基本情報 平成30年度 春期 問51:マネジメント系に関する問題
ソフトウェア開発プロジェクトにおいて WBS (Work Breakdown Structure) を使 用する目的として, 適切なものはどれか。
- a開発の期間と費用がトレードオフの関係にある場合に, 総費用の最適化を図る。
- b作業の順序関係を明確にして, 重点管理すべきクリティカルパスを提握する。
- c作業の日程を横棒 (バー) で表して, 作業の開始時点や終了時点, 現時点の進 捗を明確にする。
- d作業を階層的に詳細化して, 管理可能な大きさに細分化する。正答
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答えは d「作業を階層的に詳細化して管理可能な大きさに細分化する」 です。
WBS(Work Breakdown Structure)=作業分解構成図。
大きなプロジェクトを「ツリー状に少しずつ細かい作業に分解していく」ことで、1つひとつが管理しやすいサイズまで落とし込む手法です。
例:「サイト構築」→「設計」「開発」「テスト」→「画面設計」「DB設計」…と段階的に分解。
👉 覚え方:WBS=作業をツリー状に分解する設計図!
ほかの選択肢:a 期間と費用のトレードオフ=クラッシング/タイムコスト分析/b クリティカルパス把握=PERT図/c 横棒で進捗表示=ガントチャート。
なぜこれが正解か
正解は d。WBS(Work Breakdown Structure:作業分解構成図)は、プロジェクト全体の成果物・作業を階層的(ツリー状)に詳細化し、最終的に管理可能な大きさ(ワークパッケージ)まで細分化する手法。各ワークパッケージは見積もり・スケジュール・進捗管理の最小単位となる。PMBOK標準で計画プロセスの中核。
各選択肢の解説
- a 期間と費用のトレードオフで総費用最適化:クラッシング(crashing)/タイム・コストトレードオフ分析。
- b 作業順序を明確化・クリティカルパス把握:PERT図/アローダイアグラム/CPM。
- c 作業日程を横棒で表示、進捗を明確化:ガントチャート。
- d 作業を階層的に詳細化して細分化:WBS → 正解。
覚え方・ひっかけ注意
PM主要図表の用途別整理:
- WBS:作業分解(プロジェクト全体)。
- OBS:組織分解(役割分担)。
- RBS:リソース分解/リスク分解。
- PBS:製品分解。
- ガントチャート:日程表示。
- PERT/CPM:作業順序と所要時間。
- トレンドチャート:進捗 vs 予算。
WBSはこれらの起点となる基本中の基本。
WBS の構造
WBSは100%ルール(プロジェクトの作業100%を網羅、重複なし)を満たすツリー構造:
- Level 1:プロジェクト全体
- Level 2:主要成果物・フェーズ
- Level 3〜:サブ成果物、サブタスク
- 最下層:ワークパッケージ(80時間以内、2週間以内が目安)
各WBS要素にはWBS Code(1.1.2 等の階層番号)が割り振られ、識別子として使用。WBS辞書(WBS Dictionary)で各要素の詳細(範囲、成果物、責任者、見積等)を補足記述。
WBSの活用
- スコープ管理:WBS外の作業は実施しない(スコープクリープ防止)。
- 見積もり:ボトムアップ見積もりの基盤。
- スケジュール作成:各ワークパッケージに依存関係と所要時間を付与しPERT/ガントへ展開。
- コスト管理:CBS(Cost Breakdown Structure)と対応付け。
- 責任分担:RAM(Responsibility Assignment Matrix、RACI)でOBSと対応付け。
- 進捗管理:EVMの実績計上単位。
- リスク管理:各WBS要素に対するリスク識別。
作成手法
- トップダウン:成果物視点で大→小に分解。
- ボトムアップ:必要作業を列挙→グルーピング。
- テンプレート利用:類似プロジェクトのWBSを流用。
- ファシリテーション:チームメンバとブレストで作成。
関連標準・ガイドライン
- PMBOK(Project Management Body of Knowledge):PMI(Project Management Institute)標準。
- PMI Practice Standard for WBS:WBSの詳細指針。
- PRINCE2:英国政府標準、Product-Based Planning と類似概念。
- ISO 21500:国際プロジェクトマネジメント規格。
アジャイル開発との関係
- ストーリーマップ:WBSのアジャイル版に類似、リリース順とユーザ価値で配列。
- エピック→ストーリー→タスク:WBSの階層分解と類似構造。
- バックログ:ワークパッケージに相当する管理単位、優先度順。
- スプリント計画でストーリーをタスクに分解する作業がWBS作成と類似。
試験での位置づけ
FE「プロジェクトマネジメント」分野で頻出。応用情報・PM試験では中核知識。PMP・PRINCE2等の実務資格でも必須。WBS、ガント、PERT、EVMはセットで習得すべき4大ツール。
実装ツール
- MS Project、Project for the Web:WBS作成・依存関係・ガントチャート統合。
- Smartsheet、Wrike、Asana、Monday.com:クラウドPMツール。
- Jira、Azure DevOps:アジャイル開発寄り、エピック・ストーリー管理。
- OmniPlan、MindManager:マインドマップ風の作成支援。
選択肢の発展補足
aのクラッシングは、追加コストを投入して期間短縮する技法。ファストトラッキングは並行実施で短縮する技法(リスク増)。bのクリティカルパスはフロート(余裕時間)がゼロの作業経路で、ここを短縮するとプロジェクト期間が短縮される。cのガントチャートは1910年代のHenry Gantt開発、現代でも MS Project・JIRA・Asana 等で標準実装。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 基本情報技術者試験 平成30年度 春期 問51/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。