労働生理48消化・代謝

衛生管理者 労働生理 問48:消化・代謝

栄養素の消化・吸収および脂溶性ビタミンに関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 脂溶性ビタミン(ADEK)は水溶性ビタミン(B群・C)と同様に、過剰摂取しても腎臓から尿として容易に排泄されるため、過剰症(過剰摂取による中毒)は起きない。
  • ビタミンCは水溶性で抗酸化作用を持ち、コラーゲン合成に必須である。欠乏すると壊血病(皮下出血・歯肉出血・創傷治癒遅延)が生じる。
  • ビタミンDは皮膚で紫外線によって合成されるため、食事からの摂取は不要であり、欠乏症(くる病・骨軟化症)は現代では起きない。
  • 脂質(中性脂肪)の消化は胃で完全に行われ、膵臓からのリパーゼは追加的な役割のみ担う。
  • ビタミンAは視覚(ロドプシンの成分)・皮膚・粘膜上皮の維持に関与し、欠乏すると夜盲症・皮膚角化が生じる。一方、過剰摂取による中毒症状(頭蓋内圧亢進・肝毒性等)も起きる可能性がある。正答
正答:ビタミンAは視覚(ロドプシンの成分)・皮膚・粘膜上皮の維持に関与し、欠乏すると夜盲症・皮膚角化が生じる。一方、過剰摂取による中毒症状(頭蓋内圧亢進・肝毒性等)も起きる可能性がある。

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正しいのはオです。ビタミンAは欠乏すると夜盲症・皮膚角化が、過剰摂取すると頭蓋内圧亢進・肝毒性などの中毒症状が起きます。脂溶性ビタミンは脂肪組織・肝臓に蓄積するため、過剰症が起きやすいです(水溶性ビタミンは尿に排泄されるので過剰症は起きにくい)。

各誤りの要点: ア→脂溶性ビタミンは尿から排泄されず体内に蓄積するため過剰症が起きる(水溶性ビタミンと逆)。ウ→紫外線で皮膚からビタミンDは合成できるが、現代でも日光不足・食事不足でくる病・骨軟化症は起きる。エ→脂質の消化は胃ではほとんど行われず、主に小腸で膵リパーゼと胆汁が中心的役割を担う。

標準試験対策の基準レベル

各選択肢の正誤と根拠:

  • ア(誤): 脂溶性ビタミン(ADEK)は体内(主に肝臓・脂肪組織)に蓄積し、尿への排泄が少ないため過剰症(中毒症)が起きやすい。特にビタミンA(レチノール・肝油サプリ等)とビタミンD(サプリ)の過剰摂取で中毒報告があります。水溶性ビタミン(B群・C)は余剰分が尿に排泄されやすいため、通常の食事では過剰症が起きにくいです(ただし大量サプリ摂取では起きることがある)。
  • イ(正): ビタミンCの機能と欠乏症の正確な記述。コラーゲンの水酸化反応(プロリン・リジンの水酸化)にビタミンCが補酵素として必要です。欠乏→コラーゲン異常→血管・結合組織の脆弱化→壊血病(壊血病:古くは長期航海の水夫に多発)。また抗酸化作用(フリーラジカル消去)・鉄吸収促進(非ヘム鉄の還元)にも関与します。
  • ウ(誤): ビタミンDは紫外線(UVB)によって皮膚でコレステロールから前駆体が合成されますが、日光に当たる機会が少ない(屋内勤務・日焼け止めの過度の使用・高緯度地域・皮膚の色素)場合は食事から補う必要があります。現代でも日本の乳幼児(母乳のみで日光不足)・高齢者(外出機会減少)でビタミンD欠乏→くる病・骨軟化症・骨粗鬆症が起きています。
  • エ(誤): 脂質(トリグリセリド・中性脂肪)の消化は胃ではほとんど行われず、主に小腸で膵臓から分泌されるリパーゼ(胆汁による乳化↑)によって行われます。胃には脂肪消化酵素が少なく(胃リパーゼはわずか)、脂質の消化の「完全な主役」は膵リパーゼと胆汁酸です。
  • オ(正): ビタミンAの欠乏症: 夜盲症(ロドプシン合成に11-cis-レチナール=ビタミンA誘導体が必要)・皮膚角化・角膜乾燥症(眼球乾燥症)・免疫低下。過剰症(主にサプリ・肝油の多量摂取): 急性中毒(単回大量摂取)→頭痛・嘔気・視力障害・頭蓋内圧亢進。慢性中毒(長期過剰摂取)→肝毒性・脱毛・骨折リスク上昇。妊娠初期の過剰摂取→胎児奇形リスク(催奇形性)。
上級誤答論破・根拠法令まで深掘り

【理論的背景】

ビタミンは生体が必要とする有機化合物のうち、体内で合成できない(または少量しか合成できない)ため食事から摂取が必要なものです。脂溶性(ADEK)と水溶性(B群・C)で代謝と欠乏/過剰症のパターンが大きく異なります。

脂溶性・水溶性ビタミンの比較:

| 特性 | 脂溶性(ADEK) | 水溶性(B群・C) |

|---|---|---|

| 吸収 | リンパ管経由(脂肪と一緒) | 消化管から門脈経由 |

| 貯蔵 | 肝臓・脂肪組織に蓄積 | 過剰は尿中排泄(蓄積少) |

| 過剰症 | 起きやすい(A・D・K) | 起きにくい(一部起きる) |

| 欠乏症 | ゆっくり進行(貯蔵あり) | 比較的早く進行 |

各脂溶性ビタミンの詳細:

  • ビタミンA(レチノール): 視覚(ロドプシン)・上皮分化・免疫。過剰→肝毒性・催奇形性(妊娠中は上限摂取量の遵守が必須)。食品: 肝油・レバー・にんじん(β-カロテン→体内でビタミンAに変換。β-カロテンはover-doseが起きにくい)
  • ビタミンD(カルシフェロール): Ca・Pの腸管吸収促進・骨のミネラル化・免疫調節。過剰→高カルシウム血症→腎石灰化・腎障害。食品: 魚(サバ・サーモン)・キノコ(紫外線照射)・卵黄。皮膚でのUVB合成: 7-デヒドロコレステロール→プレビタミンD₃→ビタミンD₃(コレカルシフェロール)→肝臓(25-OH化)→腎臓(1-α-OH化)→活性型1,25-(OH)₂D₃(カルシトリオール)
  • ビタミンE(トコフェロール): 抗酸化(細胞膜の脂質過酸化防止)。過剰症は比較的起きにくい。食品: 植物油・ナッツ
  • ビタミンK(フィロキノン・メナキノン): 凝固因子(Ⅱ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ)の活性化・骨タンパク(オステオカルシン)の活性化。ワルファリンはビタミンK拮抗薬。新生児ビタミンK欠乏性出血症(乳児への補給が必要)

【実務・条文構造】

ビタミンと職場・産業保健の接点:

職場の食環境と栄養問題:

  • 外食・コンビニ食が多い労働者: ビタミンB群(疲労回復に必要)・ビタミンC(抗酸化・免疫)・ビタミンD(骨・免疫)の欠乏リスク
  • 屋内勤務・夜勤者: ビタミンD欠乏(日光不足)→骨密度低下・免疫低下
  • アルコール多飲者: ビタミンB₁(チアミン)欠乏→ウェルニッケ脳症(眼球麻痺・意識障害・歩行失調)→可逆性(早期治療で)。ビタミンB₁₂・葉酸欠乏→巨赤芽球性貧血

ビタミンDと骨粗鬆症の職場健康管理:

  • 長時間のデスクワーク(オフィス労働者)はビタミンD合成が少ない
  • 工場の夜間交替勤務者も同様
  • 骨密度測定(DXA法)と食事指導・サプリ推奨
  • 転倒・骨折予防:特に高齢労働者で重要

妊婦の就業とビタミン管理:

  • ビタミンA過剰(レチノール)は催奇形性→妊娠初期の上限摂取量(2,700μgRAE/日・「日本人の食事摂取基準」)を超えないよう指導
  • 葉酸(水溶性ビタミンB群)は妊娠初期(神経管閉鎖障害予防)に重要→妊娠可能年齢の女性への指導が産業保健の課題

【試験での位置づけ】

栄養素・ビタミンの問題では「脂溶性(ADEK)は体内蓄積・過剰症あり(水溶性は尿排泄・過剰症起きにくい)」「ビタミンA欠乏→夜盲症・過剰→肝毒性・催奇形性」「ビタミンD欠乏→くる病(小児)・骨軟化症(成人)・骨粗鬆症」「ビタミンK→凝固因子活性化(ワルファリンが拮抗)」「脂肪消化の主役は小腸での膵リパーゼ+胆汁(胃ではほとんど消化されない)」が頻出です。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: ビタミンD過剰症の機序: 活性型ビタミンD₃が腸管Ca吸収を過剰に促進→高カルシウム血症→軟組織のCa沈着(腎石灰化・異所性石灰化)→腎機能障害。サプリメントの普及で過剰摂取リスクが増加しています。医師の指示なく高用量ビタミンDサプリを長期服用することの危険性について、衛生管理者が保健指導できる知識として重要です。
  • イ: コラーゲンは体内タンパク質の30%を占め、骨・軟骨・皮膚・腱・血管壁に存在します。プロリン・ヒドロキシプロリン・グリシンが特徴的なアミノ酸組成。ビタミンC欠乏→プロリンの水酸化が不十分→コラーゲンが不安定→血管壁の脆弱化→壊血病。現代では壊血病は稀ですが、偏食・アルコール依存・がん患者では起き得ます。
  • ウ: 現代のビタミンD欠乏の背景: 屋外活動の減少・UV対策(日焼け止め)の普及・食事の西洋化(魚消費の減少)。日本人の約70%が一定程度のビタミンD不足状態にあるとする推計もあります。COVIDパンデミックでの外出制限もビタミンD欠乏を悪化させました。
  • エ: 胆汁の役割: 脂肪を乳化(界面活性剤作用)→膵リパーゼが作用しやすくする。胆汁は肝臓で産生・胆嚢に貯蔵。胆石・胆道閉塞→脂肪の消化吸収障害→脂溶性ビタミン(ADEK)の吸収も障害→凝固因子(ビタミンK依存)低下→出血傾向。

【根拠】医学的事実(確立した栄養学・生理学)。ビタミンAの欠乏症(夜盲症)と過剰症(肝毒性・催奇形性)・脂溶性ビタミンの体内蓄積による過剰症・脂肪の消化が主に小腸で行われることは確立した知識。

【補足】脂溶性ビタミン(ADEK)は体内蓄積→過剰症が起きる(水溶性ビタミンは尿排泄→過剰症起きにくい)。ビタミンA欠乏→夜盲症・過剰→肝毒性・催奇形性。ビタミンD欠乏→くる病(現代でも起きる)。脂肪消化の主役は小腸(膵リパーゼ+胆汁)。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 医学的事実(確立した栄養学・生理学)。ビタミンAは欠乏症(夜盲症)も過剰症(中毒)も生じる脂溶性ビタミンであることは確立した知識。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

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