胞が発芽・増殖すると毒素が産生されます。ボツリヌス食中毒の潜伏期間は一般に8〜36時間とされます。
主な毒素の加熱に対する性質:
| 原因物質 | 加熱に対する性質 | 潜伏期間 |
|---|---|---|
| 黄色ブドウ球菌のエンテロトキシン | 耐熱性が高く、通常の加熱調理では活性を失わない | 0.5〜6時間(平均3時間) |
| ボツリヌス毒素 | 易熱性(80℃で20分又は100℃で1〜2分間の加熱で不活化) | 一般に8〜36時間 |
【実務・条文構造】
1. 食品衛生法第63条(食中毒の届出・調査・報告):
- 第1項: 食中毒患者等を診断し、又はその死体を検案した医師は、直ちに最寄りの保健所長に届け出る
- 第2項: 保健所長は、届出を受けたときその他食中毒患者等が発生していると認めるときは、速やかに都道府県知事等に報告するとともに、調査しなければならない
- 第3項: 都道府県知事等は、食中毒患者等が厚生労働省令で定める数以上発生し、又は発生するおそれがあると認めるとき等は、直ちに厚生労働大臣に報告する
- 第4項・第5項: 調査結果を保健所長から都道府県知事等へ、都道府県知事等から厚生労働大臣へ報告する
2. 大量調理施設衛生管理マニュアル(集団給食施設等の衛生管理):
- 検食の保存: 原材料及び調理済み食品を食品ごとに50g程度ずつ清潔な容器に入れ、密封し、−20℃以下で2週間以上保存
- 加熱調理食品: 中心部が75℃で1分間以上(二枚貝等ノロウイルス汚染のおそれのある食品の場合は85〜90℃で90秒間以上)又はこれと同等以上まで加熱されていることを確認し、温度と時間を記録
- 調理従事者等の喫食: 原因究明を確実に行うため、原則として当該施設で調理された食品を喫食しない
【試験での位置づけ】
食中毒の問題では「届出義務者は医師(直ちに最寄りの保健所長へ)」「黄色ブドウ球菌の毒素は耐熱性・潜伏期間が短い」「ボツリヌス毒素は易熱性・芽胞は耐熱性」が頻出です。エのように「加熱すれば毒素も不活化される」とする選択肢と、オのように「ボツリヌス毒素は熱に強い」とする選択肢は、2つの毒素の性質を入れ替えた典型的な引っかけです。
【各選択肢の発展補足】
- ウ: マニュアルは、喫食をしない理由を「食中毒が発生した時の原因究明を確実に行うため」と明記しています。原因究明に支障を来さないための措置(試食担当者を限定すること等)が講じられている場合は例外とされます。
- イ: 保健所長は、医師からの届出を受けたときだけでなく、その他食中毒患者等が発生していると認めるときにも、都道府県知事等への報告と調査を行います(食品衛生法第63条第2項)。
- ア: 原材料は洗浄・殺菌等を行わずに購入した状態で、調理済み食品は配膳後の状態で保存する点もあわせて押さえます。
- エ: ブドウ球菌食中毒の予防には、食品中でエンテロトキシンを産生させないよう、黄色ブドウ球菌による食品の汚染と食品中での菌の増殖を防ぐことが重要です。加熱は毒素対策になりません。
- オ: ボツリヌス食中毒のほとんどは自家製食品によって起きており、原材料がボツリヌス菌の芽胞に汚染されているためとされています。毒素は易熱性でも、芽胞の中には非常に強い加熱条件を必要とするものがあります。
【根拠】食品衛生法第63条、厚生労働省「大量調理施設衛生管理マニュアル」、食品安全委員会ファクトシート「ブドウ球菌食中毒」「ボツリヌス症」。
【補足】食中毒の届出: 診断した医師が直ちに最寄りの保健所長へ。検食: 50g程度ずつ・−20℃以下・2週間以上。黄色ブドウ球菌のエンテロトキシン: 耐熱性(加熱しても残る)。ボツリヌス毒素: 易熱性(80℃20分又は100℃1〜2分で不活化)。
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 食品衛生法第63条(食中毒の届出等。平成30年法律第46号による改正前は第58条)、厚生労働省「大量調理施設衛生管理マニュアル」(平成9年3月24日付け衛食第85号別添・最終改正平成29年6月16日付け生食発0616第1号)、食品安全委員会ファクトシート「ブドウ球菌食中毒」「ボツリヌス症」。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

