関係法令(有害業務以外)69健康管理

衛生管理者 関係法令(有害業務以外) 問69:健康管理

健康診断の結果に基づく就業上の措置に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 事業者は、健康診断の結果、所見があった労働者に対して医師の意見を聴かなければならないが、医師は必ず当該事業場の産業医でなければならない。
  • 事業者は、医師の意見を聴いた結果、就業上の措置が必要と判断された場合は、遅滞なく就業場所の変更・作業転換・労働時間の短縮等を行わなければならない。正答
  • 健康診断の結果に基づく就業上の措置として、深夜業の回数の減少は認められるが、深夜業の廃止(深夜業への不従事)は措置の種類に含まれていない。
  • 事業者が就業上の措置を決定する際には、労働組合等の意見を聴くことが法律上義務付けられている。
  • 健康診断の結果に基づく就業上の措置について医師の意見を聴く期限は、健康診断が行われた日から3か月以内とされている。
正答:事業者は、医師の意見を聴いた結果、就業上の措置が必要と判断された場合は、遅滞なく就業場所の変更・作業転換・労働時間の短縮等を行わなければならない。

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正しいのはイです。安衛法第66条の5第1項により、事業者は医師の意見を踏まえて、労働者の実情を考慮しつつ就業場所の変更・作業転換・労働時間の短縮・深夜業の回数の減少等の必要な措置を講じなければなりません。これは「努力義務」ではなく「義務」です。

各誤り: ア→意見を聴く医師は産業医に限定されず、当該健診を実施した医師でも可能です(安衛則第51条の2)。ウ→深夜業への不従事(廃止)も措置の種類に含まれます。エ→労働組合への意見聴取は法律上の義務規定はありません(努力義務的な配慮はありえますが義務規定ではない)。オ→法令上の「3か月以内」という期限は定められていません(遅滞なく聴取が求められます)。

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健康診断後の就業上の措置フロー(安衛法第66条の4・66条の5):

各選択肢の正誤と根拠:

  • ア(誤): 安衛則第51条の2第1項により、医師の意見は「産業医または当該健康診断を実施した医師」から聴くことができます。産業医のみに限定されていません。産業医未選任の小規模事業場では、健診医や外部の嘱託医師から意見を聴くことが現実的です。
  • イ(正): 安衛法第66条の5第1項により、医師の意見を踏まえた就業上の措置の実施は義務です。「就業場所の変更・作業転換・労働時間の短縮・深夜業の回数の減少・その他適切な措置」が法定されています。
  • ウ(誤): 安衛法第66条の5第1項の条文には「深夜業の回数を減少させること」とともに、「深夜業に従事しないことを認めること」等の措置も含まれます(行政解釈上の例示。深夜業廃止が措置の選択肢に含まれないという解釈は誤りです)。
  • エ(誤): 就業上の措置決定に当たって労働組合への意見聴取を義務付ける規定は安衛法にはありません。ただし実務上、労使協議の場(衛生委員会等)で検討することが推奨されます。
  • オ(誤): 医師の意見聴取の時期について安衛則第51条の2第3項は「遅滞なく」と規定しており、「3か月以内」という期限は法令に規定されていません。
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【理論的背景】

健康診断は「実施して記録するだけ」では不十分であり、所見があった労働者に対して事業者が医学的専門家(医師)の意見を踏まえて就業上の対応を取るところまでがセットになっています(安衛法第66条の4〜5)。2008年施行の改正で「医師意見聴取の義務化」「就業上の措置の義務化」が明確に規定され、健康診断の「実施後フォロー」の法的整備が進みました。

就業上の措置は「医療行為」ではなく「雇用管理上の対応」であるため、医師が提案し、事業者が実施するという役割分担があります。医師は「意見」(就業上の措置の要否・内容)を述べ、実際に就業条件を変更するのは事業者(雇用契約の当事者として)です。

【実務・条文構造】

健康診断後の対応フロー(安衛法第66条の4・66条の5・安衛則第51条の2〜51条の4):

ステップ1: 所見あり労働者の確認

  • 定期健康診断等の結果、医師が「所見あり」と判断した労働者を特定

ステップ2: 医師の意見聴取(安衛則第51条の2)

  • 時期: 遅滞なく(期限の定めなし)
  • 対象医師: 産業医または健診を実施した医師(産業医に限定されない)
  • 内容: 就業上の措置の必要性・措置の内容(就業場所変更・作業転換・労働時間短縮・深夜業回数減少等)

ステップ3: 労働者の意見聴取(安衛則第51条の3)

  • 措置を講じる場合に限り、当該労働者に「意見を聴く機会を与える」ことが求められます

ステップ4: 就業上の措置の実施(安衛法第66条の5第1項)

  • 義務: 「遅滞なく」措置を講じなければならない
  • 措置の種類(安衛法第66条の5第1項の例示):

1. 就業場所の変更

2. 作業の転換

3. 労働時間の短縮

4. 深夜業の回数の減少

5. その他適切な措置(深夜業従事禁止・一時的な就業禁止等を含む)

ステップ5: 措置の実施結果の把握・衛生委員会報告

  • 実施した措置の内容を記録し、必要に応じて衛生委員会で報告・審議

産業医vs当該健診医師:

  • 産業医がいれば産業医から意見を聴くのが最も効率的
  • 産業医未選任(50人未満)の事業場では、健診を担当した医療機関の医師・地域産業保健センターの医師から意見を聴く
  • 「産業医のみ可」という誤解は、産業医制度の普及に伴い生じやすいため試験での頻出誤り

記録の保存義務:

  • 医師の意見聴取結果: 安衛則第51条の4により5年間保存
  • 就業上の措置の内容: 5年間保存

【試験での位置づけ】

本問の論点は「イ(義務)の正確な理解」「ア(産業医限定ではない)の誤り確認」「ウ(深夜業廃止も措置に含まれる)の確認」が中心です。健康診断後のフローは、実施→通知→意見聴取→措置の4段階で一連のセットとして理解するのが効果的です。「医師意見聴取の期限(遅滞なく・3か月以内という期限なし)」も頻出の確認ポイントです。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 産業医が選任されている事業場(50人以上)では、実務上産業医が意見を提供するのが通例です。しかし産業医が健診を実施した医師と別人の場合、健診医師からも情報・意見を収集することが推奨されます。
  • イ: 「労働者の実情を考慮して」という条件が重要です。医師が「軽作業への配置転換」を勧告しても、事業場の業務構造上それが不可能な場合もあります。可能な限り医師の意見を尊重し実行することが義務ですが、業務上の合理的制約を考慮する余地も認められています。
  • ウ: 深夜業への従事を一切禁止する措置は、特に心臓・循環器系疾患の所見がある場合に医師から勧告されることがあります。「回数減少」で対応できない場合は「全廃」も措置の選択肢となります。
  • エ: 労働組合への事前説明や衛生委員会での審議は、就業上の措置の透明性・公平性確保のために重要な実務慣行ですが、これを法律上の義務と混同してはなりません。
  • オ: 「遅滞なく」は「速やかに」という趣旨であり、健診から数か月後まで放置することは違反リスクがあります。実務では健診結果の判明後1〜2か月以内に意見聴取を完了させることが推奨されます。

【根拠法令】労働安全衛生法 第66条の4(医師の意見聴取義務)・第66条の5(就業上の措置義務・遅滞なく)、労働安全衛生規則 第51条の2(意見聴取の対象医師・産業医に限定されない)・第51条の3(労働者の意見聴取)・第51条の4(記録5年保存)

【補足】意見を聴く医師は産業医に限定されない。就業上の措置は義務(努力義務ではない)。措置の種類に深夜業廃止も含まれる。意見聴取の期限は「3か月」という法令上の規定なし。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働安全衛生法(安衛法)第66条の4(健康診断結果に基づく医師の意見聴取)・第66条の5(就業上の措置の義務)、労働安全衛生規則(安衛則)第51条の2〜第51条の4。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

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