基本情報 平成25年度 春期 問60:マネジメント系に関する問題
システム監査で実施するヒアリングに関する記述のうち, 適切なものはどれか。
- a監査対象業務に精通した被監査部門の管理者の中からヒアリングの対象者を選ぶ。
- bヒアリングで第監査部門から待た情報を在付けるための文書や記録を入手するよ う努める。正答
- cヒアリングの中で気が付いた不備事項について, その場で被監査部門に改善を指 示する。
- d複数人でヒアリングを行うと記録内容に相違が出ることがあるので, 1 人のシス テム監査人が行う。
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答えは b です。
システム監査のヒアリングでは「話を聞くだけで信じない」のが鉄則。聞いた内容を裏付ける書類やログを入手してこそ、正しい監査になります。
たとえば「ちゃんとパスワードを定期変更しています」と言われても、本当にそうかは記録を見ないと分かりませんよね。
👉 覚え方:「ヒアリング+裏付け資料=信頼できる監査証拠」。
ほかの選択肢:a 管理者のみは偏りリスク/c その場で改善指示は監査人の役割を逸脱(指摘するだけ、改善は被監査側)/d 1人で行うと記録ミスや漏れが起きやすい。
なぜこれが正解か
正解は b。システム監査のヒアリングでは、被監査部門から得た情報を裏付ける文書や記録を入手することで、口頭情報を客観的事実として確認する。これにより監査証拠の信頼性が確保される。
各選択肢の解説
- a 管理者の中からヒアリング対象を選ぶ → 管理者偏重では実態把握が困難(現場担当者からも幅広く聞くのが原則)。
- b ヒアリング情報を裏付ける文書・記録の入手 → 正解。客観的事実への昇格。
- c ヒアリング中に発見した不備にその場で改善指示 → 監査人の独立性を逸脱(改善は被監査側の責任、監査人は指摘・助言まで)。
- d 1人のシステム監査人がヒアリング → 客観性確保のため複数人体制が望ましい(記録漏れ・主観混入防止)。
覚え方・ひっかけ注意
「ヒアリングは情報収集の入口、書面・ログで裏付け、複数人で実施、その場で指示しない」が4原則。監査人と被監査人の役割分離が独立性確保の核心。「監査人が改善指示」は典型的誤答で、監査人の独立性を侵すため厳禁。
理論的背景
システム監査基準(経済産業省、最新2023年改訂)および日本内部監査協会の基準では、システム監査の独立性・客観性・正当な注意・専門能力が原則として明文化されている。ヒアリング(質問)は監査手続6種(質問・観察・閲覧/検査・再実施・分析的手続・確認)の一つで、補完的な手続として位置づけられる。口頭証言の証拠力は最も低いため、裏付ける書面・電子記録・システムログとの突合が必須。
実務での使われ方
ヒアリング実施のベストプラクティス:
1. 事前準備:質問項目リスト(インタビューガイド)作成、過去資料・前回監査結果のレビュー
2. 対象者選定:管理者と現場担当者の両方、複数部門にまたがる場合は各部門代表
3. 複数人体制:主査+補助監査人で実施(記録漏れ防止、解釈の合議化)
4. オープン質問→クローズド質問の順で深掘り
5. 議事録作成:双方確認のうえ署名/捺印(後の異議申立防止)
6. 裏付け資料の要求:規程文書、運用ログ、システムスクリーンショット、電子証跡
7. 指摘事項は監査報告書へ集約(その場での改善指示は避ける、独立性確保)
試験での位置づけ
FE・APマネジメント分野およびシステム監査技術者試験で頻出。監査計画→予備調査→本調査→監査報告→フォローアップの一連プロセス、監査証拠(十分性・適切性)、監査調書、CAATs(Computer Assisted Audit Techniques)、SOC報告書、内部統制報告制度(J-SOX)と関連付けて出題。
関連事項・発展補足
監査人の役割境界が頻出ひっかけポイント。監査人は「指摘・助言」、被監査人は「改善実行」が原則で、これを侵すと監査の独立性(independence)と客観性(objectivity)が損なわれる。COBIT、IIA国際内部監査基準、INTOSAI(最高会計検査機関)基準、AICPA監査基準でも同じ原則。3線ディフェンスモデル(1線=業務部門、2線=リスク管理・コンプライアンス、3線=内部監査)でも、3線の独立性が組織防御の要。デジタル時代はリモート監査・継続的監査(Continuous Auditing)が普及し、ログ分析の自動化、SIEM連携、AIによる異常検知活用が進む。本問は監査人の倫理・スキル・手続の総合理解度を測る典型問題で、実務でも頻繁に発生する判断局面を反映している。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 基本情報技術者試験 平成25年度 春期 問60/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。