行政法121情報公開法・不開示情報の6類型

行政書士 行政法 問121:情報公開法・不開示情報の6類型

情報公開法に定める不開示情報に関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 開示請求された行政文書に不開示情報が含まれている場合でも、不開示情報に該当する部分を除いた部分について開示を行う部分開示が認められる場合がある。
  • 個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより特定の個人を識別できるものを含む)は、不開示情報に該当する。
  • 法人その他の団体に関する情報であっても、その情報が開示されることにより当該法人の正当な利益を害するおそれがある場合に限り不開示となり、開示によって公益が増進する場合には必ず開示しなければならない。正答
  • 公にすることにより国の安全が害されるおそれ、他国・国際機関との信頼関係が損なわれるおそれまたは交渉上の不利益を被るおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報は、不開示情報に該当する。
  • 行政文書の開示・不開示の判断に際し、不開示情報が含まれている場合でも、当該不開示情報を除いた残余の部分が意味のある情報として分離できるときは、その部分を開示する義務が行政機関に生じる。
正答:法人その他の団体に関する情報であっても、その情報が開示されることにより当該法人の正当な利益を害するおそれがある場合に限り不開示となり、開示によって公益が増進する場合には必ず開示しなければならない。

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ウが誤っています。法人情報の不開示については「公益が増進する場合には必ず開示しなければならない」という規定はありません。情報公開法5条2号は、法人等に関する情報であって「開示することにより、当該法人等の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある」ものを不開示としています。「公益増進なら必ず開示」という絶対的な義務はなく、公益的開示が考慮される場合はありますが、法文上の義務ではありません。アの部分開示(6条)、イの個人識別情報の不開示(5条1号)、エの国家安全情報(5条3号)、オの部分開示の義務は概ね正しい記述です。

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情報公開法の不開示情報の6類型(5条): 情報公開法は行政文書を原則開示とし、以下の6類型に該当する場合のみ不開示とすることができます。

1. 個人情報(5条1号): 特定の個人を識別できる情報(照合識別を含む)。ただし慣行として公にされているもの・公務員の職務情報等は開示。

2. 法人情報(5条2号): 法人等の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある情報(ウの問題はここ)。

3. 国家安全情報(5条3号): 国の安全・外交・国際機関との信頼関係・交渉上の不利益に係る情報(エが正しい)。

4. 公共安全情報(5条4号): 犯罪の予防・犯人の捜査・刑の執行等の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれ。

5. 行政内部情報(5条5号): 意思決定過程・内部検討過程の情報で開示により行政事務の適正な遂行に支障を生じるもの。

6. 事務・事業情報(5条6号): 開示により行政機関が行う事務・事業の適正な遂行に支障を生じるもの。

ウが誤りの核心: 法人情報の不開示(5条2号)は「公益が増進する場合には必ず開示」という義務規定ではありません。公益的観点は不開示の判断における考慮事項となりうる場合はありますが、「必ず開示しなければならない」という義務は法文上存在しません。

部分開示(アとオが正しい根拠): 情報公開法6条は、不開示情報が含まれる行政文書について、不開示情報部分を除いた部分が意味のある情報として分離できる場合には、その部分を開示することを義務付けています(部分開示の義務)。

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【理論的背景】

情報公開法の不開示情報の設計は「原則開示・例外不開示」の構造を採っています。この設計思想の背景には、行政機関が保有する情報は本来国民のものであり(税金で作成された情報)、開示が原則であるという考え方があります。不開示事由は6類型に限定的に列挙されており、これ以外の理由による不開示は許されません。各類型には「おそれがある」「支障を及ぼすおそれがある」という要件が設けられており、抽象的な不利益の可能性では足りず、具体的・現実的な支障のおそれが必要とされます。

【実務・条文構造】

不開示情報の6類型の詳細と引っかけポイント:

1号(個人情報):

  • 識別可能な個人情報が基本
  • 例外として開示されるもの: 慣行として公にされている情報、公務員の職務遂行情報(職・氏名・当該職務遂行情報)
  • イが正しい: 「他の情報と照合することにより特定の個人を識別できる」も含む

2号(法人情報):

  • 法人等の「競争上の地位その他正当な利益を害するおそれ」が不開示要件
  • 「公益増進なら必ず開示」という規定なし(ウが誤りの根拠)
  • ただし「人の生命・健康・生活・財産の保護のために必要な情報」は開示義務あり(2号ただし書)

3号(国家安全情報):

  • 「行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある」という裁量的要件
  • エが正しい: 国の安全・外交・国際機関との信頼・交渉上の不利益

6条(部分開示):

  • 不開示情報が含まれている場合でも、分離可能な部分は開示義務あり
  • 「不開示情報の内容が了知できない」程度に分離できれば部分開示の対象

【試験での位置づけ】

行政書士試験では情報公開法5条の不開示情報の類型(特に個人情報・法人情報・国家安全情報)と6条の部分開示が繰り返し出題されます。「法人情報は公益増進なら必ず開示」「部分開示は任意」という誤肢が典型的なパターンです。6類型を「個人・法人・国家安全・公共安全・行政内部・事務事業」と整理して覚えることが重要です。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 正しい。情報公開法6条が部分開示を定める。不開示情報を除いた部分が意味のある情報として分離できる場合は部分開示を行う(任意ではなく義務的に)。
  • イ: 正しい。5条1号は個人識別情報(直接識別と照合識別を含む)を不開示情報として規定。「他の情報と照合して識別できる」も含む点が重要。
  • ウ: 誤り(正答)。法人情報の不開示(5条2号)において「公益が増進する場合には必ず開示しなければならない」という絶対的な義務規定はない。なお2号ただし書の「人の生命・健康・生活・財産の保護に必要な情報」についての開示義務はある。
  • エ: 正しい。5条3号(国家安全情報)の不開示要件として、国の安全・外交・国際機関との信頼・交渉上の不利益に関する情報を「行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある」場合を規定している。
  • オ: 正しい。6条(部分開示)は義務規定であり、分離可能な部分については行政機関に開示義務が生じる。

【根拠条文】

行政機関の保有する情報の公開に関する法律(情報公開法)第5条第1号(個人情報)、第2号(法人情報)、第3号(国家安全情報)、第4号(公共安全情報)、第5号(行政内部情報)、第6号(事務・事業情報)

同法 第6条(部分開示)

【補足】

不開示6類型:個人・法人(競争上の地位を害)・国家安全・公共安全・行政内部・事務事業。法人情報の「公益増進なら必ず開示」という義務規定はない。部分開示(6条)は義務的。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 行政機関の保有する情報の公開に関する法律(情報公開法)第5条(不開示情報)、第6条(部分開示) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

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