行政法120情報公開法・目的・対象機関・開示請求権者

行政書士 行政法 問120:情報公開法・目的・対象機関・開示請求権者

行政機関の保有する情報の公開に関する法律(情報公開法)に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 情報公開法に基づく行政文書の開示請求は、日本国民のみが行うことができ、外国人や法人は開示請求を行うことができない。
  • 情報公開法の対象機関には、国の行政機関(内閣府・各省等)のほか、立法機関(国会)および司法機関(裁判所)も含まれる。
  • 情報公開法の目的として、政府の諸活動を国民に説明する責務(アカウンタビリティ)の全うと、国民の的確な理解と批判のもとにある民主的で公正な行政の推進が掲げられている。正答
  • 情報公開法に基づく開示請求は、文書の名称や作成年月日等を特定した上で行わなければならず、文書の存在を知らない状態での請求は認められない。
  • 行政文書の開示請求に対して行政機関が開示しない旨の決定(不開示決定)をした場合、開示請求者は行政不服審査法に基づく不服申立てをすることができるが、行政事件訴訟法に基づく取消訴訟を提起することはできない。
正答:情報公開法の目的として、政府の諸活動を国民に説明する責務(アカウンタビリティ)の全うと、国民の的確な理解と批判のもとにある民主的で公正な行政の推進が掲げられている。

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ウが正しいです。情報公開法1条は、「政府の有するその諸活動を国民に説明する責務(アカウンタビリティ)が全うされるようにするとともに、国民の的確な理解と批判のもとにある民主的で公正な行政の推進に資することを目的とする」旨を規定しています。アは「外国人・法人は不可」としており誤りです(情報公開法3条は「何人も」開示請求できると規定しており、外国人・法人も請求可能)。イは「立法・司法も対象」としており誤りです(情報公開法の対象は行政機関であり、国会・裁判所は対象外)。エは「文書の特定が必要」としており誤りです(文書の名称等は不要で、請求者が理解できる程度の特定で足ります)。

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情報公開法の目的(ウが正しい根拠): 情報公開法1条は2つの目的を示しています。①政府の説明責任(アカウンタビリティ)の全うと、②国民の的確な理解・批判のもとでの民主的で公正な行政の推進です。これは「知る権利」の実現というよりも、民主的行政の実現手段として位置づけられています(「知る権利」という表現は法文にはない)。

開示請求権者(アが誤りの根拠): 情報公開法3条は「何人も」開示請求できると規定しており、日本国民のみならず、外国人・外国に設立された法人・国内法人・個人など、請求者の属性に制限はありません。

対象機関(イが誤りの根拠): 情報公開法の対象は「行政機関」(同法2条1項)に限定されます。国会(立法機関)・裁判所(司法機関)は対象外です。地方公共団体については情報公開法の対象外ですが、各地方公共団体が制定する情報公開条例の対象となります。

文書の特定方法(エが誤りの根拠): 開示請求には請求対象文書を「行政機関の長が当該行政文書を特定するに足りる事項」として記載することが求められますが(法4条1号)、文書の名称・作成年月日の特定は必須ではなく、文書の内容や件名等で行政機関が特定できる程度の記載で足ります。

不服申立てと取消訴訟(オが誤りの根拠): 不開示決定は行政処分であり、行政不服申立て(情報公開・個人情報保護審査会への諮問を経る)と取消訴訟の両方が可能です。

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【理論的背景】

情報公開法(行政機関の保有する情報の公開に関する法律、平成11年制定・平成13年施行)は、民主的行政の実現とアカウンタビリティの確保を目的として制定されました。制定以前から各地方公共団体が情報公開条例を持っていましたが、国レベルの法律として一元的なルールを設けたのが本法です。「知る権利」の明文化については立法過程で議論がありましたが、最終的に法文上は「知る権利」という表現を避け、「政府の説明責任の全う」と「民主的で公正な行政の推進」という政府側の義務として構成されました。

【実務・条文構造】

情報公開法の主要条文:

2条1項(行政機関の定義): 内閣府・各省・委員会・庁、および会計検査院等。国会・裁判所は対象外(イが誤りの根拠)。

3条(開示請求権): 「何人も、この法律の定めるところにより、行政機関の長に対し、当該行政機関の保有する行政文書の開示を請求することができる。」→日本国民・外国人・法人・自然人を問わず請求可(アが誤りの根拠)。

2条2項(行政文書の定義): 行政機関の職員が職務上作成または取得した文書・図画・電磁的記録であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして保有しているもの。

不開示決定と権利救済の制度(オが誤りの根拠):

1. 不開示決定は行政処分→行政不服申立て(審査請求)が可能

2. 情報公開法は不服申立てがあった場合、情報公開・個人情報保護審査会への諮問を原則義務付け(情報公開法18条・19条)

3. 不開示決定に対する取消訴訟も提起可能(行政処分の取消訴訟・行訴法3条2項)

4. ただし裁判所の審理では、不開示情報が含まれる文書をインカメラ手続で確認する問題が実務上ある

開示決定の方式と期限:

  • 行政機関は開示請求を受けた日から30日以内に開示決定等を行う(情報公開法第10条第1項)
  • 事務処理上の困難その他正当な理由があるときは30日以内に限り延長できる(同条第2項)

【試験での位置づけ】

行政書士試験では情報公開法の①対象機関(行政機関のみ・国会・裁判所は対象外)、②請求権者(何人も・外国人・法人可)、③目的(アカウンタビリティ・民主的公正な行政)、④不開示事由(6類型)が頻出です。本問ではア(外国人不可)・イ(国会・裁判所も対象)・エ(文書名称の特定必要)が最頻出の引っかけパターンです。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 誤り。情報公開法3条は「何人も」と規定しており、外国人・外国法人も開示請求可能。「日本国民のみ」は誤り。
  • イ: 誤り。情報公開法の対象は「行政機関」(同法2条1項)。国会(国会法等の別制度)・裁判所(裁判所法等)は対象外。
  • ウ: 正しい(正答)。情報公開法1条のアカウンタビリティ(政府の説明責任の全う)と民主的で公正な行政の推進という2つの目的を正確に表現。
  • エ: 誤り。文書の名称・作成年月日等の正確な特定は必須ではなく、行政機関が文書を特定するに足りる事項の記載で足りる(情報公開法4条1項1号)。
  • オ: 誤り。不開示決定は行政処分であり、行政不服申立て(審査請求)と行政事件訴訟法に基づく取消訴訟の両方が可能。「取消訴訟を提起できない」は明確に誤り。

【根拠条文】

行政機関の保有する情報の公開に関する法律(情報公開法)第1条(目的:アカウンタビリティ・民主的公正な行政の推進)

同法 第2条第1項(行政機関の定義:国会・裁判所は対象外)

同法 第3条(開示請求権:何人も)

同法 第4条第1項(開示請求書の記載事項)

【補足】

3つの重要ポイント:①請求者=何人も(外国人・法人可)②対象機関=行政機関のみ(国会・裁判所は対象外)③目的=アカウンタビリティ+民主的公正な行政(「知る権利」の文言なし)。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 行政機関の保有する情報の公開に関する法律(情報公開法)第1条(目的)、第3条(開示請求権) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

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