衛生管理者 関係法令(有害業務以外) 問64:安全衛生管理体制
衛生委員会の運営に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア衛生委員会は、毎月1回以上開催しなければならないが、この回数は衛生管理者の巡視頻度(月1回以上)と同じである。
- イ衛生委員会の議長は、事業者が衛生管理者のうちから指名した者がなるものとされている。
- ウ衛生委員会の委員のうち、産業医は事業者が指名し、労働者代表の推薦は不要である。
- エ衛生委員会の議事のうち重要なものに係る記録は、作成後3年間保存しなければならない。正答
- オ衛生委員会の委員の過半数は、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合またはその過半数を代表する者が推薦した者でなければならない。
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正しいのはエです。安衛則第23条第4項により、衛生委員会の議事のうち重要なものに係る記録は作成し、3年間保存しなければなりません。3年という保存期間は産業医の勧告記録(3年)と同じです。
各誤り: ア→衛生委員会は月1回以上が正しいが、衛生管理者の巡視は「少なくとも毎週1回以上」(安衛則第11条)であり、月1回ではありません。イ→議長は「総括安全衛生管理者またはそれに準ずる者」であり衛生管理者ではありません。ウ→産業医は委員として必須ですが指名方法の問題ではなく、委員「半数」が労働者代表推薦であることが正確(過半数ではない)。オ→過半数ではなく「半数」です。
衛生委員会の運営ルール(安衛法第18条・安衛則第23条):
各選択肢の正誤と根拠:
- ア(誤): 衛生委員会の開催頻度は安衛則第23条第1項により毎月1回以上で正しいですが、衛生管理者の巡視頻度は安衛則第11条第1項により毎週1回以上(週1回以上)です。委員会と巡視の頻度を同一視する点が誤りです。
- イ(誤): 衛生委員会の議長は安衛法第18条第2項第1号により「総括安全衛生管理者またはそれ以外の者で当該事業場においてその事業の実施を統括管理するもの」とされています。衛生管理者が議長になるという記述は誤りです(衛生管理者は委員として参加)。
- ウ(誤): 産業医は衛生委員会の必須委員(安衛法第18条第2項第3号)ですが、委員の構成に関するルールは「委員の半数を労働者代表の推薦とする」(安衛法第18条第4項)です。産業医単独の指名方法について「労働者代表の推薦不要」と特定する記述は制度の趣旨から外れます。
- エ(正): 安衛則第23条第4項により、議事の重要記録は3年間保存義務があります。
- オ(誤): 安衛法第18条第4項により労働者代表推薦は「半数」です。「過半数」(半数超)ではありません。半数と過半数の違いは法的に重要で、試験では頻繁に問われます。
【理論的背景】
衛生委員会(安衛法第18条)は、職場の健康問題を「労使が共同して審議する場」として設けられています。事業者が一方的に健康管理方針を決定するのではなく、産業医の医学的専門知識と、労働者代表の現場実感を取り込んで審議するという設計思想があります。「委員の半数を労働者代表推薦に」という規定はこの思想の制度的表現です。
衛生委員会と安全委員会(安衛法第17条)、安全衛生委員会(第19条)の開催・記録保存のルールは全て同一の安衛則第23条に基づいており、統一した理解が可能です。
【実務・条文構造】
衛生委員会の構成員(安衛法第18条第2項):
1. 議長: 総括安全衛生管理者または事業の実施を統括管理する者(事業者が指名)
2. 衛生管理者: 1人以上(事業者が指名。衛生管理者が複数いる場合は1人以上でよい)
3. 産業医: 1人以上(事業者が指名)
4. 衛生に関し経験を有する労働者: 1人以上(事業者が指名)
委員構成のポイント(安衛法第18条第4項):
- 議長以外の委員の半数は、労働者の過半数で組織する労働組合(または過半数代表者)の推薦を受けた者でなければならない
- 「半数」であり「過半数」(半数超)ではない。例: 委員が議長+4人の場合、4人の半数=2人が労働者代表推薦
衛生委員会の運営規則(安衛則第23条):
| 事項 | 規定内容 |
|-----|--------|
| 開催頻度 | 毎月1回以上(安衛則第23条第1項) |
| 議事録作成 | 開催のつど(遅滞なく) |
| 保存期間 | 重要事項の記録は3年 |
| 周知方法 | 議事録を常時各作業場に備え付け等 |
衛生管理者の職務・巡視頻度との対比:
- 衛生委員会開催: 毎月1回以上(安衛則第23条)
- 衛生管理者の作業場巡視: 毎週1回以上(安衛則第11条第1項)
- 産業医の作業場巡視: 毎月1回以上(安衛則第15条、緩和条件あり)
この3つの頻度の違いが試験で頻繁に混同されます。
衛生委員会の法定審議事項(安衛法第18条第1項):
1. 労働者の健康障害を防止するための基本となるべき対策に関すること
2. 労働者の健康の保持増進を図るための基本となるべき対策に関すること
3. 労働災害の原因及び再発防止対策で、衛生に係るものに関すること
4. 前3号に掲げるもののほか、労働者の健康障害の防止及び健康の保持増進に関する重要事項
「重要事項」の具体例(厚生労働省通達で例示): 長時間労働による健康障害防止対策・メンタルヘルス対策・ストレスチェック制度の実施方針・産業医からの勧告内容・職場環境の改善に関する事項等。
【試験での位置づけ】
衛生委員会の「議長=総括安全衛生管理者等(衛生管理者ではない)」「委員の半数(過半数ではない)が労働者代表推薦」「議事録3年保存」「開催は月1回以上」の4点が頻出です。特に「半数 vs 過半数」は典型的な引っかけポイントです。また「衛生管理者の巡視は週1回」「産業医の巡視は月1回(条件付きで2か月に1回緩和可)」との頻度の差も繰り返し出題されます。
【各選択肢の発展補足】
- ア: 衛生委員会は「月1回」という開催頻度はあくまで最低基準です。毎週・隔週での開催も可能で、重大な健康問題が発生した際には臨時開催も行われます。委員会の議事録を作成し全労働者に周知する義務(安衛則第23条第3項)も重要な実務です。
- イ: 「議長=衛生管理者」という誤解は「衛生委員会=衛生管理の委員会だから衛生管理者が仕切る」という感覚から来ます。しかし経営判断(設備投資・人員配置・労働時間削減等)を伴う議題を審議するため、経営上の実権を持つ「統括管理者」が議長となる設計です。
- ウ: 産業医は委員として「医学的専門意見を提供する役割」を担い、委員会の議事に参加・意見を述べることが法的に保証されています。産業医の意見が委員会を通じて記録・周知されることで、実効性が高まります。
- エ: 3年保存の「重要な事項」に何が該当するかは法令上明確に定義されていませんが、行政解釈では委員会での審議内容・決定事項・産業医等の意見等が含まれるとされています。すべての発言記録を保存する必要はありませんが、議事の要旨を記録することが実務上推奨されます。
- オ: 半数規定の実務上の意味は「労使同数に近い構成で審議する」ことです。例えば委員が6人(議長除く)の場合、3人は使用者側(管理職・産業医等)、3人は労働者代表推薦となります。これにより労働者の意見が一定割合で反映される構造が保証されます。
【根拠法令】労働安全衛生法 第18条(衛生委員会の構成・審議事項)、労働安全衛生規則 第23条(開催頻度・議事録作成・3年保存)、安衛則第11条(衛生管理者の週1回巡視)
【補足】衛生委員会の議事録は3年保存。開催は月1回以上。議長は総括安全衛生管理者等(衛生管理者ではない)。委員の半数(過半数ではない)が労働者代表推薦。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働安全衛生法(安衛法)第18条(衛生委員会の設置・構成・調査審議事項)、労働安全衛生規則(安衛則)第23条(衛生委員会の運営・議事録保存)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。