衛生管理者
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

衛生管理者 労働衛生(有害業務以外) 問60|THPの指針・健康保持増進措置・推進スタッフ

問題

衛生管理者 | 労働衛生(有害業務以外)

THP(トータル・ヘルスプロモーション・プラン)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

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答え合わせ

正解は イ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正しいのはイです。「運動指導担当者」は令和元年度改正以前のTHP指針で定められた専門スタッフで、労働者に運動プログラムを作成し、運動実践の指導を行います。現行の指針でも、こうした専門スタッフを養成し活用することが有効とされています。

アは誤りです(THPは有所見者のみの「疾病管理」ではなく、生活習慣上の課題が見当たらない労働者も対象)。ウは誤りです(措置には運動指導・メンタルヘルスケア・栄養指導・口腔保健指導・保健指導などがある)。エは誤りです(メンタルヘルスケアも含む)。オは誤りです(努力義務で罰則なし)。

各選択肢の正誤と根拠:

  • ア(誤): THP指針は安衛法第70条の2第1項に基づき公表されたものですが、THPは有所見者を対象とする「疾病管理」ではありません。令和元年度の改正では、すでに生活習慣上の課題がある労働者だけでなく、すぐには生活習慣上の課題が見当たらない労働者やより良い生活習慣や健康状態を目指す労働者も対象に含まれることが明確にされています。
  • イ(正): 運動指導担当者などは、改正前の指針の別表に定める研修を修了した専門スタッフ(THP指導者)であり、運動プログラムを作成し運動実践の指導を行います。現行の指針は「運動プログラムを作成し、運動実践を行うに当たっての指導を行うことができる者」等の専門スタッフを養成し活用することも有効としています。
  • ウ(誤): 具体的な健康保持増進措置には、運動指導、メンタルヘルスケア、栄養指導、口腔保健指導(歯科保健指導)、保健指導などがあります。
  • エ(誤): THPは心とからだの両面にわたる健康的な生活習慣への行動変容を目指す取組であり、メンタルヘルスケアも措置に含まれます。
  • オ(誤): 安衛法第69条第1項は、事業者は健康の保持増進を図るため必要な措置を継続的かつ計画的に「講ずるように努めなければならない」と定める努力義務であり、未実施への罰則はありません。

【理論的背景】

THP(Total Health promotion Plan)は、労働安全衛生法第70条の2により厚生労働大臣が公表した指針に沿って、働く人が心とからだの両面にわたる健康的な生活習慣への行動変容を行うため、事業場で計画的に行う健康教育などの活動です。指針は昭和63年9月1日に公示され、平成9年、平成19年、平成27年、令和2年3月31日、令和3年2月8日に改正されています。

令和元年度(令和2年3月)改正の主なポイント:

1. 「個人」から「集団」への視点の強化: すぐには生活習慣上の課題が見当たらない労働者やより良い生活習慣や健康状態を目指す労働者も対象に含め、一定の集団に対して活動を推進できるよう「ポピュレーションアプローチ」の視点を強化

2. 事業場の特性に合った措置への見直し: 事業場の規模や業務内容、労働者の年齢構成などの特性に応じて、柔軟に措置の内容を検討・実施できるように見直し

3. 措置の内容を規定する指針から、取組方法を規定する指針への見直し: PDCAサイクルの各段階で事業場が取り組むべき項目を明確にし、「進め方」を規定する指針に

令和2年度(令和3年2月)改正のポイント:

  • 医療保険者と連携したコラボヘルスの推進(定期健康診断の結果などを医療保険者に提供する必要があることなどの明確化)

【実務・条文構造】

現行指針の推進体制:

1. 事業場内の推進スタッフ: 事業者が、産業医等、衛生管理者等、事業場内の保健師等の事業場内産業保健スタッフ及び人事労務管理スタッフ等を活用し、各担当における役割を定めたうえで体制を構築する

2. 専門スタッフ: 運動プログラムを作成し運動実践の指導を行うことができる者、メンタルヘルスケアを行うことができる者等の専門スタッフを養成し、活用することも有効。事業者はこれらのスタッフに研修機会を与える等の能力の向上に努める

3. 事業場外資源: 労働衛生機関、中央労働災害防止協会、スポーツクラブ、医療保険者、地域の医師会・歯科医師会、地方公共団体・保健所、産業保健総合支援センター・地域産業保健センターなど

THPのPDCA(健康保持増進対策の各項目):

①健康保持増進方針の表明 → ②推進体制の確立 → ③課題の把握 → ④健康保持増進目標の設定 → ⑤健康保持増進措置の決定 → ⑥健康保持増進計画の作成 → ⑦健康保持増進計画の実施 → ⑧実施結果の評価

健康保持増進措置は「健康指導」と「それ以外の取組」に大きく分けられます。健康指導は「労働者の健康状態の把握」と「それを踏まえた運動指導や保健指導などの実施」の2ステップで行われる取組です。

【試験での位置づけ】

THPの問題では「対象は有所見者に限らない」「THPは努力義務(罰則なし)」「措置には運動指導・メンタルヘルスケア・栄養指導・口腔保健指導・保健指導などがある」「令和元年度改正でポピュレーションアプローチを強化」が問われます。アのように「疾病管理が目的」とする選択肢、エのように「メンタルヘルスがTHPの対象外」とする選択肢、オのように「50人以上に義務」とする選択肢(ストレスチェックとの混同)は典型的な引っかけです。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 健康保持増進対策の対象の考え方には、生活習慣上の課題を有する労働者個人を対象とする「ハイリスクアプローチ」と、課題の有無に関わらず労働者を集団と捉える「ポピュレーションアプローチ」があり、両者を組み合わせて取り組むことが推奨されています。
  • イ: 「運動指導担当者」「運動実践担当者」「心理相談担当者」「産業栄養指導担当者」「産業保健指導担当者」は、令和元年度改正以前の指針で定められたTHP指導者の名称です。現行の指針は職種名を限定せず、専門スタッフの養成・活用を「有効」と位置づけています。
  • ウ: 事業者は、運動指導・メンタルヘルスケア・栄養指導・口腔保健指導・保健指導などの中から、事業場の特性を踏まえて適切な内容を行うことが必要とされています。
  • エ: 指針は、仕事に関して強い不安やストレスを感じている労働者の割合が高い水準で推移していることを背景に、早い段階から心身の両面について健康教育等の予防対策に取り組むことを求めています。ストレスチェック(安衛法第66条の10)は別の制度です。
  • オ: 安衛法第69条第2項は、労働者も事業者が講ずる措置を利用して、その健康の保持増進に努めるものとしています。衛生委員会などの設置義務のない小規模事業場(労働者数50人未満)でも、労働者の意見が反映されるよう意見交換の場を設けることが有効とされています。

【根拠】労働安全衛生法第69条・第70条の2、「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」(昭和63年公示第1号・最終改正令和3年公示第8号)、厚生労働省「職場における心とからだの健康づくりのための手引き」(2021年3月)。

【補足】THP: 有所見者に限らない健康保持増進・努力義務(罰則なし)・心とからだの両面が対象。措置: 運動指導・メンタルヘルスケア・栄養指導・口腔保健指導・保健指導など。運動指導担当者等は改正前指針のTHP指導者で、現行指針は専門スタッフの養成・活用を有効としている。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働安全衛生法第69条・第70条の2、「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」(昭和63年9月1日健康保持増進のための指針公示第1号、最終改正令和3年2月8日同公示第8号)、厚生労働省「職場における心とからだの健康づくりのための手引き」(2021年3月)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

この問題の関連トピック

  • THPの指針・健康保持増進措置・推進スタッフ
  • 頻出度B

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