労働衛生(有害業務以外)74食中毒・感染症

衛生管理者 労働衛生(有害業務以外) 問74:食中毒・感染症

ノロウイルスによる食中毒に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • ノロウイルスは細菌の一種であり、食品中での増殖によって食中毒を引き起こす。食品を4℃以下に冷蔵保管することで増殖が抑制され、食中毒を予防できる。
  • ノロウイルスは主に鶏肉・鶏卵の生食や加熱不十分な摂取によって感染し、人から人への二次感染(接触・飛沫)はほとんど起こらないため、集団感染対策としては食材の加熱管理のみで十分である。
  • ノロウイルスの不活化には75℃・1分間以上の加熱が推奨されており、カキ等の二枚貝を中心温度75℃以上で1分間加熱すれば安全とされている。
  • ノロウイルスに感染した調理従事者が症状(嘔吐・下痢)のない無症状キャリアになっている場合は、調理業務への就業に問題はなく、手洗いを徹底すれば食中毒のリスクは排除できる。
  • ノロウイルスは感染力が非常に強く、わずか10〜100個程度のウイルスで感染が成立するため、嘔吐物・糞便の処理後の不十分な手洗い・消毒が集団感染の原因となりやすい。正答
正答:ノロウイルスは感染力が非常に強く、わずか10〜100個程度のウイルスで感染が成立するため、嘔吐物・糞便の処理後の不十分な手洗い・消毒が集団感染の原因となりやすい。

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正しいのはオです。ノロウイルスは10〜100個という極めて少量でも感染が成立する強力な感染力を持ちます。このため嘔吐物・糞便の適切な処理と、処理後の手洗い・消毒が不十分な場合に集団感染(ノロウイルス胃腸炎の集団発生)が起きやすいのです。

各誤りの要点: ア→ノロウイルスは細菌ではなくウイルス(食品中では増殖しない)。イ→ノロウイルスの主な原因食品は二枚貝(カキ等)であり鶏肉・鶏卵ではなく、感染者の嘔吐物・糞便を介した人から人への二次感染(接触・飛沫)が大規模感染の主因となるため「加熱管理のみで十分」は誤り。ウ→ノロウイルスの不活化には「85〜90℃・90秒以上」が推奨(75℃・1分では不十分)。エ→無症状キャリアでも感染性があり調理業務への従事は問題(就業制限が必要)。

標準試験対策の基準レベル

各選択肢の正誤と根拠:

  • ア(誤): ノロウイルスはウイルスであり、細菌ではありません。ウイルスは食品中では増殖できません(ウイルスの増殖には宿主細胞が必要)。冷蔵保管はウイルスを死滅させるものではなく、ノロウイルスは冷蔵・冷凍状態でも感染性を維持します。ノロウイルスの食中毒予防は「汚染食品の摂食を避ける」こと、および「感染者からの拡大防止」が中心です。
  • イ(誤): ノロウイルスの主な原因食品は二枚貝(カキ・アサリ等)であり、「鶏肉・鶏卵の生食・加熱不十分」が主因というのは誤りです(鶏肉・鶏卵はサルモネラ・カンピロバクターの典型的原因食品)。さらにノロウイルスは①感染者の嘔吐物・糞便への接触(接触感染)②嘔吐物の飛沫(飛沫感染)③汚染食品(経口感染)により人から人へ二次感染が広がりやすく、これが集団感染の主因です。「人から人への二次感染はほとんど起こらず、加熱管理のみで十分」は誤りです。
  • ウ(誤): ノロウイルスの不活化には85〜90℃・90秒以上の加熱が必要とされています(厚生労働省推奨)。「75℃・1分以上」はサルモネラ・腸管出血性大腸菌等の細菌の死滅基準であり、ノロウイルスには不十分です。
  • エ(誤): ノロウイルスの無症状キャリア(感染しているが症状がない者)もウイルスを排出しており、食品への汚染を介して食中毒を引き起こす危険があります。「症状がなければ問題ない」は誤りです。感染が疑われる場合は調理業務から外すことが食品衛生管理の基本です。
  • オ(正): ノロウイルスの感染量(最小感染量)は10〜100個と極めて少なく、特に冬季は感染拡大が起きやすい季節です。嘔吐物・糞便中には数億個以上のウイルスが含まれており、処理後の手洗い不十分が感染者の手を介した食品汚染につながります。
上級誤答論破・根拠法令まで深掘り

【理論的背景】

ノロウイルス(Norovirus)はカリシウイルス科に属するRNAウイルスであり、1972年に米国オハイオ州ノーウォークでの胃腸炎集団発生から分離・命名されました(旧称:ノーウォークウイルス)。ウイルスとしての特性上、生きた細胞(腸管上皮細胞)の中でのみ増殖できるため、食品中では増殖しません。

ノロウイルスの特異な耐性:

1. 熱耐性: 細菌(75℃・1分で死滅)より高い熱耐性。85〜90℃・90秒以上が不活化に必要。

2. 消毒薬耐性: アルコール(エタノール)に抵抗性があり、一般的な手指消毒用アルコールでは不活化が不完全(次亜塩素酸ナトリウムが有効)。

3. 環境耐性: 乾燥環境でも数週間〜数ヶ月間感染性を維持する。

4. 少量感染: 10〜100個という極めて少ない感染量(他の食中毒菌は10⁵〜10⁸個必要な場合が多い)。

【実務・条文構造】

ノロウイルス食中毒の発生状況(厚生労働省「食中毒統計」):

  • 発生件数: 全食中毒原因のウイルス性食中毒の大部分を占める
  • 季節: 冬季(11〜3月)に集中(低温・乾燥環境でのウイルス安定性が高い)
  • 主な原因: 二枚貝(カキ)の生食・加熱不十分、感染者からの食品汚染

ノロウイルス食中毒予防のための調理従事者管理:

| 状況 | 対応 |

|---|---|

| 症状あり(嘔吐・下痢・発熱) | 直ちに調理業務から外す・医療機関受診 |

| 症状回復後 | 2日以上症状消失後・かつ便からウイルスが検出されなくなるまで就業制限継続(実務上は症状消失後72時間以上) |

| 無症状キャリア(感染疑いあり) | 原則として調理業務から外す(ウイルス排出期間中は感染性あり) |

| 手洗い | アルコールのみでは不十分→石けんと流水による手洗い(20秒以上)を徹底 |

嘔吐物・糞便処理の標準手順(ノロウイルス対策):

1. 使い捨てのガウン・マスク・手袋を着用

2. 汚染区域を他の人から隔離

3. ペーパータオル等で嘔吐物・糞便を除去

4. 次亜塩素酸ナトリウム(0.1%以上・市販塩素系漂白剤の適切な希釈液)で消毒

5. 廃棄物を密封して廃棄

6. 使用した手袋等を廃棄後、石けんと流水で手洗い(20秒以上)

7. 周囲を十分に換気

【試験での位置づけ】

ノロウイルスの問題では「ノロウイルスはウイルス(細菌ではない・食品中で増殖しない)」「不活化温度は85〜90℃・90秒以上(75℃・1分では不十分)」「少量感染(10〜100個)」「無症状キャリアも感染性あり(就業制限が必要)」「アルコール消毒が不十分→次亜塩素酸ナトリウムが有効」が頻出事項です。ウのような「75℃・1分が推奨」という誤りは、細菌(サルモネラ等)の加熱基準(75℃・1分)をノロウイルスに適用した典型的な引っかけです。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: ノロウイルスが「ウイルス」であることの実務的意義は「冷蔵・冷凍してもウイルスが死なない(食品保管で予防できない)」という点です。汚染された二枚貝を冷蔵保管しても感染性は維持されており、「冷蔵してあれば安全」という誤解が食中毒の原因になります。
  • イ: ノロウイルスの主な原因食品は二枚貝(カキ・アサリ等)です。鶏肉はカンピロバクター、鶏卵はサルモネラの典型的な原因食品であり、原因食品と病原体の対応を取り違えないことが重要です。ノロウイルスは食品由来の一次感染より、感染者の嘔吐物・糞便を介した人から人への二次感染(接触・飛沫)で施設内に拡大することが多く、加熱管理だけでなく嘔吐物の適切な処理・手洗い・次亜塩素酸消毒が集団感染対策の要です。
  • ウ: 85〜90℃・90秒以上という基準は、カキ等の二枚貝を「中心まで十分に加熱する」ことを意味します。実際の調理では「表面が加熱されても中心部が低温のまま」という状態が起きやすく、温度計による中心温度の確認または十分な加熱時間の確保が重要です。
  • エ: ノロウイルスの無症状キャリアが調理業務に従事した場合の感染リスクは、症状のある感染者と同等またはそれ以上の場合があります(無症状ゆえに対策を怠るリスク)。食品衛生管理では「腹痛・下痢・嘔吐・発熱があれば申告する」というルールの徹底と、キャリア調査(便検査)によるリスク把握が重要です。
  • オ: ノロウイルスの10〜100個という感染量は、通常の腸管出血性大腸菌(O157)の10〜100個と並んで、食中毒菌の中でも最小クラスの感染量です。感染者1人の嘔吐物(約100mL)には1億〜10億個のウイルスが含まれる場合があり、適切な処理を行わなければ二次感染者が多数出る可能性があります。

【根拠】医学的事実(確立したウイルス学・食品衛生学)。厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」・食品衛生法関連通達準拠。

【補足】ノロウイルスはウイルス(細菌でない・食品中で増殖しない)。不活化=85〜90℃・90秒以上(75℃・1分は細菌の基準・ノロには不十分)。感染量=10〜100個(少量)。無症状キャリアも就業制限が必要。アルコールは不完全→次亜塩素酸ナトリウムが有効。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 医学的事実(確立したウイルス学・食品衛生学)。ノロウイルスは非常に少ない量(10〜100個)で感染が成立する高感染力を持つウイルスであることは確立した事実。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

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