基本情報 平成26年度 春期 問53:マネジメント系に関する問題
システム開発の見積方法の一つであるファンクションボポイント法の説明として, 適 切なものはどれか。
- a開発規模が分かっていることを前提として, 工数と工期を見積もる方法である。 ビジネス分野に限らず, 全分野に適用可能である。
- b過去に経験した類似のシステムについてのデータを基にして, システムの相違点 を調べ, 同じ部分については過去のデータを使い, 異なった部分は経験から規模と 工数を見積もる方法である。
- cシステムの機能を入出力データ数やファイル数などによって定量的に計測し, 複 雑さとアプリケーションの特性による調整を行って, システム規模を見積もる方法 である。正答
- d単位作業量の基準値を決めておき, 作業項目を単位作業項目まで分解し, その積 算で全体の作業量を見積もる方法である。
AI解説(初心者・標準・上級)
理解度に合わせて3レベルの解説を無料で読めます。
答えは c です。
「ファンクションポイント法(FP法)」はシステムの規模をユーザー視点の「機能の数」で測る見積もり方法。
例えば「入力画面が何個あるか」「ファイルが何個あるか」「出力が何個あるか」を数えて、それぞれに点数(FP)をつけて合計する。
👉 覚え方:「ファンクション=機能、ポイント=点数。機能を点数で測る」。
ほかの選択肢:a 開発規模が既知=COCOMO(コードベース)/b 類推法/d 標準タスク法。どれもFP法とは別の見積もり手法。
なぜこれが正解か
正解は c。ファンクションポイント法(FP法)はAlbrecht(IBM、1979)が考案したソフトウェア規模見積もり手法。ユーザー視点で見える機能(外部入力EI、外部出力EO、外部照会EQ、内部論理ファイルILF、外部インタフェースファイルEIF)の数を数え、複雑さ・特性で重み付けして規模(FP値)を算出。コード行数やプログラミング言語に依存しないため、開発初期から見積もり可能。
各選択肢の解説
- a「開発規模が分かっていることを前提として工数と工期」:これはCOCOMO(Constructive Cost Model)、特にCOCOMO IIの説明に近い。
- b「過去の類似システムから差分を経験で見積もる」:類推見積もり法。
- c「機能を入出力・ファイル数で定量計測、複雑さ・特性で調整、規模を算出」:FP法の典型定義(正解)。
- d「単位作業の基準値を積算」:標準タスク法またはWBS方式。
覚え方・ひっかけ注意
「見積もり手法の4本柱: FP法/COCOMO/類推法/標準タスク法」を識別。
- FP法: 機能ベース、ユーザー視点、規模見積もり
- COCOMO: コード行数ベース、規模→工数変換
- 類推法: 過去事例の応用、初期段階向き
- 標準タスク法: タスク単位積算、詳細段階向き
FP法にはIFPUG法(International Function Point Users Group、業界標準)、COSMIC法(ISO/IEC 19761、複合機能対応)、SLIM法等の派生がある。
理論的背景
ファンクションポイント法は5つの機能タイプを基礎単位とする:
1. 外部入力(EI: External Input): データを追加・更新・削除する画面
2. 外部出力(EO: External Output): データ加工結果を出力する帳票・画面
3. 外部照会(EQ: External Inquiry): データを表示するだけの照会画面
4. 内部論理ファイル(ILF: Internal Logical File): システム内部で保守するデータ
5. 外部インタフェースファイル(EIF: External Interface File): 他システムから参照されるデータ
各機能を「低・中・高」の複雑さで分類し、IFPUG重み表で点数化→未調整FP値(UFP)を算出。さらに14の特性(一般システム特性、GSC)で調整係数(VAF)を算出し、調整後FP値(AFP)= UFP × VAF を得る。最新版のIFPUG 4.3.1ではGSC利用がオプション化された。
実務での使われ方
FP法はシステム開発契約見積もりで広く利用。特に官公庁・大企業のSI契約では業界基準として参照される。IPA「ソフトウェア開発分析データ集」「ソフトウェア開発データ白書」がFP値とコスト・工期の業界平均統計を公開。日本国内では1FP≒数万円〜十数万円(開発フェーズ・難易度により変動)。
他の見積もり手法と組み合わせて精度向上:
- 初期段階: FP法 + 類推法(過去案件比較)
- 詳細段階: 標準タスク法(WBSベース)
- アジャイル: ストーリーポイント、ベロシティベース(FP法より柔軟)
アジャイル開発の普及でFP法の存在感は相対的に低下したが、SI業界では依然として中核手法。COSMIC FP法(ISO/IEC 19761)はAlbrecht法の制約(業務系前提)を超え、リアルタイム/組込み/Web系にも適用可能で近年注目。
試験での位置づけ
FE/AP/PM(プロジェクトマネージャ)のマネジメント系で頻出。①見積もり手法の分類と特徴、②FP値の計算手順、③COCOMOの計算、④EVM(Earned Value Management)、⑤PERT/CPM、⑥アジャイルの相対見積もり、が主要論点。本問は基礎的識別問題で必修。
選択肢の発展補足
見積もり技法の使い分け早見表:
- トップダウン見積もり: 類推法、Delphi法、専門家判断(初期向き、不確実)
- ボトムアップ見積もり: WBS分解+作業見積もり積算(詳細段階、精度高)
- パラメトリック見積もり: FP法、COCOMO、回帰式(モデルベース、客観的)
- 3点見積もり: 楽観値・最頻値・悲観値の加重平均(PERT、不確実性考慮)
- 相対見積もり: ストーリーポイント、Tシャツサイズ(アジャイル、相対比較)
AIによる自動見積もり(過去プロジェクトデータ機械学習)も実用化されつつあり、JIRA Software/Azure DevOps等が予測機能を内蔵。CRISP-DM・MLOpsプロジェクトでは従来手法が通用しにくく、新たな見積もり手法の開発が継続している。生成AI時代の開発生産性予測も2024-25年の重要トピック。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 基本情報技術者試験 平成26年度 春期 問53/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。