問題
健康診断の結果の通知および記録の保存に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)
解説
誤りはアです。健康診断個人票は作成して「5年間」保存しなければなりません(安衛則第51条)。この規定に退職による例外はないため、労働者が退職しても、5年の保存期間が経過するまでは廃棄できません。
ウ(定期健診後は結果を労働者に通知する義務がある)、イ(5年保存義務)、エ(50人以上の事業場は監督署への報告義務)、オ(異常の有無にかかわらず全受診者に通知)はいずれも正しい記述です。
健康診断の通知・記録保存・報告に関する義務の整理:
各選択肢の正誤と根拠:
- ウ(正): 安衛法第66条の6により、事業者は健康診断(一般・特殊を問わず)を受けた労働者に対して、遅滞なく結果を通知しなければなりません。通知の方法は特定されておらず(書面が望ましい)、電子メール等も可能です。
- イ(正): 安衛則第51条第1項により、定期健康診断を行ったときは健康診断個人票を作成し、5年間保存することが義務です。
- ア(誤): 安衛則第51条は、健康診断個人票を作成して「五年間保存しなければならない」と定めており、退職による例外を設けていません。労働者が退職しても、5年の保存期間が経過するまでは保存が必要です。
- エ(正): 安衛則第52条により、常時50人以上の労働者を使用する事業者は、定期健康診断を行ったときは、遅滞なく、電子情報処理組織を使用して所轄労働基準監督署長に報告しなければなりません。
- オ(正): 安衛法第66条の6の通知義務は「受診した労働者全員」が対象であり、異常所見の有無にかかわらず全員に通知することが義務です。
【理論的背景】
健康診断の結果通知義務(安衛法第66条の6)は、「事業者が労働者の健康情報を独占しない」という原則を実現するためのものです。従来、健康診断結果は事業者が受け取り、労働者に知らせないケースもありましたが、労働者自身が自分の健康状態を知る権利を保障するため、通知義務が明示されました。
記録保存義務(安衛則第51条)の趣旨は、「健康管理の継続的な追跡が可能になること」と「事後の紛争(労働災害認定・民事訴訟等)における証拠保全」です。
【実務・条文構造】
健康診断に関する義務の体系:
【通知義務(安衛法第66条の6)】:
- 対象: 健康診断(一般定期・雇入れ時・特殊等すべて)を受けた全労働者
- 時期: 「遅滞なく」(法定期限なし・速やかにという解釈)
- 方法: 法定なし(書面・電子メール等可)
- 異常所見がなくても全員に通知が必要
【個人票の作成・保存義務(安衛則第51条)】:
- 作成: 定期健康診断実施ごとに健康診断個人票を作成
- 保存期間: 5年間(原則)
※ 特殊健康診断の一部(電離放射線健康診断、特別管理物質に係る特定化学物質健康診断等)は30年
- 退職後の取扱い: 退職による例外はなく、保存期間(5年)が経過するまで保存義務あり
【報告義務(安衛則第52条)】:
- 対象事業場: 常時50人以上の労働者を使用する事業場
- 報告時期: 定期健康診断を行ったとき、遅滞なく
- 報告先: 所轄労働基準監督署長
- 報告方法: 電子情報処理組織を使用して報告
- 報告内容: 健康診断を受けた労働者の数・項目ごとの異常所見者数・医師による指示のあった労働者の数・産業医の氏名等
記録保存期間の比較(横断的整理):
- 定期健康診断個人票: 5年
- 雇入れ時健康診断個人票: 5年
- 特定化学物質健康診断個人票(原則): 5年
- 電離放射線健康診断個人票・特別管理物質に係る特定化学物質健康診断個人票: 30年
- 衛生委員会の議事の記録: 3年
- 産業医の勧告の記録: 3年
- 特別教育の記録: 3年
【試験での位置づけ】
健康診断の通知・保存・報告に関する問題は「通知対象(全受診者・異常所見者に限らず)」「保存期間(5年・一部30年)」「報告義務の発生規模(50人以上)」の3点が最頻出です。「退職したら保存期間内でも廃棄できる」「異常所見者のみ通知」といった誤りに注意が必要です。また保存期間「3年」「5年」「30年」の使い分けは横断的に問われるため、一覧での整理が効果的です。
【各選択肢の発展補足】
- ウ: 通知方法は特定されていませんが、実務では書面交付・封書での個人通知・電子メール等が活用されます。重要なのは「本人が確実に内容を確認できる形での通知」であることです。集団で一覧掲示するような方法はプライバシーの観点から問題があります。
- イ: 保存義務の対象は定期健康診断に限られず、雇入れ時の健康診断(安衛則第43条)なども含まれます(同第51条)。
- ア: 本問の誤りの核心は「退職したら廃棄できる」とした点です。安衛則第51条の5年保存に退職による例外はなく、退職をもって保存義務が消滅するわけではありません。
- エ: 報告は定期健康診断を行ったときに遅滞なく、電子情報処理組織を使用して行います(安衛則第52条第1項)。50人未満の事業場には報告義務がありませんが、記録の作成・保存義務(個人票)は規模にかかわらず生じます。
- オ: 「異常所見のない労働者には通知不要」という誤りは「異常があった場合のみ問題になる」という誤解から来ます。全員への通知は「自分の健康状態を知る権利」の保障であり、異常がない場合でも「健康であることの確認」として重要な情報です。
【根拠法令】労働安全衛生法 第66条の6(健康診断結果の通知:全受診者・遅滞なく)・第66条の3(健康診断の結果の記録)・第100条(報告)、労働安全衛生規則 第51条(個人票5年保存)・第52条(50人以上の報告義務)
【補足】通知は全受診者(異常の有無にかかわらず)。個人票は5年保存(退職しても保存期間が経過するまでは廃棄できない)。報告義務は常時50人以上の事業者が定期健康診断を行ったとき。
- 労働安全衛生規則第51条・第52条・第43条・第51条の5e-Govで原文を読む
- 労働安全衛生法第66条の6e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働安全衛生法(安衛法)第66条の6(健康診断結果の通知)・第66条の3(健康診断の結果の記録)・第100条(報告)、労働安全衛生規則(安衛則)第51条(記録の保存期間5年)・第52条(定期健康診断結果報告義務)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

