問題
労働安全衛生法の目的および事業者等の責務に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正しいのはイです。安衛法第3条第1項は事業者の責務として「最低基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない」と定めています。「最低基準を守るだけでよい」ではなく、それを超えた積極的な取組みが求められている点が重要です。
各誤り: ア→安衛法第1条は「快適な職場環境の形成を促進することを目的とする」と明示しており、別法律ではなく安衛法自体がこれを目的に含みます。ウ→安衛法の義務は「事業者」(事業を行う者で、労働者を使用するもの)に課されており、労基法の「使用者」とは同義ではありません。エ・オ→元方事業者の指導義務(第29条)・設備の製造者等の責務(第3条第2項)が安衛法で規定されています。
安衛法の目的と関係者の責務の全体像:
各選択肢の正誤と根拠:
- ア(誤): 安衛法第1条は「この法律は、労働基準法と相まって、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする」と定めています。「快適な職場環境」は安衛法自体の目的の一部です。
- イ(正): 安衛法第3条第1項の記述そのものです。事業者は最低基準遵守にとどまらず、積極的に職場環境改善に取り組む責務があります。
- ウ(誤): 安衛法の義務主体は「事業者」、すなわち「事業を行う者で、労働者を使用するもの」です(安衛法第2条第3号)。労基法の「使用者」は「事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者」(労基法第10条)であり、概念が異なります。
- エ(誤): 元方事業者は、関係請負人及びその作業従事者が安衛法令の規定に違反しないよう必要な指導を行わなければならず、違反していると認めるときは是正のため必要な指示を行わなければなりません(安衛法第29条第1項・第2項)。
- オ(誤): 安衛法第3条第2項は、機械・器具その他の設備を設計・製造・輸入する者などに対し、これらの物が使用されることによる労働災害の発生の防止に資するように努める責務を定めています。
【理論的背景】
労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)は、労働基準法と相まって職場の安全衛生を確保する法律です。労働基準法第42条は「労働者の安全及び衛生に関しては、労働安全衛生法の定めるところによる」と定めており、安全衛生に関する具体的な規制は安衛法に委ねられています。
安衛法の目的(第1条)は2つの柱から成ります:
1. 労働者の安全と健康の確保(危害防止基準の確立・責任体制の明確化・自主的活動の促進の措置を講ずる等の総合的計画的な対策の推進)
2. 快適な職場環境の形成の促進
「快適な職場環境の形成」は安衛法自体の目的であり、事業者が講ずる措置(第71条の2)や厚生労働大臣の指針の公表(第71条の3)も安衛法に定められています。これが選択肢アが誤りである根拠です。
【実務・条文構造】
安衛法における責務の構造:
事業者(安衛法第3条第1項)
- 最低基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない
- 国が実施する労働災害の防止に関する施策に協力するようにしなければならない
- 快適な職場環境の形成のため、作業環境の維持管理・作業方法の改善・疲労回復のための施設の設置等の措置を継続的かつ計画的に講ずるよう努める(第71条の2)
設備の設計者・製造者・輸入者等(安衛法第3条第2項)
- 機械・器具その他の設備、原材料、建設物の設計・製造・輸入・建設に際して、これらの物が使用されることによる労働災害の発生の防止に資するように努める
- 別表第二の機械等その他政令で定めるものは、厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備しなければ、譲渡し、貸与し、又は設置してはならない(第42条)
仕事を他人に請け負わせる者(安衛法第3条第3項)
- 施工方法・作業方法・工期・納期等について、安全で衛生的な作業の遂行を損なうおそれのある条件を付さないように配慮する
元方事業者(安衛法第29条)
- 関係請負人等が安衛法令に違反しないよう必要な指導を行い、違反していると認めるときは是正のため必要な指示を行う
- 特定元方事業者(建設業・造船業・安衛法第15条第1項・安衛令第7条第1項)は、協議組織の設置・運営、作業間の連絡調整、作業場所の巡視などの措置を講ずる(第30条第1項)
注文者(安衛法第31条)
- 特定事業の仕事を自ら行う注文者は、建設物・設備・原材料を請負人の作業従事者に使用させるときは、労働災害を防止するため必要な措置を講ずる
「事業者」と「使用者」の区別:
- 安衛法の「事業者」: 事業を行う者で、労働者を使用するもの(安衛法第2条第3号)
- 労基法の「使用者」: 事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者(労基法第10条)
- 安衛法の義務の多くは事業者に課されています
【試験での位置づけ】
「安衛法の目的に快適職場環境が含まれるか」は頻出の論点です。「快適な職場環境」が安衛法第1条に明示されていることを確実に覚える必要があります。また「最低基準を守るだけでなく」という事業者の責務(第3条第1項)は、基本理念を問う問題として登場します。元方事業者の指導義務(安衛法第29条)や製造者等の責務(第3条第2項)も、責務の主体を入れ替えた選択肢として出題されます。
【各選択肢の発展補足】
- ア: 快適な職場環境の形成は第1条の目的に含まれ、その具体策が第71条の2以下に定められています。
- イ: 第3条第1項の文言どおりです。「単にこの法律で定める労働災害の防止のための最低基準を守るだけでなく」という部分が出題のポイントです。
- ウ: 安衛法の義務者は「事業者」であり、労基法の「使用者」とは定義が異なります(安衛法第2条第3号・労基法第10条)。
- エ: 元方事業者には指導(第29条第1項)と是正の指示(同条第2項)の義務があり、指示を受けた関係請負人等はこれに従わなければなりません(同条第3項)。
- オ: 製造者等には第3条第2項の責務があり、さらに一定の機械等は規格又は安全装置を具備しなければ譲渡・貸与・設置ができません(第42条)。
【根拠法令】労働安全衛生法 第1条(目的・快適職場環境の形成)・第3条(事業者等の責務)・第29条(元方事業者の講ずべき措置・指導義務)
【補足】安衛法の目的は「労働者の安全健康確保」と「快適職場環境の形成」の2本柱。事業者は最低基準遵守にとどまらず積極的な改善義務を負う(第3条第1項)。
- 労働安全衛生法第3条・第1条・第2条・第29条・第15条・第31条e-Govで原文を読む
- 労働基準法第10条・第42条e-Govで原文を読む
- 労働安全衛生法施行令第7条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働安全衛生法(安衛法)第1条(目的)・第3条(事業者等の責務)・第29条(元方事業者の講ずべき措置)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

